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「安心して失敗できる場所をつくる。」起業を後押ししてきたからこそ感じる責任と想い

インタビュー企画「家入さんとの対話」第二回です。

家入さんってこんな人
CAMPFIRE、BASE、NOW、ペパボなどの共同創業者。cotree顧問。100社のスタートアップ投資、現代の駆け込み寺リバ邸や、#やさしいかくめいラボも始めたり。

今回はここまでのお話を踏まえながら、現代社会の中でますます必要とされている「居場所」についてや、その中でcotreeやメンタルヘルス系サービスはどのような役割を果たしていけるのか、お聞きしました。

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なぜ、居場所づくりが必要なのか

——cotree代表の櫻本とはどういった経緯で会われたのでしょうか。

家入:僕が個人として投資支援していたU2plusの東藤君にご紹介いただいたのがきっかけでしたね。U2plusは認知行動療法をベースにしたうつ病回復支援サービスで、リタリコさんに譲渡された後、今はcotreeさんで運営されていて。不思議なご縁です。

——その時はどのようなお話をされましたか。

家入:この数年、メンタルヘルスやマインドフルネスといった領域に個人的にとても興味があり、投資をしたり勉強したりしていました。もちろんこの領域の先駆者であるcotreeさん、櫻本さんのお名前は知ってましたし、前々よりお会いしたいと思ってましたので、色々とお話しさせていただきました。

例えば、僕はスタートアップに100社くらい出資してますけど、その中には途中で心が折れてしまってやめてしまったりとか、やっぱりあるんですね。

途中でやめることがダメってことではなくて、そこまで追い込まれる前にもっと早い段階だったら気づいてあげられたことや、やってあげられたことがあったかもしれないな、とか、「起業家=強くなきゃいけない」とか、「起業=自己責任」みたいなことが語られがちな世界の中で、起業家の心の課題って置いてけぼりにされ続けてきたんじゃないか、と自分の中でずっとモヤモヤしていて。

特に、僕はスタートアップに投資をするなど、起業を促進する側じゃないですか。そういった活動や、僕の今までの物語やインタビューなどを読んで、それに希望を持って起業するような子達もいて。そうやって起業したものの、結果的に上手くいかなかった・ダメだった、心が疲れてしまった、そんな時に駆けこめる、居場所やセーフティネット作りみたいなものは、セットであるべきだなと。これはある意味自分の罪滅ぼし的な感覚もあるのかもしれないですね。

ただやっぱり自分は、臨床心理などの本を読んで独学したりしてはいるものの、専門的に詳しいわけではないですし。専門家の方々と組んでやれることないのかなって思ってた部分なので。そういうのを櫻本さんにぶつけさせてもらったって感じですね。

「個の時代」の持つ"しんどさ"

——お話を伺っていると、起業家に限らず"新しい生き方に踏み出す人"を増やすことにも一役を買った、という意識が家入さんにあるように感じたのですが。

家入:確かに。いや、そうなんですよね。それこそ僕の関わっているBASEやCAMPFIREもそうですけど「個の時代」だとかって言われて。

良い言い方をすると、自分の人生にオーナーシップを持つ時代が来ている「個の時代」は個人でも戦える時代が来るって言ってるけど、極論それを突き詰めると全てが「自己責任」に行き着いちゃう世界だなっていうのはあって。

そういった100人いたら100人の働き方、生き方があるんだよっていうのをある程度容認される世界、自分で選び取れる時代、選択肢の多い時代っていうのは、ある意味誰も正解を持っていないということでもあるから、生き方や働き方に関する悩みはむしろこれから増えていくんだろうなっていう風にも思うんですよね

従来の組織の中で自分を出せずに辛い思いをしてきた人たちにとっては良い世界なのかもしれないけど、自分の人生を自分で選び取れるって言われても想像もできないような人がたくさんいるわけで。そう言ったときに急に「じゃあ、あなた明日から自分の人生選びなさい」みたいなことを言われても、まぁ辛いですよね

だから、それこそフリーランスで生きていくっていうことも含めて、起業の定義を広げて考えた時に、働き方、生き方の自由度が上がって、自分の選択肢が選び取れる世界は、ある意味、しんどい世界にもなっていきますよね。

煽ることに自覚的であるべき

——そういった世界はもちろん否定的なことばかりではないとは思いますが、一方でそういった方達への居場所を作っていくと言った時に、もし具体的なイメージなどあったら教えていただけると嬉しいです。

家入:そうですね……。若い頃は「自分の人生は自分でつかみ取ろうぜ!」みたいな勢いのあることを堂々と言えた気がするんですけど、今はもう「みんな起業しよう」、「自由に生きよう」なんてメッセージを僕はなかなか言えなくなっちゃってて

ただ、まあ、やっぱ自分の存在であったり、過去に発言してきたものによってそういったものを後押しした側面があるんだとすれば、やっぱり最初にも話した通り、せめてその子たちがうまくいかない時や、疲れてきた時に駆け込める場所や仕組みを作っていくことをセットで作っていくべきなんだろうなって思ってますね。そうじゃないと焼畑のようになってしまう。

少なくとも、僕のような立場として、起業などを必要以上に煽ることの"恐ろしさ"みたいなものに、せめて自覚的であるべきだなと。

もちろん「起業なんかみんなやめたほうがいいよ」みたいなことを言うつもりはない。やっぱり起業によって僕は救われたし、起業によって世界を作っていく素晴らしい仲間がいるし、後輩がいるし、先輩がいる

だから僕は起業を、手段としての起業も含めて、引き続き後押ししていくような存在としてやってくんだろうと思うんだけど、一方で起業家のための心のケアだったりとか、居場所を作っていくっていうのはせめてやるべきこと、それが僕の責任みたいなものなのかな、みたいな、感じ。

——伺っていて、まさに今悩んでらっしゃる最中という印象を受けました。

家入:(笑)まあ、僕自身の答えは別にどうでもいいんですけど、少なくともcotreeだったり、escortを必要としてる人たちに届けるための仕組みづくりや、今まで僕が他で培って来たような経験を提供できる部分があればそういったものを提供して、せっかくいい会社だし、いいサービスだし、たくさんの人に使って欲しいなっていう気持ちです。

カウンセリングをカジュアルに

——お聞きしていると、居場所と一口に言っても、一つの居場所が全てを担うのではなく、それぞれの立場や状況に適した様々な居場所がより求められていくように感じたのですが、その中でcotreeはどのような役割を果たしていくのでしょうか

家入:例えば、僕の立ち上げたリバ邸というシェアハウスに住んでる子たちは、普通に話すと普通に話せるし、見た感じも小綺麗な格好してるから一見わかんないんだけど、逆にいうとギリギリのところまで誰も気づいてあげられずに、崖っぷちに立ってる若い子いっぱいいるなって思ったんですよ。そういった子はいろんなタイミングが重なった時に、一気に崖の下まで転げ落ちてしまう。

だから、例えばそういった子たちにもっとcotreeの存在を知ってもらえるといいなって思ったりするんですね。鬱などになって周りから勧められてっていうとこまでいくと、病院行ったりするのかもしれないけど、その手前の「あれ? ちょっと心の調子がおかしいな」っていう時にふっと思い出せるものとしてcotreeを使ってほしいというか。「cotreeってそういえば家入さん関わってたな、ツイートしてたな、」みたいな。

っていう意味でいうと、オンラインも含めてもっとカジュアルにカウンセリングが使われる世界がいいと個人的には思っているんですが、逆に、どう思われますか?

——以前、ドライブ中に気軽にカウンセラーに相談できるみたいなイメージが出たりもしていて、もっともっとカジュアルに、「ちょっとジムに行く」とか、「風呂に入る」くらいの軽さになっていくと良いな、と社内で話したりしています。

家入:「ジムに行く」とかもかなり近いんですけど、「サウナに行く」くらいのイメージがありますね。

なんか最近サウナにめっちゃハマってる人とかも周りたくさんいますけど、「サウナに行くと整う」とかっていうのは、なんかガチで体力ない時に行けないじゃないですか。だから、なんか、「サウナ行く」くらいの感じ。ジムとかだとこう、なんか上昇志向な感じがしちゃうんで、どっちかっていうとサウナみたいな感じですかね。わかんないですけど。

家入さんにとってカウンセリングとは

——その話と関連して、カウンセリングに似た想像しやすいイメージを用意することももちろんとして、「カウンセリングをどのように意味付けているのか」というモデルケースも必要なように感じています。そうした時に、家入さん自身にとってカウンセリングも含めたメンタルヘルス系サービスはどのような意味を持っているのか、最後にお聞きしたいです。

家入:僕にとって、うーん……。(しばらく考えて)ちょっとなんか、後でそうだったなって思いつくことあるんで、変わっちゃうかもしれないんですけど。

今、やっぱ暫定的に、暫定的っていうとあれですけど出てくるのは、安心して失敗できる場所を居場所ってした時に、失敗って果敢なチャレンジだけじゃないと思うんですよね

こう、生きるっていろんな選択の連続で、その選択をすることですら、失敗になりうるっていう時に、安心して失敗できる状況っていうのが、自分の人生を選択している生き方につながっていくと思うので

そういった意味でいうと、やっぱcotreeとか、オンラインカウンセリングみたいな仕組みっていうのが、きっと誰しもが安心して失敗できる世界を作るためにあるんじゃないかなっていう風には思って

それがひいては、一人一人が自分の人生を選択してる生き方をするときのセーフティーネットになりうるっていうか。セーフティーネットっていう言い方があってるかはわかんないですけど。

まあ「ニワトリとタマゴ」みたいな話で「みんな挑戦しよう」っていう言い方をするのか、「安心して失敗していいから挑戦しよう」みたいな言い方をするのか、っていうところもあるんですけど。今の所はまあ、なんかそんな感じですかね。

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編集後記

個の時代」は個々人に多様な選択肢が開かれる反面、「自己責任」の名の下にあらゆる問題の自己解決が求められる「救いのない時代」にもなりうるということ。

そんな二面性をもつ社会の中で、安心して失敗を吐露し、考え、前に進む力が得られる居場所は、確かに必要とされているように感じました。

cotreeでは個々人が心の状態に合わせて選べるようないくつかのサービスをご用意しています。

例えば、気分が落ち込み、どうして良いのかわからない時にはカウンセリングを、行動はしているものの、迷いがあるなという時にはコーチングを、といった風に抱えている問題や状態に合わせてサービスを使い分けていただけると嬉しいです

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次回はここまでのお話の中で泣く泣く載せられなかったお話を落穂拾いのようにまとめたいと思います。

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「cotree」は"カウンセリングをもっと身近に" をモットーに、オンラインカウンセリングを提供しています。「忙しくてあまり時間がない」「もっとカジュアルに心のメンテナンスをしたい」という方にも”いつでも、どこでも、安心できる"サービスです。https://cotree.jp/
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