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リーダーに抜擢されたらどうする?女性が抱えるキャリアの不安・悩みの対処法 〜イベント登壇レポート〜(前編)

2024年3月1日・2日に行われた「体験型ウェルネスイベント「Will Conscious Marunouchi 2024 まるのうち保健室 ~私と向き合う時間~」にて、cotree創業者・コーチェット代表  櫻本真理さんと、cotree代表 西岡恵子がトークセッションを行いました。
女性リーダー2名の視点から、「女性活躍」や女性のキャリア、悩みの対処方法について語りました。

大企業とスタートアップの働き方・キャリアパスの違いって?

ーーまず、おふたりのこれまでのキャリアを教えていただけますでしょうか?

櫻本:
実は私は従順な従業員タイプだったので、証券会社の会社員を経て起業したことは、必然性があったわけではないと思っています。
cotreeを起業後に、もう1社コーチェットを立ち上げることになったのは、「やりたいことに対しての行動をすれば、形になって成果になって返ってくる」というcotreeでの成功体験からきた考えなのかなと思います。
2社同時並行でやっていこうと思っていたのですが、そのタイミングで子供ができ、2社と一子同時立ち上げは難しいなと考えて西岡さんに代表を引き継いでいただいたという経緯があります。

今日は会社員としての視点、それから起業家としての視点、それから母としての視点も持ちながらお話したい思っております。

西岡:
私は、新卒で大手食品メーカーに入社をして、その後メガベンチャーで勤務した後、cotreeを含めスタートアップで事業をさせていただいています。
私は櫻本さんと違って、0から1を作る新規事業ではなく、10年、100年と時代のニーズに合わせて事業を残していけるような事業成長や組織作りを主に経験しています。

起業家の方への尊敬の念は当然ありますが、世の中に必要なサービスを残していく事業家の仕事もとても素晴らしい仕事だなと思ってます。大企業の中で大きな事業を担当されている方はまさに事業家ですよね。
起業家に比べるとなかなか注目されない働き方でもあるので、私としては事業家のやりがいをぜひ皆さんにお伝えしたいと思っています。

ーー大企業とスタートアップのどちらも経験されているおふたりですが、働き方やキャリアステップの違いはあるのでしょうか。

櫻本:
完全に二分できるものではないとは思いますが、やっぱり大企業とスタートアップのキャリアは対照的な部分があるとは思います。
1つ目の違いは、主体性の発揮の仕方です。
大企業は、構造がしっかりしていて環境が整っているので、それぞれの役割が明確です。役割の中で最大の価値を発揮する、という主体性が求められるかなと思っています。
対照的に、スタートアップというのはカオスの中で事業を作っていくことになるので、流動的で変化し続け曖昧なことが多いです。構造の力よりも個の力であったり、繋がりの力が重要だと思います。
そのため、大企業の中では役割の中での主体性が求められますが、スタートアップの中では、役割を超えた越境的な主体性が求められると感じます。今までのルールを壊していき、新しいものを作っていくような主体性が求められやすいのが大きな違いかなと思います。

2つ目は、変えられる範囲の捉え方についてです。
大企業にいると、会社のミッションに向かって最大限前に向かっていくと同時に、自分のキャリアも最大化していかなければいけないというジレンマにもなりやすいです。
一方で、スタートアップは自分の価値観に合うキャリアを選択すると、ジレンマを抱えにくくなります。自由度が高い分、自分がやった分だけ価値に繋がるようにしていけるからです。

ただ、どちらが良い・悪いというわけではないと思っています。
整理されていることが好きな人と、カオスの中で作っていくのが好きな人、それぞれがいます。

西岡:
私も櫻本さんがお話された内容に大共感です。
その上で、私が大企業とスタートアップのキャリアで違うと感じるのは、20代でマネジメントする環境があるかどうかという点です。
私が大企業で働いていたときは、自分が作った商品が全国の店頭に並ぶような、社会的影響力や規模が大きい仕事をさせてもらっていて、それはとても楽しい経験でした。

しかしその中でただ一つできなかったことが、マネジメントの経験でした。
日系大企業にいると、マネジメントを経験できるのは30代中盤以降だったので、当時の私は「10年後まで待っていられない」と思い、外に出ました。
実際に外出てからは、ずっとマネジメントやリーダーの仕事をしており、人を育て、チームを作る仕事にとてもやりがいを感じています。
20代の早いタイミングでマネジメントの経験ができたことは、今の自分のキャリア観に繋がっていると思います。

女性リーダーの視点から見える、「女性活躍」の現在地

ーー管理職や人事担当の方から、「女性の管理職を増やしていきたいけれど、なかなかリーダーになりたい女性社員がいない」という話をよく聞きます。そのような中で、西岡さんはなぜマネジメントをやりたかったのですか?

西岡:
なぜでしょうか…ひとつは目立ちたがり屋だからかもしれません。(笑)
もうひとつの理由としては、学生時代も部活などでリーダーを経験したことから、自分ひとりよりも他の人と一緒に何かを成し遂げることや、人を育ててその人が自分以上に成長していくという経験が楽しかった記憶があったからです。人を育てる仕事は、リーダーにならないとなかなか経験ができないと思ったので、いつかはやりたいと思っていました。

櫻本:
リーダーシップに対する女性と男性の違いの傾向としてあるのは、動機付けの違いです。「何によって自分が頑張りたいと思えるか」というやる気スイッチのようなものに、支配的になりやすいものとしては達成動機と親和動機と呼ばれる2種類があります。
一般的に、男性の方が大きなことを達成したいという傾向が強く見られます。成果が出ることに対してやる気を出しやすいんですね。対して女性は、大きなことを達成するというよりも目の前の人の幸せを思う傾向があり、これが親和動機と言われるものです。
社会的な見られ方の影響もあり、女性は男性よりも達成へのこだわりを持ちづらい。生物的な特性もあるし環境的な特性も感じています。
女性は、「これやってみたいな、でも私なんて…」とか「これがちょっと気になるな、でも忙しいから気にならなかったことにしよう…」といったジレンマを抱えることが多いと思います。いつもアクセルとブレーキの両方を踏んでるような状態ですね。
特に女性リーダーになろうとするタイミングで、そのような状態を多く拝見するんです。ジレンマを抱えている現実があるからこそ、女性はやりたい気持ちにあえて意識を向けるべきだと思います。そうすることで、ジェンダーバイアスを内在化させることなくキャリアに向き合っていけるんだろうなと思います。

私も子どもが生まれる前は、達成動機が100%な生き方をしてました。でも子供が生まれてからは、自分の人生をドライブする価値が複数になって、仕事で目標を達成することと家族が幸せに暮らしていることが同じぐらい大事になってきました。
その様子は、個としてみると、キャリアの敗北のように見える場面があると思います。でも実際には、個の幸せとしてはより大きくなっているんです

子育ての場面でなくても、価値の変化は起こると思います。昇進したら価値観が変わってきたとか、何かプライベートの出来事があって価値観が変わってきたとか。自分の中で満たしたい器の種類が変化する前提で、チームを作っていくようなリーダーが必要とされています。

ーー櫻本さんは、リーダーとして活躍する中で女性であることを意識する場面はありますか?

櫻本:
私は、女性であったことで良かったと思う場面がたくさんあります。
ジェンダーバイアスがあるからこそ、女性経営者は目立つことが多いので、それを逆手にとりながら良い環境で働かせていただいています。
例えば、女性向けの起業家支援プログラムがありますが、男性だけのものはない。社会からみたら異質ですが、とてもありがたいなと思います。今日のイベントも含めて、女性を応援する機運は社会の中に存在していると思っています。

西岡:
私も、女性であることの利点をむしろ活用するべきだと思ってきました。
新卒で配属された部署の総合職の社員はほとんど男性社員で、社会人になってはじめて、「社会って男性中心なんだ」と驚き、現実を突きつけられた記憶があります。
先ほど達成動機というお話がありましたが、新卒で配属された当時は予算比101%達成だったとしても、女性だから「すごく頑張ったね」と褒められていて、「あれ、私は男性と同じ水準では評価されないんだ」という悲しさと同時に、「これで評価してもらうことができるのであれば有利でもあるな」とポジティブに受け取ることもありました。
現在も、女性起業家は少ないですし、経営を受け継いで女性がトップに立つケースも少ないので、女性であることで興味を持っていただけることはチャンスだと思い、辛いことも経験してきましたが、今の自分自身を誇りに思っています。

(後編に続く)

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