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旧作杯Vol.4 観戦記事 ROUND6 きゃべつvsキチ ~知識の部屋の住人~

text by ふみ

旧作杯Vol.4も予選ラウンド6回戦のうち5回戦まで終了した。その時点で上位6名は決勝進出をほぼ確定。残り2席をここまで3勝1敗1分(10点)で終えている4人のプレイヤーのぶつかり合いによって争う形となった。そこに紛れはほぼ存在しない。

所謂バブルマッチというものである。


Game1

後攻のきゃべつが1ターン目に《真鍮の都》から設置した《象牙の塔》。両者ともにその時点では大きく気を払っていなかったこの一筋の塔が、ターンが進むにつれてどんどんとその存在感を増していく。

キチは2ターン目に《Sedge Troll》を展開。これによりおそらくキチのデッキは流行りのTroll Discoと呼ばれるデッキであろうことが判明した。この《Sedge Troll》に対して、きゃべつは即座に《剣を鍬に》を当てまずは一山を超すと、そのままターンエンド。

キチ「土地1枚ですか?」
きゃべつ「ばれました(笑)」

きゃべつは2枚目の土地が引けていない。これを見てキチは《露天鉱床》で《真鍮の都》を破壊し、《ミシュラの工廠》で攻撃を継続する。

きゃべつはまたも土地が引けない。だが引けないということは手札を消費することができない。

そう、キチがどれだけ《ミシュラの工廠》で攻撃をしても、きゃべつのターンに戻るとあっという間に元に戻ってしまっているのだ。そこから2ターン経過するが、きゃべつのライフが原点を割ることはない。ディスカードを繰り返しているというのにだ。

業を煮やしたキチは《Sedge Troll》を追加、しかしきゃべつも《ミシュラの工廠》を手に入れたことで、キチはどうにも攻めを継続できない。減っては増え、削っては回復し、延々と上下するきゃべつのライフ。

そうこうしているうちに《Underground Sea》を手に入れたきゃべつは《友なる石》をつなげる。《Sedge Troll》への《剣を鍬に》は《対抗呪文》して攻撃を押し通すキチ、この攻防によって手札を僅かなりとも減らしたきゃべつ、しかしそれでもまだライフは17。

ライフは、減らない。

ここまで何ターン経過したのだろう、《Sedge Troll》は何回攻撃したのだろう。まるで無限回牢に迷い込んでしまったかのようなトロールが、象牙の塔の主人の姿を捉えることができない。2体目の《Sedge Troll》をも追加しひたすら塔の扉をこじ開けんとするのだが、きゃべつが無情にも唱えた《Ancestral Recall》で再び手札までもがまき戻ってしまう。


ここはきゃべつの安息の場所か

だがまだキチにも逆転の目は残されている。Troll Discoにとって《Sedge Troll》が攻撃の主体であるなら、防御の要は《ネビニラルの円盤》。これさえ起動できてしまえばきゃべつの防衛線は一気に瓦解する。

しかしキチの祈りもむなしく、きゃべつは塔の奥で《ジェイムデー秘本》を開く。いよいよタイムリミットが迫る。秘本に記されていた《Demonic Tutor》をきゃべつが使用し、それによってもたらされた《天秤》を右手に掲げると、キチの戦線は崩壊。

満を持してきゃべつが《ミシュラの工廠》でゆっくりと反撃を開始する。

ここでキチがセットしたのが待望の《ネビニラルの円盤》。そう、待ち焦がれたものだ。だが残念なことにそれを手に入れるまでに、いささかきゃべつに時間を与えすぎた。きゃべつの備えは万端であった。

《Chaos Orb》によって、円盤がその力を発揮する前に破壊されてしまうと、もはや戦況が覆ることはない。そこからのキチの反撃も全てシャットアウトし、たった1枚の《ミシュラの工廠》がじっくりとキチにダメージを与え続ける。

7ターンが経過し、キチのライフが5まで落ちたとこできゃべつは最後の呪文を詠唱した。そして象牙の塔の頂上から放たれた《火の玉》がキチの体を焼くことになった。

きゃべつ 1-0 キチ


Game2

静かな攻防が続いたGame1と打って変わって、Game2では激しい戦いが繰り広げられる。といってもクリーチャー同士のぶつかり合いではなく、お互いの土地を攻め合うという形でだ。

キチの《島》《Underground Sea》を立て続けに2枚の《露天鉱床》で破壊するきゃべつ。この連続攻撃に苦笑いしながらも《ミシュラの工廠》、更には《Volcanic Island》と続け土地が止まることがないキチ。

一方で《露天鉱床》を使い続けているということは土地が伸びているわけではないのはきゃべつも同様。自身の《真鍮の都》は逆に《露天鉱床》されてしまう。お互いの《ミシュラの工廠》はクリーチャーと化したところで、《解呪》と《稲妻》によって一瞬のうちに退場し、しばらく両者に土地が残されない。

消耗戦の要素を呈する中、まず先に立ち上がりの目を得たのはきゃべつ。引き入れたのは《Library of Alexandria》! これまで土地以外にほとんどのリソースを使用していないきゃべつは当然の7枚の手札を保持。じわじわと優位差をつけ始める。

一方のキチは3枚の《Volcanic Island》と《Mox Ruby》《Mox Jet》、そして《Sedge Troll》をコントロール。残念ながらこのトロールはすぐに《剣を鍬に》で退場してしまうのだが、ここでキチは《露天鉱床》を引き入れる。

これで《Library of Alexandria》を破壊するのかと思われたが、先の《剣を鍬に》を見て最早除去はないと判断したか、一気に押し込むべくフルタップして《マハモティ・ジン》を召喚。

しかし《Library of Alexandria》に収められた知識はこれへの対処策もきゃべつにもたらしていた。再び《剣を鍬に》でキチの決意のジンが即座に退場させられると、きゃべつは反撃とばかりに《セラの天使》を降臨させる。

だがキチも決勝トーナメントの椅子を争うだけの実力者。ここで《Demonic Tutor》からの《Ancestral Recall》、続くターンには《精神錯乱》を突き刺しきゃべつの手札を壊滅させると、いよいよ《ネビニラルの円盤》を設置することに成功した。


元祖大量破壊兵器

きゃべつ「手札何枚ですか?」
その時を待つ円盤を前にして、ターンを得たきゃべつが問いかける。

キチ「0枚です。そちらは何枚ですか?」
この状況に持ち込むためすべてを吐ききったキチ。きゃべつへの逆質問。


「今引いた1枚です。だけどとても良いのを引いたので考えてます」
そう言いながらきゃべつが公開した「とても良いもの」


端的に換言すればトップデッキというやつだ


《Library of Alexandria》で学び続けるきゃべつは、遂には悪魔をも従えこれを《神への捧げ物》へとすることで、最大の危機を乗り越える。そして続くターンの《Braingeyser》で、失ったはずの知識を全て取返し、これまでの集大成を見せつけることなるのであった。

きゃべつを守護者たる《セラの天使》が、キチへの最後の一撃を振り下ろした時、丁度試合終了の鐘の音が鳴った。それは同時に次戦へのプロローグともなるのであった。


きゃべつ 2-0 キチ

きゃべつ、添削杯Vol.4決勝トーナメント進出