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楽器の見た目は重要!! King Dizzy Gillespieモデル

私は趣味でトランペットを吹いたりしているのだけれど、どちらかといえば吹いているというよりは、トランペットを収集していると言ったほうが近いかもしれない。

それでも、楽器の中ではトランペットという楽器が一番好きで、次いでエレキギター、ローズピアノという順番である。と思う。
実のところ、付き合いの長いエレキギターのほうが好きなのかもしれないけれど、エレキギターは上手くないと目立てないのに対して、トランペットは上手くても目立つし、下手でも目立つという一面(欠点?)がある。

トランペットという楽器は、元来兵隊に指示を出したりするのに使われていたり、士気を上げるために用いられていたりするものだから、金管楽器の中でも一際目立つ楽器である。何せ音が大きい。家庭で練習していると煩くて仕方がない。危うく家庭の危機、家庭崩壊なども引き起こしかねない代物である。

上手くても下手でもうるさい楽器、それがトランペットである。

兄弟分に、コルネットやらフリューゲルホルンなどという楽器もあり、それらも例外なくうるさい楽器である。フリューゲルホルンは私も2台所有しており、柔らかく暖かい音色のする美しい楽器ではあるのだが、やはり音が大きいということもあり、またトランペットのようにミュートをつけるという習慣がないものであるから、なかなか家で練習するとなると一般家庭では難しいかもしれない。

しかし、「トランペットを吹きたい」という気持ちには抗えなく、私は家で練習している。仕方あるまい。楽器は練習せねば絶対に上達しないのだから。

トランペットで奏でる音楽というのも、ある程度限られていて、クラシック、ジャズ、ラテン、ファンクと吹奏楽(あえてそう書きますが)ぐらいである。私は、クラシックは殆どダメ、ラテンやらファンクは今まで一度も吹いたことがなく、吹奏楽には全く興味がないので(大人数で合わせるということが苦手)仕方がなく、ジャズを練習しているのだが、ジャズという音楽はそもそも複雑な音楽であり、その上アドリブというケッタイなものまであるものだから、ジャズと呼べるような演奏はできない。

それでは、トランペットで何を吹いているのか、といえばジャズのスタンダードのテーマ部分を練習したり、ちょっとだけアドリブソロのコピーをしてみたりと言った具合である。しかしながら、トランペットという楽器自体は好きであるので、弾ける曲のレパートリーは少なくてもなかなかそれで楽しめるものである。

トランペットという楽器そのものも好きで、口は一つしかないのであるが、楽器は何台も所有している。

中でもMartinのCommitteeというモデルが好きで、一時期は七本ぐらい所有していた。それに次いでF. Besson、Bengeが好きでF. Bessonはオールドのボロボロの楽器を二本所有している。もちろんV. Bachの楽器も一台持っていて、吹きやすさではBachがピカイチなのであるが、その育ちの良さそうな雰囲気がどうも私には釣り合っていないような気もしていて出番は少ない。V. Bachの楽器は今まで3本ほどは所有したことがあり、どれもいい楽器であった。

吹奏楽からトランペットを始める方の多くはV. Bachの楽器を使う方が半数近くいるだが、私は我流でトランペットをやっているものだから、35歳ぐらいまでV. Bachの楽器を所有したことはなかった。そういうおぼっちゃま臭い楽器には興味がなかったのだ。

しかし、一度Bachの楽器を吹いてみると、世の中にこれほど吹きやすいトランペットはないのではないかというほど完成されている。こりゃいかん、ということで急いで購入したのが10年近く前、それから常に手元に一台はBachの楽器を残しているのである。

最近のお気に入りはKingの2205という中級者向けの楽器(高級品の類ではない)やつなのだが、これのDizzy Gillespieモデルを使っている。いわゆるアップベルのトランペットである。

Dizzy Gillespie本人は長年Martin Committeeモデルをアップベルにして使っており、その後シルキーに持ち替えるので、Kingの楽器を使っていたのはごく一時期なのだけれど、それでもオフィシャルで発売されている彼のモデルはKingから出ているものだけである。

これが、なかなか吹きやすくて良い。
目下、自宅で練習するだけなので、人前で吹く機会などはなくアップベルである必然性は皆無なのだが、アップベルの楽器を構えると一気にDizzyのように吹けるようになるのではないかという幻想が頭をかすめ、上手くはならないのだが、自己満足の度合いとしてはとても高い。

Dizzy本人はどんな楽器を使っていても彼の音色が出るのだし、それはトッププロはみんなそうなのだけれど、私はこのDizzy Modelを吹いているとなんだか音までDizzyになりきれるような気分がするので不思議なものだ。
逆説的ではあるがやはり、楽器は見た目が重要なものなのだ。

ピアノとか、ぱっと見はどの楽器も同じように見える楽器もあり、トランペットもどちらかといえばそっちの部類の楽器でああるのだけれど、本人にしかわからない見た目で満足していたりするのだから不思議だ。いわんやエレキギターのように色々な見た目のものが存在する楽器は、弾きやすさなどは当たり前に重要なのだけれど、見た目は最も重要なファクターであると思う。

Dizzyモデルで日々練習をしていて、練習に身が入るかどうかは気分次第なのであるし、その気分を左右する大きなファクターは見た目なのだということに気づき、楽器選びに於いて見た目は重要なのよ、ということを改めてここに記しておこうと思い至ったのである。

まあ、見た目だけで全然ダメな楽器もあるのは事実なのだけれど。

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