夢をみる人のカバン

2017年最後となる展示会のお知らせです。2年半ぶりに、カバンたちと一緒にドイツ(Berlin・Stuttgart)へ参ります。

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2015年の5月、StuttgartのGEDOK HAUSで展示会をさせて頂いたあと、展示会は大成功だったにもかかわらず、終わった直後からひどい空虚感に襲われました。それはやりきったという達成感から来るものではなく、これまで自分の表現の原動力となっていた「怒り」に対する空虚感でした。一方で表現としてそれを出し切ったことで、そこから解放されたかのように、まるで抜け殻のような感じがしたのです。そして、もう二度と怒りを根源としそれに依存するような表現はするまいと決めました。

もうとっくに気づいていたのですが、怒りの根っこにあるのは「恐れ」です。これまで自分がいったい何に恐れていたのかを、GEDOK HAUSでの展示会の後、ひとりで見つめ直す時間が必要でした。

それから全くの空白というか、空っぽの状態で日本に帰国。
もう何も作り出せないかもな、それでもいいなとすら思っていたのですが、
子どもに戻ったように、ただ素直に楽しいこと自分が喜ぶことをやっているうちに新しいイメージが自然と湧いてくるようになりました。

今回、ベルリンでの展示会のタイトルを「The Stargazer’s Bag」 としました。日本語で言うと「星使いのカバン」です。

Stargazerとは占星術師や天文学者という意味ですが、元々「星をみつめる人」という意味からきているそうで、それが転じて「夢をみる人」という意味があります。それを知ったとき本当にうれしくなりました。

なので、The Stargazer’s Bagとは「夢をみる人のカバン」ということです。

2015年、3ヶ月のドイツ滞在中にひとりでベルリンを旅したのですが、キャピタルとは思えないほど広い空を眺めながら、なんとなく次はベルリンで展示会をしてみたいなぁと思いました。

そして日本に帰国して間もなくベルリンに移住し店を持つことを決めていた
ソワレのふたりと出会い、そのご縁で今回の展示会に至りました。そして偶然ですが、ソワレがある通りの名前は「Stargarder」といい、Stargazerとそっくりなのです。

まるで夢のようですが、この世界は夢で出来ていると自分で自分に魔法をかけることができたなら、夢はカタチとなってこの世界に現れていくのでしょう。

遠く離れた星と星、光と光とを糸で結び、
まるで星座をつくるようにご縁がつながり、
またカバンと一緒に旅ができる幸運に、
ただ素直に「ありがとう」という気持ちでいっぱいです。



# archive cotomono note:2017-11-08 02:04

#archive cotomono note:2018.7までのブログから、覚え書きとして残しておきたいテキストをこちらに転載しています。


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