簡略的かつ偏見交じりの林檎遍歴

前書きのようなもの

記念すべき一本目は、僕の愛してやまない歌姫、椎名林檎についてのお話です。 

今でこそ、艶めかしい大人の女性のイメージが強い彼女ですがデビュー当初はいたいけな少女性を含んだ、痛々しい曲を多く書いていました。

デビュー曲である「幸福論」は98年に発表され、それまでの女性シンガーとは一線を画す、どこか厭世的な歌詞も相まって話題となりました。 
僕自身も98年に生まれたので、少しだけシンパシーを感じます。
セーラー服を着た椎名林檎がかわいいので、MVは必見です。

翌年99年には、1stアルバム「無罪モラトリアム」が発表されます。 
あの有名な「丸の内サディスティック」も収録されています。 
デビュー曲の「幸福論」も「幸福論(悦楽編)」としてかなりアレンジを加えたものが収録されています。
この頃から抜群の音楽センスと、一度聞いたら耳から離れることのない甘い声で数々の人を魅了していきます。
「歌舞伎町の女王」や「ここでキスして」など、今でも不朽の名曲として知られるナンバーがこのアルバムに収録されています。 
早熟の天才だったのでしょうね。

アーティストが、シングルカットした曲をアルバムにまとめるというのはよくある話ですが、椎名林檎の場合にはアルバムに収録する際にアレンジを加えることが多く、「シドと白昼夢」はどのバージョンもそれぞれの良さがあり必聴です。

このシドというのは伝説のパンクロッカー「シド・ヴィシャス」になぞらえており、彼女の趣味が見え隠れする名曲です。
その一生を閃光のように音楽に捧げたシドは、重度の薬物中毒患者でもあり、最後は大量のヘロインを摂取したことにより死亡します。
やはり鮮烈なアーティストというのはいつも短命ですね。

「無罪モラトリアム」から1年の空白期間を持って発売された「勝訴ストリップ」は、最終的に250万枚もの売り上げに届く大ヒットとなります。 
椎名林檎はこの頃、自らを「新宿系」と称し、若者たちのカリスマとしての地位を確立します。
収録されている曲も少しずつ大人の女性としての破片が散りばめられていて、彼女の成長がそのまま音楽性に反映されている素晴らしいアルバムです。

ナース姿でガラス板を蹴破るMVでおなじみの「本能」、特徴的なメイクと、ヒトラーと名付けられた黄色いベンツが登場する「罪と罰」、後述する歴史上最も偉大なロックシンガーが登場する「ギブス」など、挙げ始めたらキリがない名盤です。

「ギブス」に登場するカート、こと「カート・コバーン」はアメリカの3ピースバンド「Nirvana」のギターボーカルです。
悲惨な幼少期を過ごした彼は、暗く陰鬱とした日常の中で音楽だけが自分を癒してくれる。と次第にのめり込んでいきます。 
しかし、彼に待ち受けていたのは異常な成功と苦難でした。

その類まれなる容姿とセンセーショナルな音楽を世間は放っておきません。 カートは根っからのインキャで、自分を排斥していた陽キャどもが自分の音楽をパーティーでかけていたことに我慢なりませんでした。 
とはいえ、今日は林檎嬢のお話ですので、愛すべきロックスターのお話はまたこんど。

ここからは、東京事変のお話 
椎名林檎としての音楽をある程度やり切ってしまった椎名林檎は音楽の道を離れようとします。
しかし、ここまでの才能を有した椎名を他の音楽家がむざむざ辞めさせるわけがありません。
東京事変は、椎名林檎をより新しい椎名林檎に成長させるプロジェクトだったのです。

音楽にモチベーションを見出せなくなった椎名林檎がライブハウスを巡り、浮雲をはじめとしたメンバーを集めていきます。
思えばこの時期が一番彼女が試行錯誤して本気で音楽に向き合っていた時期なのかもしれません。

東京事変のアルバムが持つ特徴といえば、シンメトリーとジャンル名のふたつです。
アルバムの曲名は、真ん中の2曲を対称に曲名の長さを揃える徹底さを持ち合わせています。 
アルバム名も特徴的で、「教育」、「大人(アダルト)」、「娯楽」、「スポーツ」などのテレビをモチーフにしたものとなっています。

2003年に結成された東京事変ですが、結成があればいつかは解散があります。 2012年、ついにその日は来てしまいます。
公式サイトに「事変は来る閏日解散致します」という声明が発表されてしまいます。 5日間のライブツアーを経て、東京事変は千秋楽を迎えます。

東京事変は幕を下ろしましたが、当初の目的の「音楽に向き合う」という点において、本人が想定していた以上の効果をもたらしたようで、その後も椎名は精力的に活動していきます。
繊細な少女が事変を経て、大人の女性に成長した姿はファンとしても心を揺さぶられます。 この時期めちゃくちゃエロイです。

椎名林檎は整形したやら豊胸したやらの噂が立つこともありますが、実はこの時点で二児の母として子育てをしながら音楽活動を行っていました。
略奪婚から始まった妊娠だそうですが、僕はそういった都合の悪い部分は見ないファンなのでどうでもいいです。
ちなみに胸は確実に豊胸してます、エロいから良し。

解散後の彼女は初期の痛々しさも、事変のお洒落さも全て含んだ新しい椎名林檎としてどんどんヒットナンバーを量産していきます。
宇多田ヒカルやトータス松本、カシマシの宮本さんなどとのコラボ、フューチャーも増えていきます。


張り巡らされた7つの伏線と、「再生装置」という単語、そのすべての謎を解き明かす。
忘れもしない2020年1月1日、かの閏年に東京事変は「再生」と銘打って、その活動を再開します。
シングル「選ばれざる国民」とともに。

そして現在も続く、新時代の東京事変が、その言葉通り再生されたのです。

下の動画の2:20秒ごろからの「一服」という歌の「お耳の恋人」というフレーズが好きすぎるので、聞いてください。
「お耳のッ!んォ~こぉいびと」みたいな感じで歌っててめちゃくちゃ色っぽいです。
文字にしたらなんの色気も無くなって悲しい。
なんでもかんでも写実すりゃいいってもんじゃないことがわかるいい例ですね。


椎名林檎の中でも「加爾基 精液 栗ノ花」というアルバムは必聴です。 読み方は「カルキザーメンクリノハナ」。
多くの曲が大正、昭和時代をモチーフにした風情を感じられるものばかりで、耳障りの良い曲が多いです。

特に「ポルターガイスト」という、純朴な少年が好きな女の子に会いに行く歌は、昭和の恋愛小説のような趣があり、ワルツのような3拍子のメロディーは何度聞いても飽きません。
3拍子を刻むメトロノームの音に注意して聞いてみてください。
聞けよマジで。後悔させねえからよ。


とまあ、記念すべき一本目はこんなところで区切らせてもらいます。
ここまで読んでくださった方がもしいらっしゃるのなら、本当にありがとうございます。
これからもこのように好きなことを好きなように好きなだけ書き連ねていこうと思いますので、お時間を持て余しているときや、眠れない夜の暇つぶしなどのお手伝いができればと思います。

それでは、またこんど!

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