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楽器って困ったことに修理すればなおってしまったりするもんなのです。

Rhodes Stage Mark IIの修理用にRhodes用のピックアップを沢山仕入れた。

Rhodes Mark IIの白いテープが巻かれたボビンのピックアップは、経年劣化でショートしてしまい使えなくなるものが多いと聞いた。確かに、私の手元にある2台のMark 1 はピックアップを一度も交換していないのに、まったくと言って良いほどトラブルがない。70年代以降のFender社はこういうところでコストカットの悪影響を及ぼしてしまうところが良くない。

楽器というのは、10年、20年、30年と使っていくうちにその真価が問われる難しいものである。パソコンとか最近の家電製品であれば、もともと最初っから5年ぐらいしか使わない前提で作られているので、5年後に壊れても誰も文句を言わない。「高い修理代」を払ってまでして修理しようとは思わないのだろう。

最近の家電は高くなってきて、今となっては良い楽器が買えるぐらいの値段がするものもザラではあるが、その始末である。片や楽器は、家電製品のような値段で買えてしまうものも多いのに、40年使ってきて壊れたら「作りが悪い」と言われてしまう。なんとも因果なものである。

デジタル楽器というのが最近あって、デジタルピアノ(クラビノーバとか)なんかは家電製品のような消耗品であるとも言える。10年落ちのデジタルピアノをわざわざ欲しいという方はあまり多くはない。楽器も家電製品化してきているのだな。良いことなのか、悪いことなのか。

私がメインで取り扱っている楽器は、そういう消耗品の世界とは程遠いところにある。40年落ちでも美品中古とこれば「欲しい」と思ってしまったりする代物である。

私自身、消費者としてそういった30年落ち、40年落ちの楽器を沢山買ってきた。それでも、ちゃんとメンテナンスをしていれば普段使う分には特段問題はない。むしろ、そういう楽器をプロの現場でも使っている方もいる。

楽器はなおってしまうから良いのか、良くないのか。

楽器は、修理さえしていれば長くにわたって演奏することは可能ですが、修理のコストをケチってはいけませんよ。一回修理するとそこは大丈夫だと思って安心するものですから、何か不具合が出てきても気づかなかったりします。そういう安心のために、我々のような楽器屋というのが存在するのですから。

また、ダメになったら、諦めて新しいのを買うというのも選択肢の一つですよ。直して使えるのであれば捨ててしまうのは勿体無いですが、修理のコストは時として新品を購入するよりもかかります。楽器は、思い入れと安心が一番大事ですので、無下に捨ててしまうのは良くないですが。

40年前に製造されたRhodesの修理をこれから行おうとしていたら、ふとそんなことを感じたので、書いてみました。

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