逆噴射小説大賞自作ライナーノーツ

 どうも皆さん。逆噴射小説大賞も最終日を迎えました。そこで今回は、逆噴射小説大賞に投稿した自作品のライナーノーツをお送りしたいと思います。まず逆噴射小説大賞とは? これです。

ではいってみましょう。

・魔龍の肉

冒険者に伝わる食の禁忌、それを犯した者が辿るは如何なる末路か。

 ファンタジー作品の食事事情として、魔物を食べる描写があることがある。だけど、人魚食って不死身になった尼僧とかいるし、力ある存在の肉ってヤバイと思うんだよね。
 この作品世界では、魔物は邪神がかけた呪いで生まれると言う事になってる。なのでそんな物を食べたら絶対にヤバイ。ドラゴンは邪神とは関係ないけど半神的存在だから結局ヤバイ。魔龍に至っては魔物になったドラゴンなのでヤバイにヤバイをかけて超絶ヤバイ筈だ。安易に魔物やドラゴン等の超常的な存在を食べると、そう言うヤバイ影響があるかもしれないと言う事を警告したかった。
 尚、ニウェ州、獣耳人と言った独自用語があり、説明を入れる尺もないので削るべきかとも思ったけど、異世界ファンタジーっぽさを演出するため残す事にした。今回は地名や人種を指す言葉であると言う事が判れば十分だろうと言う判断だ。

・LOAD OF THE WATER 水繰り鮫 -InfluShark 2nd Infection-

水没するモール! 蔓延するサメ化ウィルス!
かつてアルバトロスシティを襲った惨劇が、遠く離れた内陸都市で蘇る!

 内陸部を舞台として、初代『シャークネード』みたいな水位描写がガバガバなサメものがやりたかったんだ。サメに並ぶパニックの題材としてゾンビものをオマージュして、ショッピングモール内でサメに襲われたら面白いかなって。そしたらゾンビに引っ張られてサメが感染したね、エキサイティングだと思ったよ。
 ちなみにタイトルの『LOAD OF THE WATER 水繰り鮫』は、水位をテーマにしていた頃の名残で、大ボスとして水を操るサメが出るんだ。コイツの存在のためモール内は大洪水だけど、実は外に出ると全然水没していない。また、水繰り鮫はミツクリザメのもじりなんだけど、ミツクリザメとは全然関係ない鮫だよ。
 タイトルに関してもう一つ、2作目っぽくしてるのは、パニック映画って冒頭からメインの惨劇を描くかって言うと、そうじゃないよね。これから起こる事を彷彿とさせる事件から始まることもあるけど。そこが気になって、まぁ続編ならいきなり惨劇が起こっても問題ないか、シャークネードもそう言うところあるし。と言うノリでこうなった。

・大ほうさく魔法少女🍎はたけ!

一大事! 栽培中の魔法少女が逃げ出した!

 かねてから構想していた魔法少女ものに、魔法少女を異星人としたMGP Magical Girl Planetと言うものがあった。その流れで頭文字がMGPになる魔法少女でシリーズ化しようと考えた。全然形にできてないんだけどね。魔法少女界と言うワードもこれにちなみ、英字にするとMagical Girl Plain。そんな中で思いついたのが、Magical Girl Plantationと言う魔法少女を栽培する畑だった。
 400文字で掴みを得るなら、これが最もパワーがあると思ったんだ。だけどちょっと尖り過ぎたね。これを出した後で別な魔法少女ものを投稿しても、パワー不足になると思ってしまったよ。
 物語の流れ自体はオーソドックス、妖精の住む世界で事件が起こりそれが人間世界に波及して……と言う、『プリキュア』シリーズ等既存作品の類型に沿っている。おかしいのは畑で魔法少女を栽培しているというアイデアくらいで、内容自体は割と普通になると思うよ。

・魂の蚕食者 Ab-Hastrum

邪悪なる神は物語の枠を超え、現実世界を侵食する。
アブ=ハストラム、彼こそは魂の蚕食者。

 語感がアブハチトラズに似ているね。過去ネタをあさってたら、この創作邪神を紹介するだけのテキストがあったんだ。書いた覚えがまるで無かったんだけど、読んだ人間に忌わしき影響を齎す魔性の本と言う設定や、ハスターを思わせるネーミングから、チェイムバースの『黄衣の王』の影響を受けていると考えられる。だけど他の名詞、ウルトゥム(Wrtum)とかウルトゥルミー(Wrtullme)、トマス・アタスン(Thomas Utterson)、アリエル・モントロール(Ariel Montroll)の由来はちょっとわからなかった。英字綴りまで書いてあったけど、謎のままだ。
 どうする予定だったのかもよくわからなかったけど、使わない手は無いと思った。元のテキストには物語性の欠片も無かったので手を加えた。少々平凡な仕上がりにもなった気がするが、これは冒頭400文字に過ぎないから、これからどうなるかはわからない。それに前2作が尖り過ぎていたから、バランスが取れてちょうどいいだろう。

・お姉さまがあなたを見ている

頭の中に、男が住み着いた。その日から、私の世界が変わり始めた。

 『きらら』系統の萌え系日常コメディって、男性の描写が極端に少ないよね。中には男性レギュラーもいる作品もあるし、モブ程度に登場する事は結構あるけど、逆にまるっきり見かけないようなものもある。そうした少女だけのユートピアをSF的に作ろうとしたのがこれだ。
 でも、そんな社会がユートピアであるわけがない。この社会で生まれ育った住民にとっては違和感がないだろうけど、かなりの歪みを抱えているはずだ。それを伝えやすくするために、異なる価値観からの視点があるといいと思った。それで主人公は男性の前世記憶を持つ少女となった。
 このコンセプトだと、紙が情報を記載する媒体に使われていないと言う設定は別に必要なさそうだけど、これはオーウェルの『1984年』で、主人公が新聞記事の書き換えを仕事としていた所から着想している(そもそもタイトルや登場人物名の由来も『1984年』だ。ちょっと大それたものをつけてしまったと思っている)。情報伝達の手段が、政府が運営するネットワークに接続された電子媒体しかないならば、より容易かつ過去に遡ってまで書き換えられるのではないかと考えたんだ。電子書籍なら、落丁や乱丁があっても新しく刷らずにデータを差し替えればいいしね。

・非凡なるたかし

俺の名はたかし。どこにでもいるわけじゃない非凡な少年さ。
歳は男子高校生ぐらい。

 特に中身のない話だ。なるべくしてなったものだよ。これも過去ネタからなんだけど、その時点で冗長で中身のない無駄な文章の羅列だった。読んでいて気恥ずかしかったよ。最後まで見たらループしていた。400字以内にそれも取り入れてみたんだけど、やっぱり尺が短いんだから無駄さを突き詰めた方がよかったかな。なんかこれだけでオチがついている気もするし。
 まぁ、「歳は男子高校生ぐらい」と言うフレーズだけはすごく気に入っている。あまりにもおかしかったからね。自分の年齢を「男子高校生ぐらい」なんて言う奴は多分いないだろう。これを世に出してみたかったんだけど、こんな馬鹿らしいフレーズを載せるには、相応に馬鹿らしい作品でないといけなかった。

・夜の校舎には怪人が出る

この学校には怪人が居る。普通に青春を謳歌している。

 特撮の女性怪人に対するフェティシズムがある。そう言うデザインの存在とイチャイチャするだけの話が見たかった。それを邪魔する要素はできるだけ排除したかったが、怪人が存在する理由はそれなりに必要だろう。
 世界征服を企む秘密結社、何処かの軍が生み出したサイボーグ戦士、人界の外から現れた異種族、etc……。怪人の出自は様々だが、この世界にはそう言った勢力が犇めいている。その中には、滅びた連中や降伏した所も多い。そうした所から逃げてきた怪人の一部が、この学校に隠れ潜み、平穏に生きようとしているんだ。主人公の少年は、そんな彼女たちの在り方を受け入れ、魅力的だと感じている。きっと外の世界はまだそれ程平和じゃないけど、この中だけは平和であってほしい。そう願っている。
 投稿に当たっては、初めてヘッダー画像を使ってみた。これからも投稿を考えるなら、noteの機能をどんどん試していかなくちゃいけないだろうしね。

・「ラブリーチューブ・オン・エアー!」 メンテナンスのお知らせ

アイドルゲームを襲う血の惨劇!
恐怖のカワイイ雑魚モンスターパニック!

 『ハーン・ザ・ラストハンター:アメリカン・オタク小説集』収録の『ようこそ、ウィルヘルム!』や、ディズニーの『シュガー・ラッシュ』に触発された、クロスゲーム系スプラッタパニック。ソーシャルゲームはコラボイベントをしょっちゅう開催してるから、この手のインシデントを起こしやすいと思ったんだ。実際『グランブルー・ファンタジー』が『アイドルマスター』や『ラブライブ!』とコラボしていたこともあるしね。世界観が全く違うもの同士を絡めやすい土壌ができている。
 アイドルリズムゲームには、基本的にモンスターとバトルする概念が無い。システム的にも存在しない。だからもし他所からモンスターが紛れ込んできたら、それがどれだけ弱くて可愛らしくても対処できないだろう。非常に危険だ。実際そんなテーマの作品をどこかで見かけたような気もする。挙げた作品中にそう言うシーンでもあったかな? でも彼女たちはモンスターの故郷とコラボしているから、その経験から何らかの糸口を見つけられるかもしれないね。
 アイドルをYouTuberっぽくしているのは、単に既存作品とのタイトル被りを避けやすそうだったから。動画配信者をテーマにしたアイドルコンテンツはまだ少ないからね。今後増えていくんじゃないかな。

 以上で今回のプログラムは終了とさせていただきます。ありがとうございました。

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