見出し画像

UFFC(非公式サッカーフランス王者)リーグ1の真のディフェンディングチャンピオンは今どこか

はじめまして。

当方リヨン侍という、Twitterの片隅で細々と呟き続けている者です。呟きの内容はリーグ1であったり、フランス代表であったり、リバプールであったり、その他欧州リーグであったり、アニメ・漫画であったり、声優ネタであったり、俺の嫁宣言であったり、まあアカウントを変えずに万つぶやき続けています。CLや代表戦では勝敗予想をすると手堅い予想ほど外れることから逆神と呼ばれ「もう予想しないで」とDMで苦情が来たりもしますがそれはそれ。この度、記事がRTされてくることも多いNoteというものに挑戦してみたく筆を執った次第であります。編集など不慣れな点もあるかと思いますがご容赦下さい

UFFCとはなんぞや?

ではまず、表題でもあるUFFCについてご説明しなければなりません。はじめは代表チームでした。W杯、EURO、アジア杯、コンフェデレーション杯など様々代表タイトルはあれど、「誰が現時点の最強か」という議論に答えを出せるものではなく、その答えを求め我々はアマゾンの奥地にまで潜入したり、ときに友情を失ってまで議論を進めてきましたが、明確な回答は出ないまま、さながら残業を削減するための会議を徹夜で続けるような疲労と惰性と諦観の中で各々が主張を続けてきたわけです。

しかし、ここに一つのシンプルな解法が誕生します。「まず暫定初代王者を設定して、その代表に勝ったチームが新王者ってことでよくね?」と。ボクシングやプロレスの考えですね。王者が勝つか引き分けで防衛、負ければタイトル移動。判定もなし。うん、判りやすい!

ということで誕生したのがUFWC(Unofficial Football World Champoin、非公式サッカー世界王者)です。この辺の概念はこちらの本に詳しく載っているので、よろしければご参照下さい。

でこれをフランスのトップリーグ、リーグ1でやってみたらどうなるのか、というのが今回の記事の趣旨です。実は既にJリーグで計算している人がおりまして、2番煎じどころか3番目以降の色すら出ない出涸らしみたいなアイデアですが、多分待っていてもリーグ1を集計してくれる人は現れないだろうなと思い、自分でまとめることにしました。フランスは2002-2003よりディヴィジョン1からリーグ1に改称し、チームもディヴィジョン1の18チームから20チームに増員されています。そこで、2001-2002の優勝チームリヨン(OL)を初代暫定王者とし、そこから現在消化済みの2019-2020の28節時点での王者を探っていこうと思います。データはリーグ1の公式を参照しています。


2002-2003

リヨン(1~4節)→ソショー(5~9節)ル・アーヴル(10節)→バスティア(11節)→ストラスブール(12節)→ソショー(13~15節)→ギャンガン(16~18節)→モナコ(19~29節)→ボルドー(30~32節)→リヨン(33~37節)→ギャンガン(38節)

この年に限った事ではないですが、リーグ1は引き分けが多めのリーグで、そのためそれほど強くはないチームでも一度王者に就くと案外3,4回防衛します。最長防衛はモナコの10、戴冠したチームは述べ11。マルセイユ(OM)やPSGなどの有名所が一度も出てこないのもある意味このリーグらしい混沌ぶりです。

2003-2004

マルセイユ(1~2節)→RCランス(3~5節)→レンヌ(6節)→アジャクシオ(7節)→ボルドー(8~9節)→トゥールーズ(10節)→ギャンガン(11~12節)→オセール(13~14節)→ソショー(15~20節)→レンヌ(21~22節)→オセール(23節)→リヨン(24~30節)→マルセイユ(31~32節)→PSG(33~35節)→ボルドー(36節)→メス(37節)→アジャクシオ(38節)※16節はソショーのみ順延となり、消化前に王者転落しているため防衛せず

ようやくOM,PSG、レンヌといったリーグ1の常連どころの名前が。しかしどこも長期防衛することなく17回ものタイトル移動が起きました。終盤週替りで王者が交代し、アジャクシオが最後に立っていたのを見た時一瞬「うわ、リーグ2行っちゃう?」と焦りましたが無事残留。まだリーグ1で進みます。

2004-2005

ソショー(1~2節)→オセール(3~4節)→バスティア(5~6節)→ボルドー(7~12節)→ストラスブール(13節)→マルセイユ(14節)→アジャクシオ(15~17節)→ニース(18節)→オセール(19節)→レンヌ(20節)→ナント(21節)→トゥールーズ(22節)→アジャクシオ(23節~27節)→ストラスブール(28~29節)→リヨン(30~32節)→PSG(33~34節)→リール(35~36節)→アジャクシオ(37~38節)※24節アジャクシオは延期され、その前に陥落しているので防衛にカウントせず

前年を上回る18回のタイトル移動、最長防衛がボルドーの5回という激戦区。モナコが2年連続出てきません。リーグ順位は3位なので余程運が回ってきていないのでしょう。シーズン終了時点での王者は2年連続でアジャクシオ。「喧嘩は最後まで立ってたモンの勝ち」という花山薫理論に従えばアジャクシオは喧嘩最強という事になりますが、この年のリーグ順位は14位です。

2005-2006

アジャクシオ(1~6節)→オセール(7~9節)→トゥールーズ(10節)→ナンシー(11節)→PSG(12節)→オセール(13~17節)→マルセイユ(18~20節)→リヨン(21~27節)→レンヌ(28~34節)→ニース(35~38節)※24節は順延され防衛にカウントせず

珍しく前年度からの王者が序盤防衛を重ねた事もあってか、タイトル移動はわずか9回。この年のOLは2位に15ポイント差つけてかなり余裕のある優勝をしているのですが、UFFCにおいては1度6回防衛をしたのみ。リーグ1を制する以上にUFFC王者となる事が難しいという証左になりそうで別にそういうものでもないような。アジャクシオはついにリーグ2降格。サッカーじゃ弱くても殴り合いならあんたがNo.1だぜ、というある意味実にコルシカのチームらしい爪痕を残していきました。


2006-2007

ルマン(1~3節)→マルセイユ(4~6節)→ナント(7節)→オセール(8節)→レンヌ(9~10節)→PSG(11節)→RCランス(12~17節)→リヨン(18~19節)→トゥールーズ(20~22節)→ナンシー(23~24節)→PSG(25節)→サンテティエンヌ(26節)→リヨン(27~36節)→モナコ(37~38節)

意外やサンテティエンヌ(ASSE)はここで初登場。しかしせっかく名を連ねたと思ったら怨敵OLに奪われてしまう辺りがらしいと言うか。「リヨン、お前は俺の……!」の台詞が似合いそうです。14回の王座交代の末最後に笑ったのはこれも久々登場のモナコ。それまで一度も姿を表さず37節でひょっこり出てきてゴールテープを切るという十二支のネズミみたいな業を決めました。

2007-2008

モナコ(1節)→ロリアン(2~5節)→ヴァランシエンヌ(6~7節)→ルマン(8~10節)→レンヌ(11~12節)→モナコ(13~16節)→マルセイユ(17~19節)→レンヌ(20節)→サンテティエンヌ(21節)→ボルドー(22節)→ロリアン(23節)→ヴァランシエンヌ(24節)→メス(25節)→リヨン(26~31節)→マルセイユ(32~33節)→リール(34~38節)

怒涛のプロビンチャ祭り最初から最後まで万遍なく長期王座が出ないシーズンでした。OLはアラン・ペランを監督に迎え、カリム・ベンゼマの得点王の活躍もあり7連覇を達成しましたが、ローラン・ブラン監督のボルドーに4ポイント差まで肉薄される苦戦で、本命不在のリーグ状況がこの乱世を引き起こしたとも言えます。

2008-2009

リール(1節)→ルマン(2~4節)→トゥールーズ(5節)→ソショー(6~10節)→リヨン(11~14節)→PSG(15節)→レンヌ(16~20節)→リール(21節)→PSG(22~27節)→マルセイユ(28~35節)→リヨン(36~38節)

王者として名が出たのは延べ11チーム。5~6回程度の防衛が多く、割と安定している印象があります。この年の優勝は一度もUFFCに出てこないボルドーで、シーズン終了時の王者は7連覇中はその栄誉に就けなかったリヨン。UFFCがむしろ疫病神タイトルでは?などと考えてはいけない。

2009-2010

リヨン(1~8節)→ソショー(9~10節)→トゥールーズ(11~13節)→ニース(14節)→ソショー(15~19節)→モナコ(20~22節)→サンテティエンヌ(23節)→ボルドー(24節、27節)→オセール(25節、28~35節)→リヨン(36~38節)※25節ボルドー、オセールが共に延期となり、その間におセールにタイトル移動、25節で防衛。26節はボルドーのみ延期でその後の防衛戦に関与しない

寒波や大雨で日程が乱れ、やや変則的なタイトル移動。シーズン的にはボルドーが一時期2連覇行ける勢いだったものの、ブランの代表監督就任の情報がリークされると一気に勢いを失いOMが優勝しました。OMもこの年UFFCには一度も輝いていません。ペドレッティやイェレンなどカウンターに最適化されたスカッドのオセールが3位に入り、驚きのCL挑戦権。しかも8月のPO勝ち抜いて本選に進み、レアル・マドリー、ミラン、アヤックスと同組を戦いました。この死の組が決まった瞬間、選手たちは「俺CRとユニ交換していいかな」「俺カシージャスのシャツ欲しいけど誰か通訳してくれるかな?」「むこうにベンゼマいるし大丈夫だろ」と違う盛り上がり方をしていたとか。

2010-2011

リヨン(1節)→カーン(2~3節)→ブレスト(4~11節)→リール(12~23節)→モンペリエ(24~25節)→レンヌ(26節)→マルセイユ(27~33節)→リヨン(34節)→オセール(35~36節)→ブレスト(37節)→トゥールーズ(38節)

OLにグルキュフが加入、ブランはボルドーを去り、ジャン・ティガナ就任、結果は裏目でボルドーは7位に。UFFCでは常連チームであるソショーが今回一度も入ってきませんが、リーグではマルヴィン・マルタン、リャド・ブデブズの台頭もあり5位に躍進しています。やはりUFFCとリーグは(ry
この年はガルシアが率い、アザールが覚醒したリールが優勝。

2011-2012

トゥールーズ(1~3節)→PSG(4~13節)→ナンシー(14節)→ディジョン(15~16節)→リール(17~19節)→マルセイユ(20~24節)→ブレスト(25~26節)→ボルドー(27~30節)→カーン(31~32節)→サンテティエンヌ(33~34節)→PSG(35~38節)※23節OMは延期され防衛カウントに入らず

PSGがお金持ちになったシーズン、謂わばPSG黄金期の幕開けです。実際4節から13節まで10回防衛を果たし、最後も35節から最後まで王座に就きました。なおリーグ優勝は得点王ジルー擁するモンペリエ。PSGはちょうど折り返し、19試合でコンブアレからアンチェロッティに監督の首をすげ替えていますが、勝ち点はコンブアレ40、アンチェロッティ39と拮抗し、ぶっちゃけ結果出してたコンブアレを無理に替えた効果は出てないです。その他、ASSEが初防衛に成功。過去3回は全て1節天下でした。おめでとう。

2012-2013

PSG(1~10節)→サンテティエンヌ(11~15節)→リヨン(16~17節)→PSG(18~24節)→ソショー(25~26節)→ナンシー(27節)→PSG(28~38節)

はい、PSG強いです。開幕から昨季からの続きで13回防衛のリーグ新記録を打ち立てた後、陥落してもすぐに奪還を繰り返し最終的に38試合中の28試合でチャンピオンでした。王座交代も最少の6回。リーグ優勝もPSG。一方この一強ぶりの間隙を縫ってこの年降格したナンシーが戴冠していたり、ASSEが4回の防衛をしていたりと小さな見どころはあるシーズンです。

2013-2014

PSG(1~15節)→エヴィアン(16節、18節)→ニース(19~21節)→モンペリエ(22~27節)→リール(28~36節)→PSG(37~38節)※17節は延期され、エヴィアンは陥落するため防衛記録なし

王座交代回数は最少の5。PSGは連続防衛記録を25回まで伸ばしての圧勝。OLもOMも影もありませんむしろこのPSGからタイトル奪取を成し遂げたエヴィアンを褒めるべき。当時のGKシリグはインプレーでもセットプレーでもファーへのクロスに異常に弱く、格下相手でもCKがファーに流れて決められるような試合がいくつもあり、この試合もそんな失点です。アジャクシオが降格しGKオチョアがサポーターに愛されながらのお別れになったシーズンですね。

2014-2015

PSG(1~17節)→ギャンガン(18~20節)→マルセイユ(21節)→ニース(22~25節)→モナコ(26~35節)→マルセイユ(36~38節)

PSGがどこまで記録を伸ばすのかとヤキモキしていましたが18節にギャンガンに苦杯。ギャンガンは同じ週の木曜にELベスト32進出を決めた直後の試合で、サポーターは3日で2回もいい夢を見たと物凄いテンションでTwitterに書き込まれていたのを思い出します。モナコもロシア資金とジョルジュ・メンデスのルートで選手の質が上昇していて、ある意味リーグ1らしからぬ豪華なメンバーが国内で見られるようになりました。

2015-2016

カーン(1~2節)→ニース(3~4節)→ギャンガン(5~6節)→PSG(7~27節)→リヨン(28~37節)→スタッド・ランス(38節)

ついに恐れていた事が起こりました。OMが開幕戦いきなり防衛失敗した後、暫くは点々と動いていたUFFC王座ですがPSGが7節で奪還するとここから27節まで無風状態、OLが一矢報いてそのまま行くかと思いきや最終戦でスタッド・ランスに完敗、そしてスタッド・ランスは降格し……UFFCタイトルはリーグ2に舞台を移します。果たして1シーズンで戻ってくるのか、それともル・アーヴルのようにリーグ2指定席になるのか震えて待て。

2016-2017

スタッド・ランス(1~8節)→ブレスト(9~12節)→RCランス(13~17節)→ストラスブール(18~19節)→アミアン(20節)→ニオール(21~23節)→ニーム(24~29節)→ソショー(30節)→ストラスブール(31~38節)

リーグ2で繰り広げられるUFFC。さすがに出てくるチームも馴染みのないところばかり……家といえばそうでもなく、少なくとも王座に座るチームはそれまでもリーグ1でも王者だったチームがそこそこ出てきます。そしてストラスブールがリーグ優勝とUFFC王座の二冠を持ってリーグ1復帰。めでたくUFFCもリーグ1に戻ってまいりました。ちなみにこの年のリーグ1優勝はモナコ。この絶妙にフォーカスのずれた所で栄冠を取るの、とてもらしいと思います。

2017-2018

リヨン(1~5節)→PSG(6~15節)→ストラスブール(16~18節)→メス(19~21節)→モナコ(22~32節)→PSG(33~36節)→レンヌ(37~38節)

王者は延べ7チームと少ないですが、PSGが飛び抜けて連勝してると言うほどでもない奇妙なシーズン。PSGはエメリのラストシーズンで、昨季歴史に残るような負け方をしたバルサからネイマールを獲得するも後半戦を負傷で使いこなせず、そのチームに漂う悪い雰囲気のままに終盤レンヌに負けてタイトルを持っていかれた感じです。

2018-2019

リール(1~3節)→アンジェ(4~7節)→ギャンガン(8~11節)→ナント(12~14節)→サンテティエンヌ(15節)→ボルドー(16~19節)→ニース(20~22節)→リール(23~28節)→モナコ(29節)→カーン(30節)→ニーム(31節)→マルセイユ(32~33節)→ナント(34~37節)→ストラスブール(38節)※18節ボルドーは延期され防衛なし

2つの点で特異なシーズン。一つは優勝チームであり、ここ数シーズンは常に長期政権を守ってきたPSGが一度も出てこないこと。これは何度か先例がありますがもう一つはここで初めて29節で王座移動があったこと。実はここまで29節は全て王座防衛に成功している週で、リーグ1&2初の出来事なんですね。OLとしてはシティに勝ったりアウアー、フェキル、メンフィスというヨーロッパレベルのユニットが完成したり良いシーズンですが、ネイマールはこの年も後半戦怪我に泣きました。

2019-2020

ストラスブール(1~2節)→レンヌ(3節)→ニース(4節)→モンペリエ(5~7節)→ストラスブール(8節)→ディジョン(9~10節)→ブレスト(11節)→アミアン(12節)→レンヌ(13節)→ディジョン(14節)→リール(15~18節)→モナコ(19~20節)→ストラスブール(21節)→リール(22~24節)→マルセイユ(25節)→ナント(26節)→リール(27~28節)

29節の手前でサスペンドされているので、現在のリーグ1非公式王者はリールという事になります。リロワ(リール市民やリールサポの事)の皆様、おめでとうございます。
2019-2020がまだ終わっていませんが、ここまでで1年平均10.55回の王座移動があり、移動のあった節の最多は11節の9、最少は29節の1回でした。


まとめ

PSG全盛期に移動の少ないシーズンはあるものの、全体としてあまり長期王座もなく、思ったよりバラけています。あと、ASSEが出てきたと思ったらすぐに転落したり、宿敵のOLに奪われたりしてるのがちょっと気の毒に感じました。また何かTwitterで書くには長くなりすぎる記事を書く時にはNote使ってみようと思います。

それではまた

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?