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エレキギターの塗装を剥がすとどうなるか

手元にあるfenderメキシコのテレキャスターのボディーと極太のネックを組み合わせて組み上げた私物のギターの塗装がパリパリと剥がれてきていたので、店のスタッフに頼み塗装を全て剥いでもらった。

お金が貯まったら再塗装して使おうと思っていたのだけれど、気になったのでそのまま無塗装の状態のまま組み上げてみた。

このギターのボディー塗装を剥がしてみてわかったのだけれど、Fenderメキシコのボディー塗装はものすごく厚い。このモデルに限ったことなのかもしれないけれど、0.5mm以上あった。ボディーサイドに至っては1mm弱ほどもあった。

高いグレードのモデルはポリウレタンの下地の上にラッカーを施してあったりするので、もっと薄い塗装なのだろうけれど、このモデルについてはポリ塗装なので、塗装を厚塗りできるというメリットがあるのだろう。そのほうが、ボディーのサンディングを厳密にやらなくていいだろうし、傷がついてもバフで落としやすい。

塗装を厚塗りできるメリットは、品質を揃えたり、生産の工程上色々とあるのだけれど、ラッカーではここまで厚塗りすると、何回も(場合によっては十回以上)トップコートを吹かねばならないだろうし、現実的ではない。

それに、何より塗装を厚塗りしてしまうとエレキギターといえども楽器の鳴りを損ねてしまう。先日も書いた通り、エレキギターは弦の振動をマイク(ピックアップ)で拾い、その微弱な信号を増幅しサウンドを出力する楽器なので、少しのファクターで音がガラリと変わる。そして何よりも、弾いている本人の弾き心地がガラリと変わる。

塗装は、木部を温湿度変化や傷から守るという役割もあるので、塗装はある程度の厚みは必要なのだけれど、あまり厚塗りしすぎるとボディーの鳴りが抑えられてしまい鳴らない楽器になってしまう。

能書きはわかっているのだけれど、実際に塗装を剥がしたギターというのを弾いたことがなかったので、やってみた。

まず、すぐに気づくことなのだけれど、すぐに傷が付いてしまう。ピックガ当たってももちろん傷がつくのだが、それはまあいいとして、ちょっと擦れただけで傷が入る。このままではすぐに表面がボロボロになるだろう。私のテレキャスターは硬めのアッシュボディーなので、なおさら傷が目立つ。座って弾いていて、服に当たる箇所もすぐに傷がつく。
私自身は、自分のギターの傷をあまり気にしないほうなのでいいかもしれないけれど、神経質な人は気になるかもしれない。

肝心の音の方なのだが、生で弾いた時の鳴りが大きくなった。塗装の重量だけでも結構な重さ(200g以上)があったので、軽くなって鳴りが大きくなるのは理屈通りなのだ。

アンプに繋いでみると、さらに違いがはっきりしてくる。まず、倍音の出方が変わった。倍音が出るようになったのだ。塗装を剥ぐ前はもう少しウォームな、悪くいえばやや輪郭のはっきりしなかった布団とピックアップの音が変わった。シャリシャリとしたサウンドになったのだ。リアピックアップはさらにジャキジャキとしたサウンドになり、同じギターとは思えないほど変わった。

考えてみればあの厚い塗装の上にブリッジなどのパーツが載っかっていたのだから、ピックアップが拾う音が変わるのも頷ける。ボディーにダイレクトでマウントされているフロントピックアップも、ボディーの鳴りが大きくなったことでサウンドが変わったのだろう。

初めは、このなりの良いテレキャスターもなかなか良いとは思っていたのだけれど、しばらく弾いてみてわかったのだけれど、どうも塗装されていた頃よりも音の線が細くなったような気がする。
倍音が増えた分だけ基音の塩梅が比較的小さくなったためであろう。どうも音が細い。

リズムだけ刻んでいても、なんとなくシャラシャラしている気がする。ボディーの塗装は倍音をコントロールするという意味でもやはり必要なのだなあと改めて気づいたのだ。

しばらくはお金がないからこのまま使うとして、お金が貯まったらまた塗装して使いたいと思っている。

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