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#017【絵本】 ニコラスどこにいってたの?

今日もホッコリ絵本の世界へ📚
絵本を読んだ記録として、感想を書いています。



まずは一言

渡辺茂男さんの本で、
翻訳の違いにますます興味を持ったので、
洋書絵本コーナーにあって日本語版もあった
レオ・レオニのこの本を図書館で借りてきました。


今日の絵本

『ニコラスどこにいってたの?』

レオ・レオニ 作・絵
谷川俊太郎 訳
発行所 佑学社(1988年)


原書はコチラ


感想

やっぱり谷川俊太郎さん!!

私のつたない(グーグル翻訳の力も借りた)直訳と比べちゃダメです。
ていうか、当たり前!おまえが言うなって話です(笑)

でも違いが面白かったので少し紹介。

たとえば、

野いちごが大好物の4匹の野ネズミたちは、熟れた赤いのを先に来た鳥たちに食べられたことを聞いて、こう言います。

「Down with the birds!」

『Nicolas, where have you been?』より

直訳すると、「鳥と一緒に落ちる??」
でも谷川さんの訳は、

「とりたちなんか くたばれ!」

『ニコラス どこにいってたの?』より

です。
他にも、

「居眠り」という単語のdozingは『うとうとしている』
「激烈」という意味のfuriousは『かんかんになって』

ここら辺は、日本語を子どもたちに分かりやすくした訳なのでしょうが、


ニコラスがおおきな鳥に掴まれて連れていかれそうになった話をしている途中で、怒った仲間の野ネズミたちが叫んだ言葉。

「War on all the birds!」

『Nicolas, where have you been?』より

直訳すると、「すべての鳥たちとの戦争(戦う)」
になってしまうところを、

「とりは みんな やっつけろ!」

『ニコラス どこにいってたの?』より

になるんですね~。
頭やわらかくしなきゃです。
ニュアンスをわかりやすい形に。


ここもさすがだなと思いました。

「Let me finish!」
Nicolas insisted desperately.
「Let me finish my story!」

『Nicolas, where have you been?』より

直訳すると、
「終わらせてください。とニコラスは必死に主張しました。
私の物語を終わらせてください!」で、
なんで終わらせて?となってしまうところを、

「おしまいまで はなしを きけよ!」
ニコラスは ひっしになって いった。
「おねがいだから!」

『ニコラス どこにいってたの?』より

になる。
ほぼ一緒の英文なのに「お願いだから!」にするのがいい。


物語の最後に、レイモンドおじさんがいう言葉もステキでした。

「That shows you,」he said.
「One bad bird doesn't make a flock.」

『Nicolas, where have you been?』より

直訳すると、
「それはあなたを示しています。と彼はいった。
一羽の悪い鳥は群れを作らない。」
群れを作らないってことは~?、

「これで わかったろ、
1わの わるい とりだけで、
ぜんぶの とりを 
わるいと きめつけちゃ いけない。」

『ニコラス どこにいってたの?』より

That shows youって慣用表現の一種なんだろうか?
じゃなければ、何か深い。
あなたがそうであるように、って?!
「これでわかったろ。」って訳されてるのもカッコいい。

谷川さんの訳に惚れ惚れしました。

絵本だから訳するのも簡単なんていう人もいるようですが、
絵と原文から作者の思いとニュアンスを感じ取って、
それを日本の子どもたちに分かりやすいように変換する仕事。
かなり大変な作業だと感じます。
でも同時にとてもやりがいのあるすてきな仕事だなと思います^^

レオ・レオニのお話自体も、
明暗を使って大切なことを教えるストーリー。
とてもステキでした。

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