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Rhodesピアノのピックアップから生み出されるギターサウンド

Rhodesピアノのピックアップの部品(ポールピースとマグネット)から作成したピックアップを搭載したオリジナルモデルが完成した。
今度は、前回製作したものよりも少しだけパワーのあるピックアップを搭載している。

フロントピックアップには前回はアルニコ2のマグネットを用いたピックアップにしたのだが、今回はより強力なアルニコ5のマグネットを採用している。

パワーがあると言っても、いわゆるディストーション系のハムバッカーほどパワフルなものではない。ピックアップにあまりパワーを求めると、高音域が出なくなってしまうし、音のバランスを取るのが難しくなってしまう。(ピーキーになってしまう)

今は、ハイゲインアンプも発達していて、歪ませたければ弱い出力のピックアップでも歪ませることができる。それよりも、レンジの広さを優先した方が結果として使い勝手の良いものができる。

このギター、ボディーの塗装はシンラッカーでブラックの塗りつぶしなのだが店のある地元の荒川区の塗装工房で塗装している。また、ピックガードは、木管楽器(サックスとかクラリネットとか)のマウスピースにも使われているエボナイトを切り出して製作している。エボナイトは音響特性が独特なので、楽器に用いられることが多い。今回はTLタイプのピックガードなので、それほど音に寄与するファクターは多くはないのだけれど、使ってみた。ルックスもベークライトとは少し異なり、艶が出てなかなか悪くない。

何よりも、肝心のサウンドであるが、いわゆるドンシャリ寄りのサウンドに仕上がっている。けれども、ミドルが出てこないというわけでもなく、粘りのあるサウンドである。

元々、Rhodesピアノのピックアップはフルレンジに対応するピックアップなので、どの音域にも合っているニュートラルなピックアップであり、低音タインの大きな振幅から高音タインの微弱な振動までを拾うようにできている。それのおかげか、キャラクターが偏りすぎない音色のピックアップとなっている。

フロントポジションにした場合、1970年代のテレキャスターに搭載されているフロントピックアップのようにややパワーがあり、50'sのような太さとは異なった元気なサウンドが出る。

ミックスポジションはTLタイプのキャラクターを一番左右する(使える楽器であるかどうかを決める)ポイントなのだが、Rhodesピックアップとアルニコ5のピックアップのミックスが功を奏しきちんと使いやすいサウンドに仕上がった。倍音もよく出ていながら耳に痛くないサウンドだ。

Rhodesのピックアップの部材を使ってギターピックアップを作ったら、どのようになるのかとても気になっていたのだが、エレクトリックピアノに求められるフルレンジに対応し、癖が強くなりすぎないサウンドを出力するという側面からも、使い勝手の良いピックアップに仕上がった。(見た目のインパクトは強いけれど)

もちろん、Rhodesピアノのピックアップとはコイルが違うので、磁場の広さが異なりそれだけ弦振動を拾う幅も異なるわけだから、Rhodesピックアップの音そのものというわけではないのだが。従来のギターピックアップとは異なる設計思想から開発されたRhodesピアノのピックアップのパーツを使うことにより生み出されるサウンドは、ギターサウンドとしてもなかなか使い勝手が良い。

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