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【cotreeカレッジ】自殺の予防とSNS・インターネットの活用:理想と実際

日本の自殺者数はここ10年間減少傾向でしたが、2020年の新型コロナウイルスが流行した時期に増加に転じました。
急速な社会変化とともに自殺が増加していく一方で、社会のあらゆる局面がオンラインへ移行している今、改めてインターネットと自殺の関係について考え直してみるべきなのかもしれません。

今回は、ICTと自殺対策の接合について研究していらっしゃる、和光大学 人間学部准教授 末木新先生に、自殺予防とインターネットにまつわる研究の現在地と展望について、ご自身の経験と業績をもとにお話しいただきました。

※この記事は、過去に行われた講演内容を要約したものです。
【講演会を全編公開している動画はこちら】


インターネットは自殺を防げるか?

大学院生時代に、インターネット上には「死にたい」人がたくさんいたことに気づき、研究を始めました。
それから、自殺掲示板の利用者へのアンケート、管理者へのインタビュー、自殺に関する情報提供サイトの運営、ウェブ検索ボリューム(google)と自殺率の関連の分析を行い、インターネットは自殺予防に活用可能なのかを研究しています。

インターネット・ゲートキーパーとは

「インターネット・ゲートキーパー」事業では、自殺関連語(例:「自殺方法」)をWeb検索した際の検索結果画面に、無料相談を受け付けている旨の広告を掲載します。
そして広告をクリックすると、アクセス者の相談を促すためのウェブページに飛びます。ここでは、相談の概要について説明があり、下部にスクロールすると相談用のアドレスが表示されています。これをクリックすればすぐにメーラーが起動し、相談メールを送ることができます。
この事業は自殺予防にどれほど効果があるのでしょうか。その検証結果についてお話ししています。

インターネット・ゲートキーパーの問題点

インターネット・ゲートキーパーの問題点は、基本的に若い女性からの相談が多くなることが挙げられます。
また、インターネット関連技術を用いた自殺予防のための危機介入事業についての問題として、「やりっぱなし」の構造という点があり、相談件数だけがカウントされており相談の中身や、相談者のその後の変化といったことについては一切言及されません。つまり、その事業の「質」がどうだったのかは件数だけではわかりません。
相談の「質」を検証し、問題解決に繋げるにはどうすれば良いでしょうか。

最近の研究と今後の展望

効果の検証が進まないことの背景には、検証をするためのツールが十分に整っていないという事情もあるように思われます。
インターネット・ゲートキーパーの効果を検証し、どういう広告表示をするのが望ましいのか、研究の今後の展望についてお話ししています。
研究結果についての詳細は、講演会の動画をご覧ください。

「cotreeカレッジ」では、カウンセラーなどの心理職に就いている方向けに、自己研鑽に役立つ動画や講演会情報を公開しています。
随時情報を更新していますので、ぜひご確認いただき日々のカウンセリングにお役立てください。

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