見出し画像

ギターピックアップについての教科書

先日、ピックアップのワインディングを体験させていただき、ギターピックアップの深淵なる世界にふれ、これはちゃんと勉強しなおさねばならないと思い、本を何冊か購入した。

有名なところではギブソン・ジャパン元社長、フェンダーカスタムショップのマスタービルダーもつとめた岩撫安彦氏の「Beauty of the Burst」のPAFについての章など、なかなか興味深い記事であった。
しかし、その記事だけでは具体的にPAFに何が使われているかなどはわからなかったし(Gibson社の企業秘密なのだろうか)、ピックアップを製作するにあたってのインストラクションではないので、他も色々な書籍やYouTubeを見て学ばなければならない。

また、書籍だけでは肝心の「音」「弾き心地」はわからないので、古いギターなどを引っ張り出してきたり、知り合いに弾かせてもらったりして学べることは学んでいる。

しかし、人の記憶とは曖昧なもので、言語化されていることは記憶しておくことはできるものだが、「音」「弾き心地」はすぐに忘れてしまう。

かつて、ギターメーカーに勤めていたときにショールームやら、先輩に触らせてもらったヴィンテージなどの感触と、自分で所有しているギターの音を頼りに、それぞれのギターの音色について、あらためて模索している。

私がいくら頑張ったところで、100台以上のバーストと、数百台以上のヴィンテージフェンダーを見て、触って、弾いて、時には分解した岩撫氏のような先人たちには到底敵わないので、いわゆるヴィンテージの再現路線はあまり求めていない。

それよりも、自分が好きなジャンル(カントリーミュージックやらジャズ)に向いているサウンドを手に入れるためにどうすればいいのかについて考えながら書籍に目を通している。

そんななかで、特に面白かったのがMario Milan氏の書いた「Pickups」という本だ。これは、昨日アマゾンから届いたのでまだ4分の1ほどしか読めてはいないけれど、ピックアップを作る上でとても実用的な情報が掲載されている。

例えば、基本的なことではあるが「ピックアップの直流抵抗値だけでは音色や出力は語れない」ということがよく理解できた。磁界の広さが与える音色への影響等についても書いてある。これを読むと、なるほどチャーリークリスチャンピックアップのあの音がなぜああいう風になるのかが「なんとなく」理論的にも理解できる。

私は幸にして、50年代のフェンダーピックアップをいくつか持っているので、それらを観察し、この本に書いてあったことがあながち間違ってはいないだろうと感じた。(PAFは持っていないのでわからなかった)

色々な小さなファクターが積み重なり、それがアンプでものすごい倍率で増幅され、プレーヤーとリスナーの耳に届く。ピックアップは特に微弱な信号を取り扱うパーツなので、その小さなファクターが与える影響は大きい。生で鳴らすと良いギターも時としてアンプに通すと面白くない音だったりするのはこういう理由であったか、と独り納得しながらピックアップについて想いを馳せているのはなかなか面白いものである。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?