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宇野維正先生考察第十三段  POP LIFE THE PODCAST 2020年1月~3月クォーターベスト映画編

宇野先生考察も今回で13回目です。今回も宇野先生の準レギュラー?なPOP LIFE: The Podcastの宇野先生出演回からの考察です。何とか宇野先生の次回出演までに完成させないといけないので更新します。媒体ごとにキャラを分ける宇野先生の興味深い発言はこの番組かぷらすとぐらいしか出てきませんね。宇野先生研究の基礎となるプログラムです。今後は宇野先生回が増えてくるそうです。

では宇野先生の発言をピックアップしていきます。


#062 COVID-19以降の「映画文化と映画産業」 Guests: 木津毅&宇野維正


『映画音楽ジャーナリストの宇野維正です』


『何か宇野の頻度多いなと思ってるリスナーの方もいるかも知れませんが』


タナソー「すっごい気にするよね。そういうの」
『うん、今はこういう事情なのでスタジオにホイホイくる馬鹿という事で。今後頻度が高くなるかも知れませんが準レギュラーという事で大目に見て頂ければと思います』
『最近、野蛮人のように生きたいなと思っていて』
『頭の中で薬師丸ひろ子がなってますけど。今の僕のテーマは野蛮人のように』
『川島透さん素晴らしい監督ですよ。野蛮人のようには彼の中ではそこまでではないかも知れませんが』
『今やほぼ日本中映画館閉まってますからね。』
『映画は撮影が止まってることも含めてコロナ以前以後で映画界の状況がかわるのである意味は最初はクウォーターベストでしたがコロナ以前の作品をここで語るのは大事なことだと思いますよ。』
『ちなみにもう配信で観られるようになってる作品もちょこちょこ出てるし、ブルーレイになる作品もちょこちょこ出てるしそもそも配信の作品もあるのでその気になれば今日話す作品の半分を観られる。』
『現実的に韓国とかは日本ほど映画館は全部閉まられなくてもういまほぼ空いてる。でも、新作の公開はされてなくて日本映画がやたら公開されてる。ちっちゃな作品とあとは旧作、韓国今一位ララランドですから。それは数週間後の日本を考える上で参考になるから。』
『(韓国では)天気の子や君の名はもリバイバル上映されてそこそこ客が入っている。』
『アメリカの映画業界もそういうプラン。』
『クリストファーノーランのテネット、ディズニーのムーランが7月後半、8月頭にワンダーウーマン。それまではお金を掛けて宣言する大きな新作の公開はできない。』
『いつ日本が開く分からないが日本でもミニシアターからちょこちょこ開けていく… たださ、いま営業してる奴は公表するぞみたいな本当アホ。冗談じゃないって思うけど社会のムードでミニシアターも開けることができないとただただ消えていくだけなので。』
『韓国はほぼほぼ映画館は開いてるがお客さんは抵抗があるから新作は公開できない。』
『ドラえもんが八月に移ったからドラえもんは人がいっぱいなるからそれから逆算していくと思うメジャーは。その』
『開いたからって満員にはならない。』
『日本の映画館が閉まる前も高年齢層からいなくなった。』
『当時気にせずに来ていたのは10代、20代でスマホを落としただけなのに、犬鳴き村とかを観てた』
『これから深刻化したうえですぐに十代、二十代でも戻らない。』
『ギリギリまで試写会やってたし試写室には人がいた』
『最初にいった野蛮人のようにはそういうこと。この世界で生きていくのは野蛮人になるしかない』
『ただ僕映画ジャーナリストとして調べてるんですけど映画館は全興連(全国興行生活衛生同業組合連合会)が取り仕切っていて厚生労働省の管轄なんですよ。なんで結構大変なの日本の場合。なので段階的になっていくと思うしそれにミニシアターが従う流れができると本当にきつい。少なくともGWに全部のシネコンが開くことはなさそうなので…なかなかだよね〜』
『現実にライブハウスとかと一緒に語られがちな部分もあるが別に切り離す訳ではないが世界的に調べたが映画館でのパンデミックの事例はないので分けて考えないといけない。同じ方向見て席を空ける事もできるので。』
『もう一つ日本固有の問題としては海外では起こってる中規模以下の映画は配信で公開しちゃって事が日本では出来てなくて。インフラの問題ではなく政治案件。』
『そこで初公開することは本当にまだ業界のコンセンサスを得られない。日本の横並び体質で。横並びのメンタリティで。全然整理されてない。』
『公開中でお客さんが入っていたのに配信に移すというのは はっ!?と言うことになりかねない。』
『配信で新作公開すると映画館の客足が減るので業界では嫌がっている。』
『僕も配信で新作を公開するべきだと思うが現実的に出来てないし出来ないだろうなと思う。ただでさえ苦しいのに映画館の人たちは配給が勝手に配信したら弾がなくなるから怒る。』
『僕が一か月以上動き見ててみんなミニシアターを救おうと言ってるが大手シネコンでもやばいぞって言うのと一番見過ごされてがちなのは映画を配給してる小さい会社と宣伝してる小さい会社。全部吹っ飛びますよって言う。』

『だからやっぱお客さんにとってミニシアターは思い入れがあるからクラウドファンディングとか起きてるけど見過ごされてる所が余りにも多すぎる。
ある意味映画ライターだってそうじゃん笑』


『でも、映画ライターを救おうなんてお金集まらないの分かってるからさ。』


『正直言うと僕は仕事あんまり減ってないからさ。』


『でも、映画館は本当に厳しいと思う。』
『僕がここ数年応援してる作品とかって一番気にしてるのは地方で入ってるからどうかなんですよ。』
『例えばA24のムーンライトみたいな映画が体感でも耳にするのとかでも凄いお客さん入ってますよとか聞きますけど地方では全然入ってない訳。逆にパラサイトがすごかったのは地方のシネコンでも客が入っていた訳。東京とか都市部でヒットするのと地方で全国ヒットするのは明確な壁があって地方のシネコンはそれでもギリギリやってくれてる文化のライフラインみたいな物だったのが今回これが最初に破壊されたら地方のガラガラの映画館でムーンライトが観れなくなるみたいな事になる。それが僕が一番心配してること。モールごと吹っ飛ぶみたいな話でもあるし。』
『ただなんか試写会って海外ではやってる?って感じはしてるよ僕。でっかい映画のプレミア以外海外の映画ジャーナリストは試写会行ってないと思う。ビメオって配信で観てるから。』
『試写会行くと平均年齢が60歳以上なんで。』
『それは日本ペンクラブみたいな所に在籍してると退職してもそこに在籍が残ると招待が来る。新聞の文化部で働いていた方が病院以外で唯一の外に出る理由みたいになってる。』


『セーフティーネットなんだけどその福祉はいらないんじゃないかみたいな…やべえな言ってること笑』


『それを映画会社や宣伝会社が負担してる試写だってお金掛かるし。そこらへんの業界のシステムも変わっていくだろうし。』
『今の映画業界のあり方がちっともいいとは思ってないので元に戻って欲しくないの。』
『海外と同日公開できるのに公開を二か月、三か月遅らせて吉本の芸人やワイドショーで話題の人に宣伝させるってスキームがある訳でしょ。そんなスキームなくなっちまえって。』
『元どおりにはなって欲しくないが壊滅的にはなって欲しくない。』
『アメリカで中規模作品が配信公開してるのは収益化は出来ていないらしい。とは言えゼロよりはマシな負け戦的な配信。そこは痛みを伴う。劇場すっ飛ばして配給が利益を確保していると言う話ではない。映画会社は赤字だが公開が詰まってるので仕方なくやってる。でも、日本では仕方ないって手さえも打ってない。痛みは誰しもあるから痛みを最小限にするしかない。その先にはきっと観客の行動の変容が起こるはずだから今はそれを積み重ねてのビジネスモデルがあるはずだが日本はその布石も打ててない。』
『日本は映画館を開けても二か月ぐらいは戻らないので少しでも早くするしかない。伸ばせば伸ばすほど映画業界は焼け野原になる。』
『こういう状況でも見に来てくれるであろう映画好き向けの作品の新作は公開される流れはある。』
『クラウドファンディングではなくそういう作品が公開される時に映画館に行くのが映画ファンが映画館を救うことになる。こんな時期にって人を無理には言えないがそういうなっていけば良いなと思ってる。』
『日本映画館の問題で平日昼間に本当にお客さんが入らない。その中で午前中でなんとかかんとかみたいな名画を流すみたいな試みをやってるけど続かないのは理由があって名作って概念が更新されてない。』
『日本のミニシアターもそうだけどシニアの観客に頼りすぎた。シニアの方が危険性が高いと周知されたのでシニアのお客さんからいなくなった。』
『名作の定義がシニア寄りになってることの問題がある。』
『旧作で若い人を映画館に呼ぶのは難しい。』
『きっちとしたキュレーションが一番難しい。』
『シネビバン六本木で働いていた時は小西康陽さんとか加藤ヒサシさんとかああいう方が埋れてる旧作をオシャレなものしてリパッケージするみたいなカワカツさんがパンフを作るみたいな。それはムーブメントができたがそれは文化にお金がある時代だからできた。それは立ち上げるのは本当難しいよ。僕も考えることはありますけど。』
『アテネフランセで中原昌也のキュレーションデイとかやってるじゃん。』
『文藝座とか早稲田松竹とかやってるじゃん。』
『原稿を書かなきゃいけないからちはやふるを全作公開とかに行ってる』
『オールナイトに関しては沢田研二特集とか行きたい奴あるけど年齢的にきつい。あれは20代までの特権かなとは思うよ。』
『でも、どうする?オールナイトで息の臭いおじさんといると一晩中その人の隣にいないといけないじゃないですか笑』
『僕は前も行ったけどそもそもがソーシャルディスタンサーなので当たってる映画でも人がいなそうな映画館、時間帯を狙うのでやっぱこういう時代を経ると考え方が変わっていくかもしれない。満員のオールナイトの上演会ってすげえ昔そういうのがあったなってなりかねない。』
『5年ぐらい前はPerfumeとかジャニーズとかラルクとかのライブの生中継が映画興行の新しい形として凄い期待されていてそれなりのマーケットはあるがそれもしんどくなるよね。』
『いやー、凄い時代になっちまった…』
『これはもしかしたら反論があるかも知れないけど映画業界も音楽業界もとんでもないことになってる。だけど全部の業界がとんでもないことになってるじゃん。一応それは配慮をして。それでもやっぱり援助を音楽だけではないのは分かってますけどって。本当に大変なことなってるので援助みたいなものは無尽蔵に出ないことを覚悟しないといけない。北海道でライブハウスに道として支援が出たが数十万。何よりマシ程度。どうにもならない。もうそろそろ自分たちで何とかする事が必要になる。カルチャーに限らずだけどテレビ局だって自動車メーカーだって半年、一年のスパンだと本当に何が起こるか分からない状況。ライブや映画は最初に来てインパクトがあって身近だからショックは大きいがみんな関係ない人はいないみたいな状況になって限界あるよねって。だから僕は野蛮人のようにと言っている。』
『援助の方向は本当に限界があるぞって言うのが。』
『目の前ルイヴィトンの六本木店の前でやってるけどどうなるか分からないでしょ。人と会わない状況で服とかも買いたくなくなるでしょ。』
『ZOOM飲みとかで友達と飲んだりするじゃん。』


『僕友達いないように見えているから。』


『僕の友達ってカタギが多いんですよ。音楽業界とか映画業界はいない。
やってるうちに余裕ブッこいてるから頭来ちゃって。長期的には影響はあるはずだけどとりあえず給料が保障されてるから。』
『こいつらと同じ気持ちでいちゃいかんなと思って。そこらへんからエンジン掛かって結構暗い気持ちで原稿書いてたのがモードをかえてガツガツ行こうかなって思ってます。』


『こんなにネットを声を気にする政治やだ。行き着くところは橋下徹になっちゃうじゃん。』


タナソー 「そういう事なのよ。ポピュリズム。」

『声を上げるのは大事だけどネットの声に変わりすぎでしょ。あと公明党ね。』
『公明党って元々政策はそこそこ良いじゃん。前からそれは思ってる。』
『(10万支給)元々他の野党も言ってたが力を持つ所を言う事が大切だからね。』
『俺はガツガツ行ってるよ。ガツガツ行こうと思って。』


『コロナに入ってから連載三つぐらい決まったし。』


三原さん 「関係あるんですか?コロナと」
『関係ある奴もある。やっぱり。』
タナソー「明らかに三つ連載が決まったから元気になったんでしょ?笑」
『でも、本とか遅らせたよ。プラスマイナスあるけどプラスの面をとにかく見ていこうって』
『この間プラスの面なんて道空いてガソリンが安くなった事だけだと言ったけどもう少し見ていこうかな?って言うかな』
タナソー 「俺はプラスを見ていこう言ったのにそれを否定してあとから自分もそう考えてましたみたいなモードになるよね」
『まあまあそれは良いじゃないです。そういうね。アップダウンがあった方が』
タナソー「常に俺の背中を見て」
『そんなことないよ!』


【寸評】

宇野先生はコロナの時代ですが仕事が増えてるようでそのうれしさを隠せないようです。謎の友達が多いアピールをする宇野先生。仕事が順調なようで何よりですね。


#063 シャーリーズ・セロン、25年後の偉業 Guests: 木津毅&宇野維正



『自分が10代だったら友達と遊びたいし彼女とも会いたいし今のような気持ちではいられなかったと思う。』
『こういう時には星野源は別として10代、20代に支持されてるアーティストの動きが鈍いよね。いま動かなくてどうするの?とは思うよね。』
『SKY-HIとかも含めてソーシャルレベルではやってる人はいるけどちゃんとしたリリースはないよね。別にFortniteに出てさ同時に新しいプロジェクト動かして1230万人が見ましたみたいなトラヴィススコットみたいなことは出来ないけと、トラヴィススコットだってみんな小学生や中学生が聴いてるものだからさここで彼があれだけフルに動くのは流石だなって思うしさ特に若いミュージシャンもっと頑張って欲しいと僕は思うけどね。』
『佐野元春さんのリモートセッションで作ったこの道はこのコロナのタイミングで作ったのは間違い無いけどその流れでエンターテインメント!と言う曲を前から作ってたかも知れないけど出したのは筋が通ってるのも手数多いのもふくめて流石だなと思った。』
『クォーターベストの話をすると日本公開のタイミングもあるけどクォーターベスト作品はもとかくMVPは間違いなくシャーリーズセロンだと思ってて
つい最近DVに合ってる女性のための基金を立ち上げて自分も50万ドル寄付したりとかミュージシャンにしても役者にしても女性の表現者のやるべきことを見てるとそこが大きな問題になってるんだろうなっていうさ。みんな家にいる時にこれまでも夫からハラスメントを受けてきた女性たちに想像力を巡らせて手を差し伸べる事が大きな問題になってる中で… 日本ではそういう話聞かないよね。』
『本当にこんなこと言いたくないけどこういう時に国が何をしてくれるかという話なった時にじゃあアートは何をしてきたのか?って話もある訳でさ。やっぱり海外ではそういうのの蓄積もあるんだよね。アートが社会にそもそもコミットしてきたからこそ何かあった時に援助みたいなものもスムース出るみたいなさ。やっぱりそれは双方向である訳で。国との繋がりって言うと日本の場合癒着っぽいのもしかなくて働きかけみたいなものが凄く少ない。ゼロとは言わないが。どうしてもそこを考えてしまう。』
『シャーリーズセロンの話をするとさ。今年の一月から二月にロングショットとスキャンダルとグリンゴ3本続けて公開された。ロングショットとグリンゴは日本公開が遅れた。スキャンダルが最新の作品。ロングショットは政界を舞台にしたラブコメ。スキャンダルはFOXテレビを舞台にしたme tooの話。どっちも五本の指に入れても良いぐらい。なのでMVPはシャーリーズセロン。』


『僕、偉いんですよ。作品の資料だいたい持ってきたんですよ。いま三原さんに見て貰ってます。』


『ロングショットってタイトル自体がゴルフで遠くに飛ばすから来ていて高嶺の花を射止めると言う意味もある。』


『セスローゲンはうだつの上がらないジャーナリスト、ライターという我々が感情移入しやすいけどね笑』


タナソー「維正ちゃんラブコメが全てのジャンルで一番好きだもんね」
『なに?なに?なに?そのフリ。むしろラブコメあんまり観ないけど好きなって話…』


『僕がラジオの番組でも、タナソーさんと一緒に出たハマオカモト君の番組でも紹介したけど、僕らみたいなポップカルチャー漬けのおっさんが政界のエリート街道を歩み続けた故にポップカルチャー摂取が止まっている女性に色々教える。それがたまんないの。』
『彼女が問題抱えている時に気晴らしにクラブ行こうぜって誘った時に彼女が着て来るのがエミネムのTシャツなの。それにMDMAを勧めるのなんて言うか全てがかわいいんだよね。』


『僕は自分より社会的地位が高い女性と恋愛関係になることのプライドとかないから。そのプライドのあり方も難しいじゃん。そういうのを支配する捻れだ欲望もある訳じゃん。女子アナとかに対するフェテッシュな欲望も歪んでるじゃん。妄想と実践で変わってくるかもね。』


『僕は単純にそこら辺の高嶺の花の女子アナにリルヨッティを教えてる自分をストレートに感情移入したよ。』


『調べたら六月の頭にソフトが出る。』
『去年映画だけど去年のベストコメディとかも受賞してる局地的な評価じゃなくてちゃんと評価されてる作品。今年一番終わってみて一番楽しかった映画はロングショットが不動の一位だと思う。とにかく爆笑して。』
『一番ロマンティックなシーンにちゃんとフランクオーシャンが使われてる。』
『でも、最近一番ロマンティックなシーンにフランクオーシャン多い問題があって。』


『一時期のレディオヘッドがやたら使われる問題、ボンイヴェールがやたら使われる問題に続くフランクオーシャンやたら使われる問題が浮上してる。
去年までの映画のフランクオーシャンはOKだけど今後は厳しく行くよ。』


『WAVESにもフランクオーシャンが使われてているがそれが最後に認める。』
『WAVESは日本での公開が延期になった。』
『A24のWAVESはケンドリックラマー、タイラーザクリエイターのラップ系からアニマルコレクティブ、レディオヘッド、テイムインパラとか監督が白人で主演が黒人って事もあるが、いまのインディーとラップのクロスして当たり前に聴かれているのが実感として分かる。黒人のティーンとかにとっても。作品の評価は分かれているがそういうポップカルチャー的な観点からは興味深いし意外にリアルなんだろうなと思う。』
『あの映画面白かったのは押野素子さんという翻訳家の方が黒人の主人公がお母さんのことを物凄く口汚く罵るんですよ。それを見て冷めたという。なぜならアメリカ黒人の男の子はお父さんと喧嘩してもお母さんに、継母でも一緒に住んでお母さんに白人のティーンのように口汚く罵る子はいない。誰に聞いてもそれが引っかかったと言っていた。』


『白人監督が黒人の主人公を撮るとこういう所で引っかかるってケースとして勉強になった。』


『それと自分の子供が母親に対してちょっと汚い口を聞いたら本気で怒ってる。黒人の家庭では黒人の子供はお母さんに口汚いことは言わないんだと怒ると子供にお前黒人じゃないだろと言われる。』


『ルースエドガーは5/15公開予定で動いてない。私がパンフとかも書いてる凄く見て欲しい映画。』
『リスペクタビリティ・ポリティクスって聞いたことあります?ようするに差別されないように模範的な行動を取ると言うプレッシャー。黒人の男の子で勉強も出来てスポーツの出来る子優等生を女性教師がその子の内側の闇を訝る。黒人の社会進出みたいな物は昔より進んでいるがそれは優等生であることのプレッシャーがものすごく社会手に強く黒人で成功してるのはそれに囚われている。ちょっとダメな部分を見せられない息苦しさみたい。成功してる黒人は出てきているがちょっと転んだ時のダメージが白人とは全然違うんだよと言う問題をがっつり描いている作品ですごい勉強になった。』
『有害な男性性に繋がるが日本のおじさんとかアメリカの白人の中年はダメになれる自由がある。タナソーさんは自分のことをチンピラだと言ったり僕は野蛮人で行こうとか言ったけどそこを自由を社会的に許されていることを意識しなきゃとは思わされるよ。ルースエドガーの男の子は同級生がちょっと問題起こすと途端にもう奨学金もダメなにもダメ人生終わりだみたいになってるのを見ると社会に対していろんなことを思う。われわれは今まではこれからは分からないけどダメになれる自由があるんだなと思わないといけないと思った。ガラにないこと言ってるけど。』
『心の傷を癒すということというNHKのドラマがあったが在日の子の話で精神科医になって阪神大震災の時にPTSDを抱えた人を支えるみたいな。日本のドラマではダントツに良い。一話が良すぎて。一話を見たときビックリしたが。その後は少しドラマとしての強度は緩むけど。同じことだなと思った。社会的なハンディキャップ、制度的なハンディキャップを思ってる人は優等生じゃないと生きられないみたいな。』
『僕とか優等生的なものに対する反感が根強くあるけどそうじゃなゃ生きられない人たちの想像力は持たなきゃいけないとは思っている。』
『ちょうど木津くんが来てくれた大阪のロフトプラスワンのイベントでも話になったけどスキャンダルが凄いと思ったのはシャーリーズセロンがプロデューサーしてるんだけどFOXのアメリカ人なら誰もが知ってる重鎮のセクハラプロデューサー、テレビ界のワインスタインみたいなやつの話なんだけどFOXは保守と言う最もオルタネイトなのにアメリカで一番観られているトランプ政権を生み出した温床みたいな局なんだけどそこの中での女性キャスターたちがセクハラパワハラを告発していくという実話の話なんだけど監督はジェイローチと言うオースティンパワーズ撮ったをハリウッドの中では右寄りの監督。シャーリーズセロンが監督をジェイローチにお願いするとジェイローチに「僕みたいな保守の白人の男が撮る映画じゃないんではないか?」言われたがシャーリーズセロンは「だからあなたにお願いしたいの」と監督を依頼した。そこが素晴らしい。実際作品もそういう出来。セクハラパワハラに女性達が立ち上げる話だがそんなに単純な話ではないんだよね。シャーリーズセロンが演じてるキャスターの含めてマーゴットロビーとニコールキッドマン、特にニコールキッドマンが一番有名なキャスターを演じている。彼女たち自身はMe tooに乗っかったが彼女達自身はそういうアメリカの白人中心の社会で中でのし上がるためそれなりにそういう物を武器にしたし政治的にもFOXのキャスターをやってるぐらいだから。トランプと名指しで喧嘩になって問題になったんだけど。日本のキャスターとかそういう人多いと思うけど、一応建前としては共和党支持として仕事をしてくて番組を持ったりして社会的強者でもある人たちがあのムーブメントをいかに利用したか?という話でもある。単純なポリコレ万歳的な映画では全然ない。そのニュアンスをやる上でシャーリーズセロンの判断ってめちゃめちゃシャープ。しかし、こんな映画でさえIMDBやロッテントマトを見ると「だたのポリコレプロパガンダ映画だ」と一般のユーザーは言っている。全然違うし僕はネットのレビューを嫌うけど日本だけの問題じゃなく。だめかと英語のレビューザーッと見て本当に酷いなと。』
『トランプ=共和党ではないってこと。トランプは共和党の中でも異分子だという。日本だとそのニュアンスは分かりにくい。トランプ=共和党だと日本では思われている。』
『マーゴットロビーのアイトーニャも彼女の企画。この時代にホワイトトラッシュ的な実在の人物をあえて演じるという。僕がよく言う保守とリベラルを分断ではなく横断する意思。間違ってでも映画に来てもらう。そのあたりが向こうの女優さんは意識的だなと思うの。』


『一昔前までハリウッド英語はトップガン的なある種アメリカ万歳みたいなのと単純なアクションみたいな門切り型であまり映画を見てない人を言う。もっと言えば日本でインディーズの映画を撮ってる人までも。最近だとそういうトレンドだと同じような人たちが「ハリウッド映画はポリコレに毒されてるからさあ」みたいに言うけど何にも分かってない。そういう複雑な物を複雑なまま映画化する。なんでこんな話をしたかというと大阪で話した時に。』


タナソー「大阪でこれまさちゃんと木津くんが大喧嘩になった」
『ようするに女性が主人公だから女性の監督。黒人が主人公だな黒人の監督みたいな流れが2016年ぐらいからあったんだけど逆にそれによって表現の幅が狭まってしまう。そこを横断してるWAVESとスキャンダルはそれに近い。それによって誤解が生じてしまうかも知れないけど必ずしても作品の主人公と作り手のアイデンティティが共通であれば良いというのは違うんではない?と言う話したら』
木津さん「それはもちろん作り手のアイデンティティと作品のアイデンティティが一致しないといけないとは全く思わないがそこを優先した結果失敗した映画があってもナイストライとして次に繋げていけば良いと言うムードがあっても良いと言った」
木津さん「黒人が黒人を撮った映画や女性の映画を女性が撮ったダメな映画があっても良い」
『チャーリーズエンジェルみたいにね。』


『バイバイ、ヴァンプ!」は日本映画の構造の問題がある。』
『バイバイ、ヴァンプ!」は日本映画の膿の象徴する出来事。』
『日本のタレントの人気を当て込んだ低予算映画。噛まれたら同性愛者になる。その恐怖に怯えながら生きると言うこれを話すだけで酷い映画だと分かるでしょ?劇場にかけてそれで収益を得ようとしてる映画ではない。出演者のファンが最低限劇場に来て。上映イベントとかで多少それをリクープしつつ一回劇場にかかると劇場映画になる。劇場映画とVシネのギリギリみたいな作品がこれで劇場映画になる。ほとんど終わりかけてますがこの時期レンタルビデオが流行ってると聞いてそれもなかなか暗澹たる思いだが全国のレンタルショップに劇場映画として並び収益を得て、ソフト化してファンが買う。あと撮影場所から助成金がフィルムコミッションとして得られる。日本映画のいろんな物をスポイルするシステムの中で大儲けはしないが商品として色んなシステムが成り立たせてしまう。ファンダム問題も関わってくるし地方の助成金、公開作品が多い問題も関わってくる。全部の問題が集約してくる。』


『僕見ないのも批評だと言っているが作品の中身について話すなら見ないといけないと言う問題もある。どうしても周辺の話しかできない。ここまで問題が大きいと見ないといけないとも思うが。』
『見ないのも批評はたまに批判されるが見ないのも批評だと改めて言いたいがこれ以上は話せないってとは思う』
『童貞をプロデュースの問題は観ることによって声を上げてる人を傷つけてしまうかも知れないから語るために観るのが正解かも分からない。』
『そういう話にも繋がってくるのが見ないのも批評は色々問題をはらんでくる』
『僕が常々言ってるラストタンゴインパリの問題とも関わってくる。何年前の映画なら許されるのか?とか作品として素晴らしければ許されるのか?とかいろんな問題がはらんでくる。ラストタンゴインパリの問題と童貞をプロデュースの問題は実は同じ。だから難しい。それぞれ答えはあるが問い詰められた時に何を言うかは覚悟決めて言わないといけない。』
『映画関係者だったら態度を示せみたいなこと言われると利害が全くないからこそ示せないっていうのはある。何かを守りたいとかならまだしも。』
『タランティーノがあえてワンハリであの題材を描いて大絶賛され、セザール賞でロマンポランスキーに賞与えたのは広い意味でのMe tooのバッククラッシュ。』
『そこで問題になってくるのは何かが起きてからの時間の問題。ウッディアレンも関わるが現在進行形で苦しんでいる人がいるのかどうかとこれは言うのに覚悟はいるが芸術としての質の問題。何を作ってきたか。それはどうしても頭によぎるよ。』
『時間が空いてて素晴らしい作品を残しているかはよぎらざるおえない。
ロマンポランスキー辺りは事実としてグレイではなくブラックだけどウッディアレンとかに関してははグレイな部分もあって事実としてはわからない。
なんかいやのところ踏み込んでしまったね。』
『木津くんと話すとやっぱこういう話をちゃんと出来る。ちゃんと出来ない人がいるので。タナソーさんと二人ですると共犯者めいてしまうから。』


【寸評】

宇野先生はなぜか女子アナに対する特別な思いがあるようですね。ロングショットを見ながら女子アナにリルヨッティを教える妄想をしているそうです。

宇野先生は自分が黒人だと思ってる系の発言が多いですがお子さんに黒人の家庭では~と説教するエピソードとお子さんにお前は黒人じゃないだろと言われるエピソード宇野先生らしさがあります。

個人的に関心があった「バイバイ、ヴァンプ!」問題を宇野先生が語ってくれたのは素直に良かったし学びになりました。本当にこれには個人的に言いたい事が山ほどあります。

#064 映画、愚かさと罪に向き合うために Guests: 木津毅&宇野維正


『コロナが落ち着くまで僕が出るってことは早く落ち着いて欲しいって人はダブルで思うわけですね。』


『収束って言葉は使わない方が良いですね。早く落ち着いて欲しいですね。』

木津さんの1月から3月の5作品


パラサイト
ボージャックホースマン 最終章 シーズン6
アンカットダイヤモンド
ローニトとエスティ
レミゼラブル

宇野先生の1月から3月の5作品


スキャンダル
パラサイト
アンカットダイヤモンド
リチャードジュエル
フォードvsフェラーリ

全てを超越した一位 ベターコールソウル
5作品を超えるぐらい好きなのははちどり


『ミッドサマーは1回目イマジカの凄い音響の試写室でかなり前に観てぶっ飛ばされてヘレディタリーを超えたみたいなコメントをファントムフィルムに出したけど別にそれを否定するつもりはないが映画館が閉鎖される前にもう一回見たが特に村に行ってから、アメリカのシーンは良いけど全然一回と違ってテンション下がった。アリアスター大好きだけどヘレディタリーは何回でも観れるけどミッドサマーは後半一時間半延々と続く村のシーン2回目は全然違ったと言うのが今の感想。またかわるかも。』
『ヒットの構造がちょっと違ってそれこそパラサイトは年配の方も含めたお客さんを日本全国で集客した。一般公開されたあと割と地方でも入った口コミで。アカデミー賞効果ももちろんあるけど、口コミやアカデミー賞の前からちょっと異常な動きをしていたヒット作。』
『ミッドサマーは10代、20代の割と女性が配給会社の想定以上に入った。考えさせられるのは僕はコメント出した時にホラーと言う言葉を入れたんですよ。よくあるのはホラーとかSFと言うことばを入れるとそれだけで敬遠される。』
『僕だけのコメントなら良いけど五個も六個も並ぶ中にホラーと言う言葉が全くないの気持ち悪くないですか?と配給会社と話した。でも、結果的にはホラーと言う言葉がないからヒットしたところもあるんだろうなと言うのが考えさせられた点ではある。実際見るとグロいですからね。』
『共同体に中に紛れ込んで生贄になる珍しい展開ではない。2000人の狂人とかウィッカーマンみたいな。』
『そういう作品を知ってればそうきたか!って言うのはある。』
『作家はジャンル分けを嫌うしアリアスター自身はホラーと呼ばれるのを嫌うけど実際はホラーなんだよね。』
『サフディ兄弟は「神様なんてクソくらえ」で東京国際映画祭で賞を取ってましたね。けど、東京国際映画祭の賞なんて誰も興味ないので。東京国際映画祭の賞なんて誰も興味ないので。重要なことなんで二回言ってしまいましたけど』
『映画好きの間ではそこで認知されて、その後グッドタイムこれは僕はがっつり応援してたんだけどそこまで広がらなかったけどポップカルチャーの文脈で語れる文脈が出来た。それはセレーナゴメスが重要なんですよ。それは当時セレーナとウィークエンドが付き合っていて何かのきっかけでセレーナゴメスがこの作品凄いじゃんと見つけてセレーナとウィークエンドの二人でソーシャルメディアで宣言しセレーナに至ってはLAでサフディ兄弟を招いて試写会イベントのMCまで行った。そんな風にグッドタイムのタイミングであの二人にフックアップされた。』
『もう一つポップカルチャーの文脈で話すとグッドタイムでOPNが音楽をやっているがこれは映画音楽におけるなかなかの事件で僕もライナーノーツとか一生懸命書きましたがそこからも広がっていった。セレーナとウィークエンドは別れてしまうがウィークエンドとサフディ兄弟はダチになってその流れでウィークエンドとOPNもダチになってウィークエンドのアフターアワーズにもOPNは参加しているが結構OPNはアフターアワーズで重要な役割を果たしている。』

『アンカットダイヤモンドでもOPNは音楽を担当している。グッドタイム観れば分かるけどなかなかの奇跡的な組み合わせで。』
『僕は今ね。映画監督の一つのポイントって自分の専門の映画音楽家を持つことだと思っていて例えばデビットフィンチャーにとってのトレントレズナー、ポールトーマスアンダーソンにとってのジョニーグリーンウッドとか。たまたまどちらもポピュラー系のミュージシャンですけど。』
『スピルバーグのジョンウィリアムスの時代からそうですけど一番映画監督が自分の音楽家を見つけることが凄く重要。それによって作家のシグニチャーが生まれる。ここ数年生まれた幸福なマリッジっていうのでサフディ兄弟とOPN は相当ですよ。衝撃もあったし重要な組み合わせだと思うんですよ。その文脈でウィークエンドにもOPNは参加するようになったしアンカットダイヤモンドはウィークエンド人脈からヤングサグとかクエボとかラッパーたちもみんな作品に関係ないのに試写会に駆けつけてポップカルチャーとニューヨークのドインディー監督が繋がったという面白い現象が起きて。しかも製作配給がA24であそこはマージ展開がめちゃくちゃ上手くて主人公のアダムサンドラーのハワードってキャラクターのTシャツとかマグカップとか作って飛ぶように売れるしネットミームにもなって何かあるとアダムサンドラーのGIF画像が貼られたりして特にラップ界だと僕はアルパチーノのスカーフェイス以来だと思うんですけどそれぐらいアイコンにもなっていった。作品の外側だけでも面白いことが山ほど話せるこがアンカットダイヤモンド。』
『これはネットフリックスはアメリカと数国だけで劇場公開。最初からA24はそれ以外の国ではネットフリックスで考えていた。それで日本でも一月から観れるようになった。』
『期待を超える作品だと思う。』
『サフディ兄弟の今までの作品と違うところはユーモアが出てきたのが作家としての成長だと思う』
『もう一つは今回は製作も含めてA24がやっていてポスターの70年代のアルパチーノが出てた狼たちの午後とかのああいうテイストの画面もそうだけど。ようするにプロダクトデザインとしての優秀さというのはこれまでの作品にはなかった。作品のデザインとユーモアがいかにも重要化今回の作品で分かったな。ウィークエンドがウィークエンド役で出てきます。しかも2011年のウィークエンドを演じてます。』
『アンカットダイヤモンドは不快感を快楽に転じるのを狙ってるけど不快なまま終わる人がいるかも知れない。』
『サフディ兄弟はラッパーにあんなに愛されてるのはホモソーシャル感。極端に男向けな映画の可能性はあるよね。』
『映画ってなんとなく自分が知ってるようで知らない事を描いてくれると凄い楽しくて。結局ニューヨークのユダヤ人って戒律が厳しいようなユダヤ人社会、コミュニティみたいな物を描いてる映画やウッディアレンに象徴されるインテリ層、ちょっと裕福な層の映画はあるがユダヤ人の商売人の映画は実はあんまりなく歴史的にユダヤ人は金貸し業と宝石業で成り上がって来た。』
『デビアスとか有名な宝石箱はユダヤ系』
『アダムサンドラーもニューヨーク生まれのユダヤ人。サフディ兄弟はヒップホップ的なレペゼン。』
『黒人成功したミュージシャンやアスリートと宝石を介して近い存在になる。』
『向こうのラッパーのマネージャーとかユダヤ系が多い。デフジャムとか。』
『そういう何となく知ってた世界をちゃんと知る興奮がある。』
『ラッパーや黒人にとっても親しみ世界がある。』
『それを白人がブラックコミュニティじゃなくてユダヤ人がリアルという露悪的な描く。この視点今までなかったなあ。』


『あんなろくでもない奴のにめちゃ綺麗な愛人がいて店の女の子もみんな思いを寄せてますみたいなめちゃ男に都合のいい設定だみたいな。ああいうのがダメなんですよ。めっちゃ心地よいんですよ。』


『あれが男心擽る所がある。』
『ミッドサマーもそうだけど新しい映画の表現は映画を見てる人しか作れない。その足場がない所で新しい映画を作ろうとすると映画じゃなくなる。』
『結論から言うとシネフィル以外は新しい映画は作れない。』
『作り手はシネフィルが絶対条件になって来ている。』
『映画に対するリテラシーない人は全然話題になれない。』


『日本のメジャー映画は厳密に言えば映画なのか?って世界。でもそれが悪いのは年に一回や二回しか映画を観ない日本人が悪い。そんな人たちに向けて映画を作らないといけないから映画にならない。東宝、東映、松竹が悪いわけでは無い。』


『日本人が年に7本、8本観てた時代はいい映画いっぱい作ってたもん。みんなが映画に行かなくなるから映画がダメになるっていう凄いわかりやすい話。』


『僕の言ってる事は正しいけどその正しさがプラスにならなかったら意味がないもん。それが今の悩ましい話。』


『アダムサンドラーの文脈も重要で。アダムサンドラーは元々人気があったが2000年代前半に映画にお客さんが入らなくなってネットフリックスオリジナル映画のリディキュラス・シックスで復活した。ようは元々人気があった人が少し落ち目になった人がネットフリックスと組んで復活する。去年はエディマーフィーがルディ・レイ・ムーアがそう。ネットフリックスは新しい才能を出してるだけじゃなくちょっと落ち目のベテランを使ったりしている。』
『これは長谷川町蔵さんの受け売りだがネットフリックスはレンタルDVDから始まってるからアダムサンドラーは映画館ではヒットしてなかったけど実際アダムサンドラーの映画を観てる人は実は多いというデータがあったからアダムサンドラーの映画にお金を出した。だからヒットしたという流れがある。劇場だけじゃなくて観てる人が多いと言う数字を把握してるからの復活劇。エディマーフィーも同じ。ネットフリックスがこれを配信してるのもアダムサンドラーが主演してるのも色んな必然がある。』
『何より素晴らしいのはサフディ兄弟はやりたいようにやってるだけなのにそこに上手くはめに行った。それが出来てるのが素晴らしい。』
『ネットでも女性らしい人でアンカットダイヤモンドを褒めてる人は見ない。でも、まあたまには東映のヤクザ映画みたいな映画があっても良いじゃないですか。』

『僕はダベイビーみたいな性格なのでその立場に立てない。ほぼボキャブラリーがダベイビーみたいになってる。』


【寸評】

宇野先生は最近自分が嫌われキャラを自任してるようです。

OPNとウィークエンド、サフディ兄弟との繋がり辺りは流石、音楽と映画の両方を専門とする宇野先生らしい解説でした。なかなか両方語れる専門家がいないのでそのあたりが宇野先生の仕事がある点でしょうね。

日本人が映画を観ないから映画の質を落として映画会社が作ってるというのは理解できますがそれ映画ジャーナリストが日本人の全体のせいにするのはどうなんでしょうか…

映画ジャーナリストとして宇野先生にこそ日本人が映画館に足を運びたくなるような仕事をしてほしいものですね。


#065 ポン・ジュノvsジェームズ・マンゴールド Guests: 木津毅&宇野維正


『パラサイト難しいのは海外では去年の作品だし東京と大阪では去年末から公開されてたから去年のベストにしてる人もいる。』
『良くも悪くも隙がなさすぎる所がパラサイトの唯一の欠点かも知れない。』
『僕が衝撃受けたのはポンジュノ監督の絵コンテ。絵も上手い上に撮影したカットそのまま。』
『ウェスアンダーソンとかスタンリーキューブリックとかああいう完璧主義者タイプ。役者を自由に動かしているとインタビューでは言うけど自分の頭の中に完璧な設計図があってそれを構築していくタイプの作家なのかな?』
『僕スノーピアサーは一番苦手だけどあれはそれの悪い面が出たのかな。』
『それまでは役者の躍動感も含めた優れた映画監督と言うイメージだったが更新された。』
タナソーに『いま三原さんの腰折ったよ』
『家族って共同体に対しての疑いはないのか?ってところはあるよね。』
『僕パラサイトで色んなアプローチで色んな原稿を書かせて貰ったけど一つ心残りなのは半地下家族の長女ギジョンの視点でもう一つ論考を書きたかった。注意深く見ると彼女だけが超然としている。富裕家族の中でも彼女は媚びてない。子供にガチに向き合って教育もしている。常に目線が上。一階に降りない。半地下が水没する時にも上にいる。彼女の冷めた視点や結末も含めて掘りがいがあると思う。』
『はちどりや82年生まれキムジヨンにも繋がる。』
『はちどりとパラサイトが双璧で韓国では評価された。』
『パラサイトはコロナがなければもっとヒットしたはず』


『検索すれば分かりますけど僕はジェームズマンゴールドを作家してかなり初期から語った人なんで』


『ナイトアンドデイは本当に素晴らしい作品。』
『アメリカ映画の守護神現ると思った。僕は何が好きってアメリカ映画が好きなんで。そういう監督が途絶えることが一番恐怖なんですよ。これはまだ当分大丈夫だぞアメリカ映画。任せた。と思った。』
『アンカットダイヤモンドを観てこれは俺の映画だと思った。』
『クリスチャンベイルの奥さんって理想化され過ぎてませんか?』
『僕は意図的なものだと思っている。あえてのあんな良妻賢母みたいなものをアメリカ映画で久々見たな。』
『1960年代のレースの世界は白人男性社会だったわけだしあの時代の妻像なああいう物だったし去年のワンハリからハリウッドは想定できる否定批判をはじき返せる強度みたいな物を設定に求めていた。故にアメリカ映画を守るという強い意志を感じた。この映画の批判はその微々たるものしかなくほとんどの人が褒めている。そんな映画を作ったのは流石だなと思いました。』
『車好きの視点から言うとルマンの長い歴史の中でフォードがたまたま凄かった時代を切り取った映画がそれをアメリカ人が作ってアメリカ人が喜んで観てる。それは意識しないといけないよね。だってフェラーリの方が100倍凄いから。』
『ただ大衆車を初めて作ったフォードが貴族のスポーツであるモータースポーツの世界でもこうやって勝った歴史、時代があるこたは車好きなら知ってる話だし。GT40は名車の名車ではある。めちゃくちゃ狭いけどね。』
『ヨーロッパクソくらえ、イタリアの貴族クソくらえと田舎者が盛り上がってやった一時期を切り取ってやったという冷めた視点がある事は事実なんだよね。』
『ヨーロッパではフォードvsフェラーリではなくルマン66というタイトルになっている。フォードvsフェラーリではフォードが勝つのを知ってるから。そんな映画はヨーロッパでは当らない。』
『良く日本でさ、タイトル替えるって言うじゃん。実はアメリカとヨーロッパの間でもそういう事はあって。ヨーロッパの人たちはフォードvsフェラーリじゃ行かないんですよ。ルマン映画だと言われて初めていく。』
『レースの世界でフェラーリは神様なのでたまたま勝っただけでこんなに喜びやがってって言うのは確かにあるよ。そういうのを切っても全てがアメリカ的でそれが素晴らしさでもある。』
『木津さんに悲しいお知らせがあるんですよ。ボージャックホースマン木津さんがあんなに薦めてるから観たけど乗れないねって話を三人でしてた』
『コメディはマスターオブゼロとかアトランタとか名前は出したけど語り切れてない分野ではあるよね。』
『我々はフィクション作品は眼福。視覚的に幸せになることを求めている。フォードvsフェラーリはまさにそう。』
『アニメ表現ってサウスパークでもシンプソンズでも良いけどああいう活案的なアニメと、宮崎駿やディズニーみたいな所謂映画的なアニメがあって実写とアニメって言う風に分けるには短絡過ぎると思うけどアニメの中にも視覚的な幸福がもたらされる物とそうじゃないものがある。そこのハードルが足り切れてないんだろうなと僕は思う』


『僕はドレイクとかウィークエンドのキックとかみたいにスネアの音が鳴ってないとイマイチあれなんだよね』


『アンダーンは素晴らしかった』
『主人公のお父さんがボブオデンカーク、ロングショットの中の民主党のポンコツ大統領もボブオデンカーク。そしてベターコールソウルは主人公がボブオデンカークのブレイキングバッドの前述談の話』
『いまシーズン5がちょうど終わったところ』
『シーズンが配信されるとあまりにも全てのレベルが高くて他の映画が観れなくなる』
『シーズン6で終わる予定になっている。エピソード13で終わる。実はブレイキングバッドは全部で62話、ベターコールソウルは63話で終わる。これはどういうことかと言うとテレビシリーズ史上最高傑作と言われるブレイキングバッドを名実ともに内容だけじゃなくて話数でも超える。全てを超えるというメッセージ。恐らくウォルター、ジェシーも出て来る。撮影が延期になっているのでどうなるか分からないが来年最終シリーズが配信される予定。』


『今からでも遅くないから…ベターコールソウルを…観といた方が…良いよ…(何故かゆっくりと芝居がかった言い回しで)』


三原さん「ブレイキングバッドからですか?」


『絶対ブレイキングバッドからですね…110話ほどあります…(何故かゆっくりと芝居がかった言い回しで)』


『ブレイキングバッドからベターコールソウルは撮影とか照明のレベルがガガガと上がっている』


『ブレイキングバッドは女性の描き方を意地悪に描いている僕とか妻と上手くいってない時とかにブレイキングバッドを観て溜飲を下げるみたいな事がある訳よ。この悪妻が!みたいな。』


『今は違うよ。そうやって精神を保ってきたからさ俺は。ブレイキングバッドと共に生きてきてみたいなもの』


『もしブレイキングバッドに批判するポイントがあるとしたら主人公の奥さんとかがちょっと悪者だよね。ベターコールソウルの何がすごいって主人公の彼女がもはや主人公なの。』
『ブレイキングバッドは悪事に手を染めるってことなんですよ。ベターコールソウルも全く同じテーマなんですよ。人がどうして悪いことに手を染めていくのかを緻密に描いていくのがこのシリーズでアルバーカーキという場所のサーガ。』
『ベターコールソウルは人が人生を踏み外していくのを均等に描いていてブレイキングバッドのテーマを延長して更新している』
『ブレイキングバッドはオバマケアを背景にしていてまとも生きたいと思っていた高校の化学教師が癌になったことをきっかけに今のアメリカの保険制度の中でまともに生活が出来なくなる事から麻薬の製造に取り掛かって道を踏み外していく。』
『ベターコールソウルは主人公は既にブレイキングバッドしていて主人公の彼女が悪の道に踏み外すじゃないかとハラハラ観てるそんな感じ。』
『あらゆる意味で今の映像表現のトップ』
タナソー「この人(宇野先生)は俺がいかにゲームオブスローンズを薦めても観なかったからね」
『ターコールソウルは日本でもネットフリックスの加入者が増える中で最終シーズンに向けて盛り上がりつつあるのを感じる。 』

タナソー「僕は好きな物と素晴らしいものは分けたいですよ」
『僕は好きな物が素晴らしいと言い切りたいと言うタイプだね』
三原さん「その話良くしますよね」


【寸評】

宇野先生のジェームズマンゴールド古参仕事アピールは流石宇野先生って感じですね。

売れてる音楽が好きなのは一貫してる宇野先生。西寺郷太氏はこれを「常に勝つ方に身を置きたい人」と評してましたが。

ベターコールソウルを愛しすぎて突然変なやばい人の芝居口調になる宇野先生です。

宇野先生は奥様と上手くいってないときはブレイキング・バッドを見て溜飲を下げていたようですが今は上手くいってるようですね。

私もタナソーと同じで好きな物と素晴らしい物は分けたい派です。これは誰しもそうだと思いますけど相変わらず自分のセンスに自信を持つ宇野先生は好きな物が素晴らしい物と言ってますね。三原さんも言ってますが宇野先生は良く言います。本当に自分のセンスに自信があるのでしょうね。

【総評】

コロナでも仕事が増えて結構ご機嫌な宇野先生。相変わらず本当に自分のセンスに自信があるんですね。



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