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ウワサ話が大好物なバアちゃんたち

実家を建て替えて移り住んで1年半が過ぎ、昔の暮らしを思い出しながら今と昔の便利さの違い等に感心している日々ですが、ご近所さんは昔と変わらずどこに誰が住んでいるのかがわかっているので、新たな人間関係で悩むことは特になくまぁまぁ快適に過ごしています。

ワタシが住んでいる所のご近所さんは、たま〜に我が家のような2世帯があるくらいの老人夫婦が住んでいる「シルバー地帯」で、若い世代のファミリーなんかはいません。
ワタシが子供の頃お世話になったおじちゃんおばちゃん達が今でも住んでいて、その子供が次に住むっていう感じなので、新しい人があまり入ってこないんですよ。

そんな「近所のおばちゃん」に朝のゴミ捨てなんかでバッタリ会ったりすると、ワタシはどこの誰かがすぐわかるのですが、おばちゃんはワタシが誰なのかわからないことが多いので「〇〇の娘です」みたいな簡単な自己紹介をすることがあるんですね。
ただこれが、非常に厄介なわけです。

「あら〜、アユミちゃんなの?全然わからなかったわ〜」
と驚いた様子で
「今お母さんと住んでるの?」
と家族構成を聞かれ
「今何してるの?」
と仕事内容や暮らしぶりなんかを詳しく聴取されるんですよ。
で、それが次の日にはそこかしこに広まってる、っていうね。

正しく伝わっていればいいんですけど、「〜らしいわよ」みたいに想像が加わったり個人的な感想が付け加えられたりすると、末端は全然違う伝わり方になっちゃうわけです。
ただでさえ、単純な聞き間違えが多い年齢ですからね。
普通に伝言ゲームが出来ないんですから、そこに尾ヒレがついたりするととんでもないことになって流れていくっていう、誰がそんなこと言ったんだ?みたいな、本人がひとっつも言ってない内容に変換されていることも多々ありましてね。

だから、なるべく誰かにバッタリ会わないように気を付ける感じで、人のいない時間にゴミ出しに行って、車の乗り降りもササッと済ますみたいな、自分の家なのに外に出る時ちょいとドキドキする、っていうのが当たり前になっています。
庭でなんかしているところに「こんにちは〜」なんて声をかけられた時には、「手を上げろ」って言われたようなもんですよ。
一度ロックオンされたらもうおしまい。誰かが来るまで集中砲火を浴びせられて、誰も来ないと焼け焦げます。
平気で数十分しゃべり続けますからね。
小さい頃のワタシを知っているおばちゃんがバアちゃんになっているわけですから、その空白期間となっているワタシの生活を知るためにそれはもうすごい攻撃で、ターゲットにされたこっちは捕虜になった気分です。

取材を終えると、仕入れたネタを即誰かにしゃべりたいので、歩いて会った人に次々と「ねぇ、知ってる?」と話しかけていくもんだから、1人が2人に、その2人が4人へと、瞬く間に広がっていくわけですね。
SNS顔負けの早さで拡散されていく “バアさんネットワーク” は、とにかくヤバイ。甘く見てるとあとで泣きを見ることになるので、自分が発する言葉選びにはいつも気を付けています。

前のnote記事「床屋は町の情報機関」の中で、“床屋で話したことはあっという間に広まる”なんてことを書きましたけど、床屋に行かなくても普通に広まっていくのがシルバー地帯の怖さです。
新たな人間関係でご近所さんで悩むなんてことはないんですけど、歩くワイドショーみたいな人がいっぱいいる所に身を置いているので、「いつでも見られてる」っていう緊張感を持って住んでいるのは確かで、こっちの方がキツイという人も多いでしょうね。
ワタシはもう慣れっこですが、新しくここに移り住んできたウチのボスは、玄関を出る時いつも緊張するようです。



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