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「意味のある広告」の作り方

背筋の痛みは一週間続き、ようやく収まりつつあるカタヒラレンです。
日曜日あたりは、マジでずっとこのまま何も出来ない体になるんじゃないかと絶望していました。

以前、A.L.S = 筋ジストロフィー症(筋肉が固まって体の機能が低下する病気)について、アイスバケツチャレンジという名目で募金活動が行われていましたが、「氷のバケツを被った程度じゃ痛みは全く分からない」と言っていた当事者の気持ちが少しわかった気がします。

この人達の言う「痛み」ってのは、物理的な痛みではなく、「自分が動けなくなっていく恐怖」という「心の痛み」だったのかもしれないと。

そんなことを休日に考えながらアマゾンプライムでアニメ(ワンパンマン)を見て、ダラダラ過ごしていました。笑

アイスバケツチャレンジのことを話すと、やはり思い浮かぶ顔は「西野亮廣」。

あの人は、アイスバケツチャレンジに全く参加していませんが、アイスバケツチャレンジを最も観察して、その仕組みを活用している人です。

そのカラクリについて、説明します。
(内容は全て本に書いてあったことなので、僕の知恵は一切含まれておりません。今日も西野氏にしてやられました。)


アイスバケツチャレンジは、現代社会最強の広告システム!?


改めて、説明します。アイスバケツチャレンジとは、A.L.Sの研究を支援するため、バケツに入った氷水を頭からかぶるか、アメリカALS協会に寄付をする活動です。一度かぶった人間は、次の人間を指名して、アイスバケツチャレンジを促します。ソーシャルメディアを通じて、爆発的に拡散された結果、社会現象を巻き起こし、3週間で1330万ドル集まったという物語です。(アイスバケツチャレンジという募金活動は以前からあったらしい。)

で、おそらく僕らも内実までは詳しく知らないけど、その活動名は覚えてる!って方も多いと思います。そういう意味も含めて、広告として成功しています。

**広告に溢れ、広告が現れたら一瞬でスクロールする僕らがどうして、この活動を覚えているのか?
**

西野氏の見解はこうです。

アイスバケツチャレンジは、広告の観点から非常に優れたシステムです。この活動のポイントは、「少し不謹慎」ということです。研究の活動費とはいえ、難病に関する募金活動なので、真剣に寄付活動した方が病気の当事者たちにも夢を見させる(見させるだけ)ことができます。ただ、募金活動の目的は「病気を知ってもらうこと」ではなくて、「お金を集めること」です。ここを見誤らず、しっかりと1330万ドルの資金調達をするために、わざと議論が生まれるような募金活動にして、広告の効率を最大化することに踏み切れたという解釈が可能です。

あの年、連日ニュースでアイスバケツチャレンジが取り上げられました。
タイトルはこんな感じ。

・難病研究のためアイスバケツチャレンジという試みが始まる!
・アイスバケツチャレンジをどう思うか?
・とうとう〇〇氏がアイスバケツチャレンジ!?

議論が議論を呼び、2、3ヶ月ずっとニュースになっていました。
何も議論が起きないクリーンなニュースはすぐに消えて、忘れ去られてしまいます。普通の募金活動であれば、「へぇ〜、がんばって欲しいね。集まるといいね!」で終わってしまいます。2,3ヶ月もニュースのトップを張れるほどインパクトは生まれません。アイスバケツチャレンジはこの概念を吹き飛ばすため、議論や話題性ができるだけ長続きするよう仕組まれていたのです。

賛否両論あればあるほど、それについて話されている時間が長くなるので、広告として効果が大きくなります。その活動の良し悪しなんか二の次で、「議論を生むこと」をデザインしておくと、結果として長く生き続けることができるワケです。そして、リレー式にしておくことで、話題性はさらに広がります。どれほど興味が無くても、自分の好きなアーティストや政治家がアイスバケツチャレンジに関わったら、見るしか無いからです。

これを西野氏は観察して、いろんな場面で広告を考えるとき、このカラクリを採用しています。例は挙げなくとも、あなたが西野氏について何か知っているニュースがあれば、もうその術中にハマってしまっています。

広告を完全無視するこの現代社会で、「意味のある広告」をうつためには、広告の仕組みそのもののデザインのクオリティが大きく影響するので、宣伝に時間とお金を費やすときは慎重に設計していく必要がありますね。

では、また〜!

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今日も東京の片隅で、非生産的なことを非効率的に行っております。