得意なところを持ち寄り、みんなで野菜づくり

団体でコトモファームを利用

代表三橋さん:
私たちは市民団体神奈川オルタナティブ協議会、通称【オルかな】と申します。団体としてコトモファームさんの畑を使わせていただいています。「なるべく医療や薬は最小限に、仲間とつながりセルフケア」を理念として、対話会や講演会、ワークショップなどを開催しています。メンバーは福祉職や看護師、精神科に通院している人、していたけど快復して医療を卒業した人、その家族、一般市民など様々な立場の仲間と活動しています。

心身の不調=すぐに病院に行って薬、ではなく、仲間とつながる中で色んな方法や生き方を知り、自分たちで快復していこうよ、というメッセージを発信しています。【オルタナティブ】とは別の選択肢とか、多様性を認め合うなどの意味があって、医療や薬物療法に偏りがちなこの国の心身の不調への対応に、別の選択肢を創っていくんだという思いが込められています。団体は全国組織なので他県にも支部があります。

心身の不調を快復する別の選択肢があってもいいのでは

薬や医療を全否定しているわけではなくてですね。大変な症状があった時とかに使ったり、あとは必要だと思って納得して使っている人を否定しているわけではないです。ただ、もっと別の選択肢も作っていきたいし、快復したい人の力になりたい。だから「オルタナティブ」って名をつけていて、いろんな仲間が集まって活動しています。何かを批判や否定をする団体ではなくて、どんな生き方でも自分で考えて自分で決めてればOKと考えているので、そこは誤解されないようにしていますね。

心身が不調になるきっかけや理由って必ずあって、自分で気づく気づかないはあるかもしれないんですけど、そうなった時に、「とりあえず病院行けば」ってみんな良かれと思って勧めるし、自分自身でも行った方がいいかなって行くと思います。そこでよくなった人もいると思うんですけど、行かなくても済むなら行かない方がいいよねって。いろんな人と話すのもそうですし、農業もそうですし、アロマとか試したり。あとはその不調になったきっかけを解決したり、しんどければそこから離れたり、っていう、そもそものきっかけや原因を解決しなければ、通院や薬を飲んでも根本的な解決にはならないし、治療が長引いたり、薬で悪化することもあって。

なので心身の不調=すぐ病院という考えだけでなく、医療が最終手段であってもいいのかなと思ってます。でもそれ以外の選択肢を私たちも知らなかったので、選択肢を増やしたいなって。あと病院に行ってからも、自分で情報集めたり、仲間と話すことで、別の快復の仕方を探したり、自分で考えて決めることを応援したいっていう想いもありますね。

農スクール※の活動からコトモファームのことを知る

私たちオルかなの仲間の一人が農スクールさんのお手伝いをするようになって、小島さん(コトモファーム代表兼農スクール代表)を紹介してくれました。著書を読ませていただき、自主事業で農スクールを長年続けていることに驚き、大変共感しました。また、団体として畑をやりたいという希望はメンバーから以前から出ていて、畑を探してはいたんですが、条件とか値段とか距離とか、その辺の借りるハードルが高かったりして、なかなか実現できずにいましたので、すごいご縁だなと思って即決しました。

(※農スクールコトモファームのスタッフが空いた時間と畑を使い行う、働き手のいない農業界と、働きたくても働けない方をつなぐ活動)

私はちゃんと農業に取り組んだことはなかったんですけど、やってる人や、やったことがある仲間の話で、土に触れることや、野菜とか食べるものを作る育てるってことがものすごくメンタルヘルス的にもいいんじゃないか、癒されるよ、というのは聞いていました。精神科病院に勤めていた時に園芸療法を治療の一環でやっているのを見たりしたので、何か具体的にはわかんなかったけど、いいんだろうな、やってみたいなと思ってたのもあります。

オルかなメンバー鈴木さん:
僕がオルかなの活動に参加したのは、以前から畑に興味があったので。なんだかんだ土に触れる機会が減ってきてるなって感じていて。横浜とかも昔は畑が多くて、身近に畑仕事とか、小学生の時はさつまいもほりとかやってたんですけど、そういう場所も住宅に変わったりして。そんな子供の頃思い出して、やってみようかなって。原点って食べることが基本だと思うんです。やっぱりあの植物ができることや作物を育てることにみんなで取り組むことによって、自然の良さがわかるっていうか。

私は、会社の中の部門として福祉作業所があって、身体障害の方や精神障害の方がいらっしゃって、そこの事務って形で携わってるんです。資格を持って直接福祉的な活動をしているわけじゃないですけど。

フラットな関係になれる畑

三橋さん:
オルかなとしては、畑の活動を治療の一環とか、働くための訓練だとか、そういうことに使う気は最初からなくて。立場や関係性がフラットな仲間が、ただただ畑に行ってみんなで作っているだけですね。メンバーは看護師とか福祉職とか、いろいろいますけど、あまりその職業とか立場とか、上下関係とか全くなくて、支援する人、される人っていう関係性を取っ払っていこうと思っていて、ただただ畑をやってるだけです。それが私たちも楽なんです。

野菜づくり講習をみんなで受けて、覚えてられる人が覚えとくみたいな。私すぐ忘れちゃうんで(笑)何言われたっけとか。そしたら得意なマサトさん(鈴木さん)とかが、この畝になんとかとか言ってくれて。そういう得意なところをみんなが補いながらやってて、草むしりが得意な人は本当に綺麗にやってくれますし。耕す方は男性陣が中心にやってくれますし。私は報告の写真撮ってるだけなんですけど(笑)なんかそういう自然な役割分担みたいなのができるのも、畑のいいところで。何かしらやれるってところも面白いなって思う。

思う通りにいかないことが面白い

当初は、これから薬を減らしたいとか快復したい人が定期的に来れる場としての農業、になればいいなと思って始めたんですけど、始めてみたら通院してるとか薬飲んでるとか全く関係なくて、誰もが畑に来て作業することで癒されて、元気になるんだなとわかりました。実際、私が一番楽しんでいるかもしれません。さっき言ったように治療の場でも働くための訓練の場でもない、ただただ畑をやれることが素敵だと思いますし、土を耕して畝を作って種や苗を植えて育てる。シンプルだけど一つ一つに意味があって、育ち方もそれぞれだったんですよね。こちらの思う通りにいかないのも、人間のような、人生のような、面白いんですよね。「芽、出るかな」「出ない」「出ないかなぁ」「出た」みたいな。手をかけすぎてもダメだし、ほっときすぎてもダメ。コントロールできないのがいい。結局、自然には逆らえないこと、そして、食べることは生きること。言葉ではなんとなくわかっていたことが、リアルに農業を通して、実感できています。

余計なことを考えなくなり、肩の力が抜ける

あとはオルかなとしてはこれまで、仲間たちと青空の下で作業したり、語り合うことがなかったんですよね。だいたい室内で語ったり、勉強したり、ワークショップしたり。でも畑だと、青空対話会みたいな。ただ喋ってるだけなんですけど、気持ちがいいんですよね。ちょうど畑のそばにベンチがあるんで、そこに適当に座って。一息ついて喋ったり、とれた野菜をみんなで見て、持って帰ったり、それも快復への良い効果が出ています。

風とか吹いてるし、土が舞ったりとか、その中でしゃべるのは、なんか余計なこと考えなくて済むような部分もある気がします。室内って会議室みたいなとこ借りて活動するんですけど、机とテーブルがあってかしこまっちゃうじゃないですか。それが畑だとみんな泥だらけで、ベンチに座って、ちょっと採れた人参かじってみる、なんていうのができて。気持ちいいなって。

あと場所借りてやるときは込み入った話をすることが多かったんですけど、ここでは基本は農業をみんなでやるだけって決まっているので、話すこともそんなに込み入った話にならないんですよね。そのときだけちょっとリラックスできたり、余計なことを考えなくて済む。疲れるから、心地よい疲労感みたいなのでボヤーッとするみたいな。日を浴びて作業するのがこんなに、気持ちいいんだなって。

ただ一方で、なかなか畑まで来れないって言うメンバーもいたり。来てしまえば楽しめると思うんですが、天候だったり、家からの距離だったり、近い人遠い人いろいろいるので。ある程度着替えたりね、準備をして交通費もかけてくるっていうのは、気持ちがないとできないことでもあるので。生活上の優先順位もあって難しい部分もあるとは思うんですけど。でも継続してやっていくことで、いつか行けるかもとか、行こうと思った時にやってた、となるように続けていきたいと思うので、まあなんとか来年度もですね、借りさせていただけるようにお金貯めてるところです(笑)

畑があることが外に出るきっかけに

鈴木さん:
屋内で話ししてるよりもやっぱり、人間としてのびのび活動できてるっていうか。夏場だと海だ山だって行くけど、一年通じて外にいるって活動はあんまりないような気がするので。畑だったら、外に行くきっかけになるというか、野菜あるし行かなくちゃとか、成長見るのが楽しみだったり、種が出たか出ないかとか。また、そこに行って交流できたりとか、繋がりができたりとか、そういうところもあるんで、全体を通していいなって思います。

三橋さん:
季節を感じられるのもよくって、季節によって植えられるものが違うじゃないですか。それを講習とかで教えてもらって、この時期にはこれを植えるんだよとか。これとこれを一緒に植えると虫が来なくなるよとか。「えーそうなんだ!」って感じで。夏野菜、いっぱい採れましたね。トマトきゅうりなすゴーヤ。そういう旬のものがわかって、これまでスーパーに行って買ってたものも見る視点が変わりました。旬じゃないものもすっごい売ってるねとか。冬に夏野菜とか、からだ冷えちゃわない?みたいな。そういう季節を感じて、食べるものや売られているものにも関心が出てきたっていうのも大きい気がします。

ど素人集団でも安心して取り組めた

同じ畑でもコトモファームさんでよかったなって。素晴らしいなって思うのが小島さんはじめ、スタッフの皆さんが気にかけてくれることなんですね。毎週講習してくれたりとか。個別にも相談に乗ってくれることで、かなりど素人集団な私たち、ちゃんとやれるかな、そんなしょっちゅうも来れないし、何の知識もないし、よく分かんないけどやっていいのかなって、ドキドキしてたんですけど。なんかあればすぐ聞いて、同じこと何回も聞いてるかも知れないんですけど(笑)安心して取り組めますね。

同じ畑やるにも完全に自分のやり方で好きにやりたいって人もいれば、ある程度は教えてもらう方が安心な人もいるだろうし、コトモファームさんの場合はどちらでも、高度なものにも取り組めるし、初心者でもできる体制があって、それが素晴らしいので、個人さんでも団体さんでも活動できると思います。お勧めします。

他の会員さんとの交流も楽しみ

あと、私たちの畑の近くで借りている方たちとの交流も楽しくて。挨拶する程度なんですけど、なんか採れたから「これあげようか?」って、でっかい冬瓜みたいなの頂いたりとか、「集団でやってるの?」って声かけてくれたり、「大根伸びてるね」とか、うちはこうよ、とか。すごいフランクに温かく接して頂けるっていう。会員さんたちの優しさが感じられるので、ご挨拶するのがいつも楽しみなんですね。

BBQなどの道具と場所が借りれるのも良かった

三橋さん:そうそう、バーベキューとお鍋、夏と秋にやらせてもらって、それもとっても楽しかったですし、好評でした。そういう場があるのもいいですね。道具を貸してくれますし。

鈴木さん:道具とかあんまり貸してくれるとこないですよね。たいてい持ち込みで。

三橋さん:畑のための道具やBBQの道具を貸していただけるのも助かります。持ち帰りとかできないし。それも含めたお値段だとしたら安いなって。

今後も、自分も含めたクセの強いオルタナティブな(多様な)仲間たちと、ゆるーく畑をやっていって、何か知らんけど楽しいよね、元気になるよね、という活動にしたいなと思います。小難しい理論や医療でこころや精神を語らなくてもいい。仲間たちと一緒に、とにかく「今日一日、気分よくすごす」ことの積み重ねを大切にしたいですね。

オルかなfacebookページ https://www.facebook.com/al.kanagawa/
公式ブログ http://al-kana.hatenablog.com/
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コトモファーム http://www.eto-na-en.com/cotomo-farm/
農スクール http://know-school.org

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