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20代で不妊について考える

この間、仕事のチームでディナーに行ったとき、女性の先輩に、

「今が一番卵子が健康で良い時だから、今のうちに採取して幾つか凍結しておいたほうがいいよ!」と、かなり食い気味に勧められて驚いた。

聞けば彼女は30代半ばで2人目がなかなかできず、不妊治療に通っているという。

彼女が言うには、女性は生物学的に、20代前半が一番妊娠しやすく健康な子どもが産まれる質の良い卵子を排卵するので、将来子どもが欲しいと考えているのなら、今のうちに凍結しておいた方が良い、とのこと。

一緒に話を聞いていた男性上司が、

「あ〜、ウチの2番目の子も、2年くらい凍結してた妻の卵子だよ〜。不妊治療している人結構いるよね」

と話していて、これまた驚いた。

まだ結婚も妊活もしていない私にとって、そもそも子作りということ自体が現実味のないことであり、その話が出る時まで不妊についてなんて真剣に考えたこともなかった。

しかも、不妊治療は費用がべらぼうに高いことだけ知っていて、40代前後の高齢出産を望むお金持ちの家庭だけが手をつけれるものなのかというイメージを勝手にもってしまっていた。

不妊治療がこんなに身近で起こっていることだと、その時未知な自分を恥じて理解を改めた。

不妊治療について教えてくれたこの女性の先輩は、

「20歳を過ぎた時点で卵子の質が落ちていって、30代では不妊になる可能性も高くなるんだって。
こんなこと誰も教えてくれなかった。
メディアでは芸能人が40歳前後で高齢出産とかよく流れるし、30代のうちなら簡単に子どもができるだろうと当たり前のように思ってた。
私は今からじゃもう手遅れだけど、あなたの歳ならまだ全然間に合うから、身体のことについてちゃんと勉強しておいた方が良いよ。
そしてやっぱり、安全で健康な出産を望むのであれば、子どもを産むのは早いに越したことはないよ。」

と優しいアドバイスをくれた。

きっとこの女性の先輩と同じような境遇にいる人、沢山いると思う。

でも彼女たちが30代半ば・後半になって子どもを産みたいと思い選んだ不妊治療という選択は、彼女たちの責任ではないと思う。

ましてや、決して、『早く産まなかったのが悪い』というわけではなく、現日本社会が『20代のうちに子どもを産む』ことを選択できなくさせてきたのだと思う。

女性の社会進出と謳い、女性を採用する会社は増えたが、男女共に子育てしながら働くことに対する支援が厚い企業はまだまだ少ない。

社会では未だに子育ては女性の仕事とみなされ、子供ができて女性が育休を取れば、職場復帰後に元のポジションには戻れない、仕事で責任のある仕事を任せられない、昇進できない、いわば『ガラスの天井』にぶち当たる。

このような日本の職場環境において、女性が考え抜いた結果、自分のキャリアを保ちながら結婚して子どもを育てる理想の道は、『30歳位まで働いて、ある程度上の職位まで経験してから、結婚して子どもを産む』ことだ。

何故ならこれが自分のキャリアダウンを最小限に留められるから。

実際に、私と同世代の周りでも、このような人生設計を理想と考える人がとても多い気がする。

そんなこんなで、一生懸命働いてやっと妊活しようと思ったら、あれ、子どもできない、うそ、不妊?となる人は結構多いんじゃないか。

そしていざ治療を始めたら、保険適用外自己負担で高額な費用、職場での肩身狭い思い、パートナーとの事務的なセックス、病院で毎回子宮の検査(とってもメンタルにきそう...)。

私たちは、中高の性教育で、ただただ性行為をするな、したら妊娠するというような教わり方しかしてこなかった。

避妊はもちろんとても大切だけれども、実際に妊娠しようと思ったら、1ヶ月で24時間しかチャンスはなくって、そこでタイミングよく受精しないと子どもはできないらしい。

そんなに少ないの!?と、結構衝撃。

やっぱり、子どもは授かりものだということを忘れてはいけない。

今、少子高齢化の問題で女性に子どもを産んで欲しいと政府が口だけ動かしている一方、不妊のカップルは約10組に1組(公益社団法人日本産科婦人科学会, 2018年)だという。

前述した話を踏まえると、不妊というのは、個人の責任ではなく、社会的・政治的・教育的・経済的な問題が複雑に絡み合っているように思える。

もちろん、こういった社会を変えていかないといけないのだけれど、今私たちがまずできることは、不妊について学ぶこと・理解することだと思う。

その上で、不妊治療を打ち明けた人が周りにいたら、全力でサポートする。
もしあなた、もしくはあなたのパートナーが20代であるならば、生物学的なことを勉強し、理解して妊活する時期を考え、話し合う。

こういったことが大事なのではないかなと思う。

もちろん、30代で子どもを産むことが悪いわけでは全くないし、健康な赤ちゃんを産んでいる人も多いし、個人の選択は絶対尊重されるべきだと思う。

ただ不妊については皆が知っておくべきだなと思って今回シェアしました。

ちなみに、駒井千紘さんの『妊活夫婦』という漫画が、不妊治療について学べるし、とてもリアルに描かれていてオススメです。
最初の10話と特別編は無料で読めるので是非読んでみてください!


(この投稿は、インスタグラムで掲載した内容を再掲したものです。
インスタも是非チェックしてね!)


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