せめて自分で食べる物くらい自分で作れる人間になりたい

酒井太郎さん さかい内科・胃腸科クリニック代表 鎌倉市在住

他にも
鎌倉に震災銭湯をつくる会 共同代表 
ミャンマーファミリークリニックと菜園の会 副理事長
NPO湘南バリアフリーツアーセンター 副理事長
鎌倉YMCA 運営委員 
など多くの場で活動されています。

畑を始めたきっかけ

医者になり日々、診療をしながら当たり前だけど薬を処方し、病気が悪くなるとまた薬を増やしてね。どんどん薬が増えていく・・・

みんな生活は忙しく、僕が「運動をしないと」と言っても、「夜遅く帰ってきて、食事してすぐ寝て、朝7時に出勤します。」何て言われると「運動しちゃダメです、寝て下さい!」みたいなね、僕も患者さんのことは言えないんだけど・・・

食べる物が体になり健康の基本なのは分かっていても、日々、食事の時間もゆっくり取れず、ふと考えると自分で食べている物のことも全然知らないんだよね。

毎日、食べているものがどうやってできるのかとか、スーパーに行けば1年中売っている野菜も多いから、いつが旬なのかも分からず、せいぜい気にするのは値段のことくらい。薬で病気を治すことも大切だけど、普段の生活を見直して薬に頼らず病気を治したり予防していくことが大事なんじゃないかという思いが強くなってね。

東日本大震災や熊本地震が起こり医療支援で現地に通っていると、一次産業に従事している人がたくさんいてね、みんな大変だけど震災直後なのに春だからと種を巻いたり、避難所から畑に通ったり、復興の象徴なんてマスコミに取り上げられても「自分たちはいつもと同じ事をしてるんだ、食べるものくらい自分たちで作るんだ」ってね。

これって今の僕の生活を考えると凄いことだなって感じて、東北で会ったある人なんて、80歳過ぎて一人暮らしなんだけど、地域の人達で少ない量だけど野菜や米を作っていて、後はそれを少し売ったお金で必要な物を買ったりで、 「俺は年金を下ろしたことないんだ、銀行から記帳くらい来てくれって言われるけど、足(車)がないから行かれないんだ」って笑って言うだよね、必要ないしって(笑)、そんなお爺ちゃん達は生き生きしてるんだよね。これって理想的な生き方だよなと思ってね。それで、せめて自分で食べる物くらい自分で作れる人間になりたいと思うようになったんだよね。

野菜の種や農薬の話を聞くと、大切なことなのに知らないことばかりで、小島さん(コトモファーム代表)のホームレス農園の本を読んだことがあって賛同する所もたくさんあったので、小島さんの話も聞きたいし、コトモファームで野菜作り教えてもらおうと思って訪ねたのがきっかけです。

将来は、自分たちの食べる物は自分たちで作る小規模な介護施設を作ってね、なるべく他の人の世話にならずに暮らして行きたいと思っています。

普段の暮らし

鎌倉で生まれで鎌倉で育ちました。実家は八幡宮前の若宮大路で銭湯をしていたので、日々沢山の人と接し暮らしてきました。医学部卒業後は、医者として大学病院に勤務し、2001年から2005年まではアメリカで働き、帰国して2007年からは生まれ育ててもらった鎌倉で少しでも恩返しができればと内科の診療所をしています。

現在、鎌倉に震災銭湯をつくる会の共同代表やミャンマーの医療支援NPOミャンマーファミリークリニックと菜園の会の副理事長、NPO湘南バリアフリーツアーセンターの副理事長、鎌倉YMCAの運営委員などもしています。他にも鎌倉児童ホームの嘱託医や母校の七里ガ浜高校の校医や産業医、市内の中学校で「大人も知らないタバコの真実」出張授業など色々な市民活動にも関わらせてもらっています。

実際の野菜作りを初めてみて

野菜作りを通し学んだことは本当に沢山あります。まず土の上にいることの素晴らしさ、これだけで最高です。そして夏のバッタを始め虫だらけの畑、多様な草たちは感動です。

僕は無農薬、無肥料、無水で固定種を育てているのですが、無肥料だし水もあげないし楽なのかなと思っていたら逆で自然の力だけで作るから気温など自然に左右されることも多く、先週は元気だったものが翌週には枯れている。植える日の前後の天気を気にしたり、夏は伸びた雑草を刈って肥料として、そして冬のためにせっせと畑に敷いたりと出来ることを出来るときにやっておかないといけないんだよね。冬になると雑草も虫もいなくなり冬を越す力を持つ苗だけが畑に残ります。畑に来て四季を感じながら僕自身が自然の中で生かされているのを実感しています。

野菜作りは小島さんやスタッフの山田さんのアドバイスで順調に収穫でき、できた野菜は自然の力と自身の生命力だけで作られた野菜なので、味が濃く野菜本来の味がします。

畑を始めようとしている方へのメッセージ

よく自分で作った料理は美味しいと言うけど、自分で作った野菜で作る料理は最高です。僕がやっているのは完全自然栽培なのでスーパーで売っているように形のそろった野菜はできないけど、僕達人間も色々な人がいるように、野菜も色々な形、大きさがあって当たり前、最近はスーパーに並んでいる同じ形の野菜の方がおかしいと思うようになりました(笑)。

みんながもう少し食べる物に気を遣い、安心して食べられる安全な野菜を自分たちで作って食べる。そんな社会が拡がり病気になる人達が減っていくといいなと思っています。

 野菜の種や苗の準備から作り方、野菜オタク談義までコトモファームの方達が丁寧に教えてくれるので安心です。ぜひ一緒に野菜作りを始めましょう、畑で待ってます!

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