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ロボット技術で地域課題を解決し、豊かな未来をきりひらく

山梨中央銀行 常務取締役 ・山寺雅彦氏 ×
コネクテッドロボティクス株式会社 代表取締役ファウンダー・沢登哲也

山梨中央銀行が静岡銀行との包括業務提携「静岡・山梨アライアンス(※1)
」の一環として取り組みを始めた「ベンチャーデット」を活用し、次なるステップへ進んだコネクテッドロボティクス。そこで今回、山梨中央銀行 常務取締役 ・山寺雅彦氏(以降、山梨中央銀行・山寺氏)とコネクテッドロボティクス株式会社 代表取締役ファウンダー・沢登哲也(以降、CR・沢登)の対談を行い、どのような経緯で融資が始まったのか、両社が手を組むことによって、山梨県でどのような未来を描けるかなどをお聞きしました。

食産業の課題に向けて動く姿に共感

ーまずは今回の融資が、どのような経緯で始まったかお聞きしたいと思います。沢登さんは山梨県出身ということですが、山梨中央銀行さんとは、以前から繋がりがあったのでしょうか?

CR・沢登:そうですね。私の地元の銀行ということもありましたが、我々が拠点にしている小金井市(東京農工大学のキャンパス内)に山梨中央銀行さんの支店があり、もともと接点もありました。

今回のシリーズBの段階では、資本業務提携にも力を入れているのですが、最初にあおぞら企業投資さんのベンチャーデットを活用させていただき、その繋がりから同じくベンチャーデットを行う静岡銀行さんをご紹介いただきました。ちょうどそこで山梨中央銀行が静岡銀行との包括業務提携「静岡・山梨アライアンス」の一環で、「ベンチャーデット」に取り組んでいるというお話を伺い、活用させていただく流れになりました。

※1:静岡・山梨アライアンス:山梨中央銀行と静岡銀行による、両県経済の発展に資する協業(両行取引先の販路拡大や双方 地域への営業進出の支援等)等を行う業務提携。

コネクテッドロボティクス株式会社 代表取締役ファウンダー 沢登哲也(さわのぼり・てつや) 東京大学 工学部計数工学科卒業、京都大学大学院 情報学研究科修了。MIT発ベンチャー企業でロボットコントローラ開発責任者を経て、2011年に独立。 2014年にコネクテッドロボティクス株式会社を創業。 2017年4月より食産業をロボティクスで革新する研究開発事業をスタート。 

山梨中央銀行・山寺氏:私どもは、静岡銀行さんとのアライアンスを契機として、ベンチャーデットの取り組みを開始しました。以前から小金井支店では、中小機構が取り組んでいるインキュベーション施設、農工大・多摩小金井ベンチャーポートの存在に注目していました。その中でも「そこに拠点を置いている山梨県出身の沢登さんという方が代表のベンチャー企業が、面白い取り組みをしている」という話を聞いておりました。今回このようなベンチャーデットの仕組みを使ってようやく関わりを持つことができました。山梨県出身であり、静岡にも縁のある沢登さんが当行での新株予約権付き融資の事例第一号となったということは、ご縁を感じてとても嬉しく思っています。

山梨中央銀行 常務取締役 ・山寺雅彦(やまでら・まさひこ)氏
(※ 100文字程度で山寺様の経歴を教えていただけますでしょうか)

ー融資を決めるにあたり、CRのどういったところを魅力的に感じたのでしょうか?

山梨中央銀行・山寺氏:沢登さんが山梨県出身であるということがきっかけではありますが、一番の理由はCRさんがロボット技術を用いて食産業を支える人材不足・生産力の向上に取り組んでいるということです。それは地方都市である山梨県が直面している大きな課題であり、社会の課題です。さらには日本だけではなく、世界規模のニーズだと感じております。ベンチャー企業として一過性のビジネスではなく、社会課題の解決に向けてアクションを起こしている。「食産業をロボティクスで革新する」というミッションに真摯に向き合って地道に研究開発を行っているCRさんに、私どもは大きな関心を寄せています。

また、技術力や開発能力はもちろんですが、組織力のある会社だと感じました。さまざまな分野で活躍してきた高度な人材が集まっていますし、沢登さんの意思や会社として目指す姿が社員のみなさんに共有されている。それを担当の方々とお話をする中で感じて「この会社は安心できる、信頼が置ける」と確信を持てたことが、融資の決め手になりました。

山梨の「食」を世界へ

ー今回の提携で山梨県との関係性も近くなりましたね。CRとして、この機会をどのように活かしたいとお考えでしょうか。

CR・沢登:私たちは惣菜の盛り付けを行う食品工場向けロボットや、ソフトクリームロボットなど飲食店向けロボットなどを開発し、日本各地のさまざまな企業や店舗に導入いただいています。しかし、残念ながら山梨ではまだ導入事例がありません。今回のパートナーシップを足掛かりにして、ぜひとも実績をつくりたいと考えております。

山梨中央銀行・山寺氏:そうですね。山梨には、全国展開している菓子メーカーや食品工場も多く、CRさんにとっては大きなビジネスチャンスが掴める地域であると思います。私たちの持つネットワークを活用し、CRさんの持つ技術や強みを伝える「営業マン」となって、お力添えしていきたいですね。また、当行は半世紀以上前から東京都内に20弱の店舗があり、そこでもお取引先の紹介ができると考えています。我々が持つ東京と山梨のネットワークを活かしながら、CRさんの技術やサービスによって地域が発展する。それは、当行のパーパスである「山梨から豊かな未来をきりひらく」ということにつながっていくのではないかと感じております。

ー山梨県において、CRの技術やサービスはどのような形で活かせるとお考えでしょうか?

山梨中央銀行・山寺氏:私たちは、山梨県内のいわゆる食の分野、特に果実生産・農業でCRさんの技術を活かしていただきたいと思っております。山梨県はどちらかというと、大量生産する農業というよりも高付加価値の農産物を提供している地域です。ですからCRさんの精密な仕事ができるロボット技術はニーズがあるんじゃないかと。

CR・沢登:山寺さんがおっしゃっていたように、山梨は桃やブドウなど、高品質で高級なブランド品の生産に力を入れています。山梨県は面積が狭く、そのほとんどが森林のため農地が限られてくるんです。そうなると高付加価値な特産物をつくる必要がある。繊細に扱わないといけない農産物に対して、私たちの開発している知能化されたロボットがいつか役に立てるんじゃないかと思います。

ー繊細な扱いが必要な農産物に対応できるということですか?

CR・沢登:専用機械なら、一つのブドウの品種に合わせて機械をつくって大きさや重さによってカスタマイズするというような形になります。しかし、規格外のブドウや、品種が変わると使えなくなってしまう可能性があるんです。一方で私たちが作っているロボットは、大きさや重さや品種が変わっても、機能や性能を広げることができる汎用的な存在なんですよね。だから、多品種に対応できますし、繊細な扱いが必要な商品の分野ではこれからどんどん普及していくだろうと今後を見据えて開発に取り組んでいます。他にも、ソフトクリームや蕎麦の製造ロボット、食洗機や盛り付け用のロボットなどを観光関連施設に導入していただくことで、人手不足を解消し、山梨の観光事業を盛り上げられたらうれしいですね。

地元の食産業の人手不足を解消したい

ー地元ということもあって山梨の抱える課題について、沢登さんは肌で感じていらっしゃるんですね。

CR・沢登:私の「沢登」という名前があるところは、農家が多いんですよ。私の親戚も以前は桃農家をしていましたが、後継者もおらず高齢化で廃業してしまいました。農家さんの悩みや大変さをしっているからこそ、私たちの技術を活かしたいという想いが強いですね。
もともと祖父母が飲食店を営んでいたので飲食店の魅力を身近に感じていましたし、そこで見聞きしていた苦労も会社の創業のきっかけになっています。食産業は、飲食店・仕入れ先の商店そして農家…とエコシステムが繋がっています。どこかが崩れると全部駄目になってしまいます。だからこそ私たちはその全体をサポートしていきたいという意味から「食産業をロボティクスで革新する」というミッションを掲げているんです。

ーCRの技術は、担い手が少ない食産業の持続性に貢献できるものなんですね

CR・沢登:まさにそこが肝だと思います。例えば、郊外の食品加工の工場では、現在は高齢の方や外国人実習生などが働き手となってくれて、なんとか労働力を確保できていますが、今後はどんどん目減りしていきます。その課題を解消してくれるのはロボットになると思います。今は人が担っている工程もロボットに任せることで生産性が上がり、食料生産や加工工場が地方にどんどんできる。結果的に地方が潤っていくためにもロボットの活躍はとても重要なことだと私は認識しています。

ー山梨中央銀行さんとしては、CRさんが社会にどんなインパクトを起こすことを期待されているでしょうか?

山梨中央銀行・山寺氏:CRさんの技術において、繊細な食品を扱うことができる正確で緻密な技術、そして人間がやり続けるのが難しいハードな仕事をロボットに任せられるという二つの要素があると思うんですね。今は飲食店や食品工場で活用されていますが、もしかしたら今後は農業などさまざまなことにも応用できるかもしれない。そう考えると、将来性は計り知れないと思います。

CR・沢登:食産業は、文化的にみても人の日常においても、世界的に非常に重要な分野です。しかもこれからまだまだ進化する分野です。今まさにロボットによる進化が始まっていると思っています。そのフロントラインを走るべく私たちが取り組んでいることに、山梨の皆様と一緒に挑戦できたら嬉しいですね。

山梨中央銀行・山寺氏:実はサンリオやメルカリ、阪急電鉄など、新しいビジネスモデルの創出に関わった人物には山梨県出身の方が多いんです。ですから沢登さんもこの事業を軌道に乗せ、世界の課題を解決するような方になっていただけたらと切に希望しております!

CR・沢登:そのようなお言葉をいただき恐縮です。山梨をともに盛り上げていけるように頑張りたいと思います!今後ともよろしくお願いいたします。

ー今日は互いの熱い関係性が見えるお話を聞かせていただくことができました。ありがとうございました。

クレジット)
協力:山梨中央銀行:https://www.yamanashibank.co.jp/
提供:コネクテッドロボティクス株式会社:https://connected-robotics.com/

  • 本記事は2023年2月の取材をもとにしています。