文字と形にこだわった１０のいろは歌。

『ブラックホールノイロハ』

告げろ終わりを
まさに未曾有と
全よ根絶やし
吸い込む穴
ブラックホール
帰れぬ僻地
夢も果ての日

『目のいろは』

浮かべたわ 目にローマ
暮れなずむ 空追って
火を燃やせ 知恵 羽根の
見よ剣抜き 誇りさ

美しい瞳 まるで冬の朝

『皿のいろは』

うまそーな匂い！

鱗でチップスを
ソムリエ秋へ練る
肉焼け爆ぜたヒレ
いわし汁も飲めよ

皿を見る カヌレぽよんと

『耳ノイロハ』

星のハープ聞こえる
なぜ讃美歌
夜空散りて
無を見ろ うねった芽に

ノイズ泣けぬ 世も闇
鼓膜が揺れて 泡立つ音へ

『森のいろは』

深き森に青き夢
優しきほつれ

湧く濃霧は千の猫
癒え手のひらを

見よトロール謎解けず
沼へと散った

『カバンイロハ』

旅へ出よう さあ
絹の帆 真っ白
陸地見えず 空
カバンに縄入れ
船 オール積むと
漕げ 夢を燃やせ

『何匹イロハ？』

イルカ群れ お行き
謎のヒツジ 変
ラッコ クマは呼ぶ
餌チーズや ワニ

イヌ鳴け トラ吠え
カメ乗せ ネコたち
雄ウシ 身も派手や
キリンを アフロに

『月のいろは』

呼べ 悲しい青
黒猫は 吠えた
見せて夢を 月！

夜に暗闇 地図濡れん
踊ったうさぎのヒゲも染まり

“ムーン　ふわり”

『希望と絶望のいろは』

【縦：希望のいろは】
晴れ渡り空に
いま希望を編む
溶けろ砂の屋根
笑みベール持って

【横：絶望のいろは】
破壊せよと鵺
喚き落ちろ火へ
底を冬の死も
憎む雑念で

『ハリケーンのいろは』

まわれ風車 ハリケーン
靴濡らす雨 ゆるむ帆よ
地平の先に 風も笑み
寝転び そっと尾を撫でた