134. 0.01%アトロピン点眼は,近視性不同視眼の近視進行速度の抑制にほとんど効果がない

Effectiveness of 0.01% atropine in anisomyopic children

Hussain A, Gopalakrishnan A, Chowdhury S, Agarkar S. Indian J Ophthalmol. 2023 May;71(5):2109-2114. doi: 10.4103/IJO.IJO_2762_22. PMID: 37203091.


目的:0.01%アトロピンを投与した近視性不同視小児の眼球パラメータの変化を調査すること。

方法:このレトロスペクティブ研究は,インドの3次眼科センターで総合検査を受けた近視性不同視児のデータを分析したものである。0.01%アトロピンによる治療,または通常の単焦点眼鏡を処方され,1年以上のフォローアップを受けた6~12歳の近視性不同視患者(1.00D以上の差)が対象となった。

結果:52人の被験者のデータが含まれた。0.01%アトロピン群(-0.56D,95%信頼区間[CI]:-0.82, -0.30)と単焦点眼鏡(単独)群(-0.59D,95% CI:-0.80, -0.37; P = 0.88 )で近視眼の等価球面値(SE)の平均変化率に差は見られなかった。同様に,近視度の弱い眼の平均SEにも,群間で有意な変化は認められなかった(0.01%アトロピン群,-0.62 D; 95% CI: -0.88, -0.36 vs. 単焦点眼鏡群,-0.76 D; 95% CI: -1.00, -0.52; P = 0.43)。眼球パラメータはいずれも2群間で差を認めなかった。0.01%アトロピンで治療した近視性不同視の集団は,単焦点眼鏡群と比較して,両眼とも,平均SEと眼軸長の変化率に有意な相関が見られた(近視が強い眼,r = -0.58; P = 0.001 および近視が弱い眼,r = -0.82; P < 0.001 )。

結論:0.01%アトロピン点眼は,近視性不同視眼の近視進行速度の抑制にほとんど効果がなかった。

※コメント
点眼は片眼でなく両眼にした様です。
単焦点眼鏡群と0.01%アトロピン群で差はなかったとのことですが,眼軸長にも優位差はなかったとのことから,既報と同様,0.01%アトロピンは眼軸伸長にほとんど影響しないと考察で述べています。
調査によって異なる,そして統計学的なのか臨床的なのか,意味があると解釈するかないと解釈するか。考え方は様々です。

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