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リバース管のBachなんて邪道じゃないのか?

私は趣味で(道楽で)トランペットを吹く、というか弄んでいます。
楽器屋で働いていると、日頃色々な楽器を取り扱いますので、どうしても色々な楽器をやってみたくなります。

それをグッと我慢して、あまりいろいろ手を出さないようにしております。色々と手を出してしまうと、楽器が欲しくなる病を発症してしまうからです。

楽器が欲しくなる病はとても危険で、楽器を始めるにあたっても初めっから初心者用の楽器などは欲しくありません。初めっからプロが使うような楽器が欲しくなるものです。

理由は簡単です。初心者用の楽器はすぐに飽きてしまうからです。
その点、ある程度良い楽器はつくりもしっかりしていて、音色も表現できるパレットが広く、弾いていて気分がいいものです。音色の表現の幅が広いというのは、諸刃の剣で、ヘタが弾くと下手にしか聞こえないという欠点もあります。それでも、その欠点を補うぐらい、良い楽器は弾いていて楽しいものです。

トランペットも然りで、今まで初心者用の楽器は殆ど買ったことはありません。殆どと書いたのは、チェットベーカーが使っているBuescherのAristocratという1970年代のモデルは、初心者用のいわゆるスチューデントモデルですが、チェットのファンなので、今まで2本買い替えたぐらい好きです。

なので、トランペットも何本か所有しております。一時期は「もうギターはいいからトランペットをメインに頑張ろう」と思っていた頃もありましたので、その期間に何本も買い替えました。

その中の一本に、Vincent Bachのリバース管のモデルもあります。所謂ストラッドモデルなのですが、LR180MLというモデルでマウスパイプは25パイプなのですがリバース管がついております。

これが、人伝に手に入れたものなのですが、コンディションはあまり良くなく、リバース管のマウスパイプが少し湾曲してしまっている代物なのですが、吹いていると、ピッチにもイントネーションにもくるいがあるわけでもなく、そのままでも十分吹けるので大事に吹いております。

バックの楽器は吹いた時に独特の抵抗感があり、息が音に変わる感覚を掴みやすい楽器ですが、それがリバース管になると抵抗感がなくなりバックではなくなるのではないかという不安を感じながら買いましたが、吹いてみるとほぼ普通のBachのStradivariusと変わらないくらい吹きやすい楽器でした。抵抗感は、普通のバックよりも少しだけ少なくて、息が入りやすい印象はありますが、やはり音色はバック独特のしっかりドッシリとした音が出しやすいイメージです。

リバース管を使うなら、別にバックでなくても良いだろう、と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、まさにその通りで、リバース管の楽器には他にも色々な名作があります。ありますが、BachはやはりBachで、作りもしっかりしていて、音が出やすくて、扱いやすいので安心感があります。

普通のStradivariusのラッカーの楽器も持っておりますが、そちらはそちらでちょっとキャラクターが違って、少しだけ音色が明るく、音が周りにも広がる感覚があります。(ラッカーのせいでしょうか?個体差でしょうか)
まっすぐ前に音を飛ばすというイメージでは、銀めっきの楽器の方がいいのかも知れませんが、どちらも捨てがたいものがあります。

リバース管のBachはレアもですなので、手放してしまうともう手に入らないので、これからも大切に吹いていこうかと思っております。

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