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「捕虜のあと」と「会社のあと」を考えない日本人

4月1日、入社式に向かう新人さんを見かけました。
組織に入る彼らを少々複雑な思いで眺めます。というのも、先週末とても恐ろしい本を読み、しばし考えていたからです。その本を紹介しつつ、改めて「フリーランス・マインド」の大切さについて考えます。

「捕虜になったあと」を考えていない日本兵

本の名は「日本兵捕虜は何をしゃべったか」(山本武利著、文春新書)
こちらには太平洋戦争時、捕虜になった日本兵が敵国米兵に対して「いかに秘密をペラペラ喋ったか」が詳しく書かれています。

孫子の兵法にいわく「爵禄百金を愛みて敵の情を知らざる者は不義の至りなり」。

敵情の報知(=情報)収集を怠ってはいかんという教えですが、本書を読むと日本軍がいかに「情報」を軽視し、逆に米軍がそれを重視していたかがわかり、その差に愕然とします。

米兵は日本人の心情とそれを培った日本式教育を理解しており、日本兵から秘密情報を聞き出すテクニックを習得していました。それに操られて、重要な秘密をなんでも喋ってしまう日本人。読んでいて悲しくなります。

日本人兵士はこと細かに日記をつける習慣があり、そこにこっそり上官の悪口を書くクセがあったため日記を隠し持っていた--ここまでくると今と変わらないじゃないか、と苦笑します。

日本兵は降伏して捕虜になることを恥辱と教育されており、そうなるくらいなら自殺せよと命令されていました。だから「捕虜になったあと」の対処方法についてまったく教えられておらず、どうしていいかわからない。その心の隙をついて米兵は「意外な厚遇」で警戒を溶かし、「君が本当のことを話せば一般人を攻撃しなくて済む」と正義をちらつかせてしゃべらせます。

その他諸々、情報の大切さを越えて恐ろしい本でした。
そして私は個人的に、これを読んで「定年」に似ているなと思いました。

「組織を離れたあと」を考えていない日本人

多くのサラリーマン兵士、とくに男性兵士は「いかに組織のために働くか」に血眼になっており、「組織を離れたあと」のことをまったく考えていません。「定年になったあと」のことなど考えることなく一心不乱に仕事に向かう姿は日本兵を彷彿とさせます。そのような姿こそが若い世代に嫌われているのではないかと想像するわけです。本書、「日本人を知る」手がかりとして学ぶところ大でした。

やはり組織人である前にひとりの人間でなければいけません。「組織を離れたあと」抜け殻になってしまうのは悲しいことです。私が「フリーランス・マインド」と呼んでいるものは、サラリーマンであっても所属組織とは別に、自分自身の感覚・思考を大切にしようということです。

自分自身を大切にしましょう。
そして、上司の悪口をSNSに書くのはやめましょう(笑)。

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