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公園の魔法と煙

ああもう好きになっちゃった
それに気付いちゃった
それってもう 手遅れね
回る回るアルコール 回る回る時計の針

もうすぐ日付が変わる
夜の公園 頬に当たる風は少し冷たい
ベンチの縁に沿って指を滑らすの
あなたが見てないうちに
魔法がかかったらいいななんて
燻らせた煙が右の空へ流れた

酔っているから酔ったフリができるの
洗剤とタバコの混ざったあなたの匂いが近くなる
心拍数が上がるのは
あなたとお酒のせいだから
もう少しこのままでいたいわ
このままでいられるのは今だけでしょう?

もうすぐ電車が終わる
夜の公園 あなたの近くにいられるベンチ
あなたの肩に顔を寄せた
どれもこれも全部お酒のせい
燻らせた煙が真上へ上がっていく
あなたがくれた酔い覚ましの缶コーヒー
そんなの効くわけないじゃない
お酒が回って動けないわ
あなたの隣からわたしはもう動けない
もういい加減わかってるんでしょう?
それならこのまま抱きしめて

あなたの手がわたしの頭を撫でて
あなたの指がわたしの髪に触れた
空っぽになった缶は音を立てて落ちた

ああもう好きになっちゃったの
どうにもならないの 気付いてる
だからもう手遅れよ
あなたが あなたが あなたが 欲しいわ

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