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「天気の子」から学ぶ人生の創造力(ネタバレ含む)

天気の子の賛否両論感は良いバランスで議論を生み、話題性を引っ張り続けられると安心しているカタヒラレンです。あと3回くらい感想を述べても、「古いよ、その映画」と言われないので僕的にはラッキーです。

公開してから5日ほど経ちましたが、多くの方が劇場へ足を運んだと思うので、今回はネタバレを含みながら天気の子の主人公「帆高(ほだか)」から学べる人生力を考えていきます。
珍しく、僕のツイートです。↓


僕が(これほど分かりにくい)ツイートをしたのは、「天気の子」を観て「サルトル」を思い出したからです。

帆高(16歳)は、東京から離れた島から家出します。東京の新宿・歌舞伎町のネカフェでシャワーを浴び、バイトを探している彼の手帳には、1日生きるのに必要な費用が記載されていました。これは、おそらく家出計画を立てたときに計算された数字です。実際には、高校生にできるバイトなど限られていて、面接で断りまくられたせいで計画は狂ってしまいましたが…。ただ、一文無しの彼は東京へ向かう船で出会った男・須賀さんに連絡すると、なんとか須賀さんの下でバイトを始めることができるようになるわけです。そのバイトの月給がなんと3000円。めっちゃブラック。ただ、須賀さんの事務所で寝泊まりさせてくれるし、ご飯も食べさせてくれるから、帆高にとって計画に大きな崩れはなく、「自分にはこの事務所で役割がある!」と、始めて感じる自分の貢献感に、気持ちよくさえなっていました。そして、天気を晴れにできる陽菜(ひな)という子との出会いから、東京で恋愛も繰り広げることになります。そして、彼女の生活を助けるために、新しい仕事(天気を届ける仕事)まで生み出して、一緒にビジネスを始めます。そんな仕事の副産物として、普通は立入禁止のビル屋上で花火を見ることができたり、おばあちゃんと知り合ったり、いろんなイベントを発生させます。陽菜が人柱として空へ消えますが、その自然現象さえも帆高は己の力で切り抜けて、陽菜を元の世界へ連れ戻します。
東京の天気よりも、自分の好きな子を選択できる権利を行使します。(このときの帆高の気持ちは分かる気がする。ただの異常者だけど)


こんなバラエティに富んだ人生を高校1年の数ヶ月で味わえるなんて、羨ましい!!


そう感じた僕は、帆高の成功要因を考えました。すると、真っ先に浮かんだのがサルトルの「人は投企的存在となりうる」という言葉だったのです。

噛み砕くと

「人間は自分の人生をプロジェクトとして企画し、自分自身をプロデュースしていくことができる存在ですよ」

というサルトルの哲学。もちろん、この哲学はフワフワした教えではなく、ガチガチに理論武装されたサルトルの思考の結論です。


帆高は、自分で「東京でこんな生活をしてやる!」という強い意思の家出から、計画通りではないけれど、なんとか生きていくことができるようになって、自分の役割も見つけ始めて、淡い恋に没頭して、世界の形を変えるほどの選択を迫られてしまったけど、それも乗り越えて、と。

まさに、自分の人生をプロジェクト的に進めた彼は、投企的な存在だと僕は思います。

彼の行動力は才能ですが、それでも最初から行き当たりばったりで毎日を生きるつもりではなく、しっかりと計画しておく姿勢。
その姿勢こそ、僕は見習うべきなのではないかと感じました。

「天気の子」は、「君の名は。」よりも物語の完成度は明らかに低いです。ただ、このツッコミどころ満載なところ、つまり余白こそ、僕らが想像して物語を改変できる良さと直結するので、僕は「天気の子」が好きです。

では、また〜!

今日も東京の片隅で、非生産的なことを非効率的に行っております。