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Une femme est une femme?エクリチュールについて日々考えています…

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Une femme est une femme?エクリチュールについて日々考えています。 https://coyoly.org

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  • 随想 ーー心を澄ますーー

    心の奥底に潜む声を掬い上げるエッセイ・詩など

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    • 思えば彼は/彼女は

      エヴァへ行くつもりじゃなかった。全く他の用事のために外出したのに導かれるかのように何故か映画館の椅子に座ってた。こんなの「ボヘミアン・ラプソディ」以来人生二度目の経験です。 TVアニメ版はリアタイ信者から速攻布教されてVHS渡されて見てアスカにシンクロ率400%になって精神汚染された時に一緒に壊れて心療内科通うきっかけになりました。旧劇は春夏映画館で観て、新劇は序破Q全部TV放送で済ませて、この完結編だけ先ほど映画館で鑑賞しました。でも四半世紀ずっと私はアスカのままでした。

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      • 「弔うために生きよ」

         文庫本を閉じる前と同じ教室  聖パウロは今日も回心している  マスールのベールと同じ空  幼稚園児は今日も散歩している  生まれて初めて焦点が合った  違和感なく世界を見た  眼前から色が消えた  鱗が落ちた    本来  私の世界には色がなかった  周囲の求めに応じるがまま  無理やり着色させただけだった  よるべない世界は総天然色  私の居場所はセピアカラー  この街の気配  丸裸になった木が寒風に晒される  「わかった」という声がこだます

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        • 地殻変動

           罪悪感をずっと押し付けられてきた  普通ではない私がいけないのだと  社会に馴染めない落伍者は  いつも門前払いされてきた  うまく外に出られない  うまく人に会えない  「そんなこともできずに何ができる?」  いつもそう責められてきた  私に息を殺せと強要した社会が  ある日突然猛烈な勢いで  この場所に雪崩れ込んできた  「社会は変わらないのだからあなたが変わるしかないのです」  嘘だった  私たちを押さえつけてきた壁があえなく瓦解した  劣等生は一瞬にして優等

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        • 随想 ーー心を澄ますーー
          35本

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          Human Being −魔法使いの弟子−

           ラジカセを持ち入ってくる修道女  静まる教室  「考えなくていいから聞きなさい」  『星の王子さま』の朗読が流れる    キタキツネが出没するグラウンド  アンネの薔薇が咲く玄関脇  手を繋ぎ散歩する幼稚園児  飛行機に掻き消される声  他の科目の教科書を取り出し考えるクラスメイト  私は何も考えず聖書を枕に眠りこける    「終わりましたよ」  私の肩を揺らし微笑む老女  灰色のベールも一緒に揺れている  聖書に広がる涎の海  顔に貼り付いたページを剥がすと  左頬に転

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          Human Being −魔法使いの弟子−

          5年前(2015年6月23日)のFB投稿

          「多様性」が叫ばれれば叫ばれるほどに「普通」や「常識」の得体の知れなさ、底しれなさに戸惑います。「普通」や「常識」の可変性、柔軟性があらゆるものを一瞬で飲み込んだり排除したりする様が怖いです。 そんな奥行きのある「普通」や「常識」の了見が狭くなり弾力性を失った時にはもう戦争状態に突入していると考えます。 私はほとんど食料を買いに外に出ないので、ある時コンビニでチケット引き換えついでに気まぐれに食べ物のコーナーを見たら、焼きそばパンが見覚えのあるサイズの2/3になっていて、なお

          5年前(2015年6月23日)のFB投稿

          残照

          「昔、秋葉原にもバスケットコートがありましたよね」  私の渋谷の廃墟を見せた彼が言う  少年時代の日曜日の夕方  京浜東北線の車窓から眺めたバスケットゴール  父親に手を引かれて歩いた秋葉原  その時、女子大生の私は一人で道玄坂を駆け上がる  2020年  彼の憧憬は秋葉原UDXに  私の恋心はMEGAドン・キホーテ渋谷本店に  電脳空間の片隅で宝物を拾い上げる  あの頃の未来とは違う場所で  肩の代わりにSNSでコトバを寄せ合い  胸奥のクラ

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          Paris,Texas 再見

           「パリ、テキサス」WOWOW放送もう終わったのにずっと脳幹が痺れたまま放心している。  この映画を初めて観たのは大学生の時で、その頃の私にはわからなかった主人公トラヴィスの揺れ動きが、一挙手一投足がわかってしまって今うまく目が開かない。彼は喋らないのではなく喋れないんだ。特定の人への言葉をまとめようとすればするほど瓦解してしまう現象に何より今私が悩まされているのでどうしようもないの心底わかる。  実は初めて観た時も小学校から高校までピアノ教室で場面緘黙に陥ってたからその感覚

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          Paris,Texas 再見

          Poor Youngness

           ふと振り向くと、私の後ろで溺れている女の子が沢山いた。その時気づいた、後ろを振り返る余裕ができていたことに。強制的に上がらされ、無理やり戦わされ続ける「若い女」という土俵から降りていたことに。  「若い女」、それはとても惨めでみすぼらしく不甲斐ない思いをさせられ続けることだった。まるで生きた心地がしなかった。「ここにお前の居場所はない」と突き落とされ続ける日々、それでも何とか這い上がろうとする姿を「若い男」に無邪気に見下され続ける日々。  スタート地点が全く違うことに彼ら

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          Vanishing Point

           ポケットの中にあるはずの世界が消えた  手のひらに収まる世界が  目の前には一つの世界しかなかった  駅のホームで周囲を見渡す  その世界だけに立っていたのは私だけだった  目の前を生きているのはわたしだけだった    剥奪された世界からの休息  拍子抜けするほど長閑で  春の陽気を浴びる人は少なく  換気される電車内でまどろむ  遺却された世界は喧しく  目まぐるしく意見が行き交い  今この時間にも罵りあっている  声を出さない決闘場  遠くで観戦する隣人  空いて

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          さまよい

           ここではないどこかを  探す気力すらなかった  そんなところがあると  憶うことすらできなかった  行く場所も帰る場所もなく  さまよい続けたある日  小さな島に足を下ろした  その刹那   心の底から安堵した  そこはわたしの島だった  怯えず息ができた  空洞が塞がった  力が抜けた  静かに運命は舞い降りた  たましいのふるさとにめぐりあった  疑う隙もなく満たされた  故郷になじめぬ寂しさが消えた  東京でしか生きられぬ私が消えた  ここに墓を建てよう  

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          naked

           他者からの評価を 震えながら待った  逃げたら一生ここから逃げられない  そう言い聞かせ 差し出した  高三の春 ことばを品定めされる人生へと踏み出した  二十三歳 ことばを口に出せなくなった  ことばを剥き出しにするくらいなら  裸になることを選んだ  三年間 ことばの代わりに裸を差し出した  服を着た それでも文体はやってこない  十年待った やっと手応えを掴んだ  これで書ける  そのとき 大地が揺れ 海が押し寄せた  間に合った  嬉しかった  書ける  書か

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          鼻に残るは君の忘れ香

          深く潜る 深く潜るわたしを 私は見る 音もなく雪を吸い込む海 渚に座り 岬に立ち  結晶を顔に張り付け 私は見る 肌の上で融ける手紙を読む 桜貝の声を 私は聞く 砂まみれの爪で弾く そこに眠る声を 遥か遠くに隔てられた人の声を 人魚姫だったわたしの声を 私は聞く 怒り 憎しみ 慈しみ すべては海の底に わたしを殺したひとたちと ともに 私が殺した人達と 共に 凪も 時化も 津波も  生も 死も  すべては潮風と 共に わたしのうろこと ともに

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          鼻に残るは君の忘れ香

          共依存

           英雄になり損ねた怪物、怪物になり損ねた小心者--すなわち境界例に殺されかけたあの時に引き戻される。  殺気にすべてを乗っ取られた人間に首を絞められ、そのまま柱の角に頭を延々と打ち付けられ、五十回を過ぎた辺りから数えるのをやめた。抵抗する気力が失せた。どれくらいの時間倒れていたのかは不明だが、とにかく意識を取り戻してふと鏡を見ると、眼球の血管が切れ白目ではなく赤く染まり、全身チアノーゼを起こし、いつかネットで出くわした硫化水素自殺の遺体のような腫れ方と色になっていた。

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          共依存

          異世界(Une femme est une femme)

           「女性のライフサイクル無視の歴史は長い」と明示されている通り、ここに私たちのための服は用意されていない。なのに、何とか選んで工夫して使え、という暴力を振るわれる意味がわからない。過去に私たちが受けた屈辱を追体験、再体験させられる深遠な狙いを浅学菲才のため掴み切れない無知蒙昧な女は呆然と立ち尽くし、痛みだけを感じている。  過度に男性化された社会に適応しようともがいた挙句壊れ、それからずっとこの拘束具を剥ぎ取るための苦闘を強いられてきた女として、それでも何か選べと強要される

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          肉体

           肉体を持つとはどういうことなのだろう。  肉体を喪った人のために嘆く人がいる。そしてそのすぐそばに、他は何も変わらず肉体だけを喪った人がいて、困り果てて苦笑していることもまたよくある。こちらに「ねえ?」と水を向けられ、一緒に笑いそうになるのを必死に堪える。  こんなに近くにいるのに、肉体を持つ大多数の人はどうして気づかないのだろう?  傲慢な私はいつも思う。  時々、肉体を持たない存在が私の所まで大切な人へのメッセージを携えやってくる。どれだけ近くで語りかけてもその声

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