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スイス・チューリッヒアートブックフェア『VOLUMES 2018』レポート

11/23、早朝にチューリッヒ空港に着いた。外は1℃。
事前に調べて知っていたとはいえ、真冬の寒さだった。

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今回は、11月23日から25日にチューリッヒで開催されたアートブックフェア『 VOLUMES 2018 』の様子をレポートする。スイスでの多くの出会いは、これからの crevasse を助けてくれるだろう。

text & photo / 大滝( crevasse

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『VOLUMES 2018』は2014年に初回を迎えたチューリッヒのアートブックフェアだ。

5月、僕らのもとに募集案内がE-mailで届き、参加を決めた。
前年の様子などをチェックしてみると日本はおろかアジアのブースが1組も参加していない。その後、他のイベントで日本のパブリッシャーにも聞いてみたりしたが情報がない。まあここ日本に対する宣伝効果はない。憧れのアートブックの地、しかし新地、は僕らにとってチャンスなのかどうなのか不安でいた。

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会場に到着して誘ってくれたGloriaと握手を交わし設営を開始していると、ゆるゆると他の出展者たちが集まってくる。「おう。ひさしぶり」って感じだ。僕らに「他のブックフェアも回ってここにきたの?え?このためだけに来たの?」って質問を受けていると、このフェアのローカルな雰囲気が伝わってくる。しかし、フランス・イタリア・ドイツなどのヨーロッパ近隣から、そして少し離れてモスクワから、70組超がこのブックフェアに集まり、会場の上下階含めた建物全体を通じて同時に関連した展開をしている様子を見ると、決して僕らの思う「ローカルな感じ」とは違う。

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事前に見ていた出展者公開では50~60組だったと思う。そこにはあの Nieves の名前がなかったので「今回は会えないかもな」と思っていたが来てみたらすぐ斜め前のブースだった。Nieves innen 、crevasseという並びに「おいおい。現実かよこれ」という思いだった。

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今回のcrevasseは、これまでのアジアでのブースイメージと変え、壁面のメインビジュアルに 是恒さくら のテキスタイル作品を使用し、彼女のリトルプレス『 Ordinary Whales ありふれたくじら 』を準備した。最新作の Vol.5 に加え、 Vol.3Vol.4 を揃えたが、ビジュアルに使用した作品を含め、スイスでの関心は非常に高かった。このあたりは反捕鯨的な考えの濃いひとが多いと聞いたが、それが悪く働くことはなく、むしろ興味の対象と映ったようだった。

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スイスは、言語的にはスイスドイツ語とスイスフランス語らしい。純ドイツ語、純フランス語からすると訛りが凄すぎて標準語と沖縄方言くらいの差があるそう。しかし英語の習得率が非常に高くほぼ誰しもが話すことができて、なおかつ英語での対応に快く受けてくれる。ホテルでテレビをつけていたときも、英語の会話が出てきてもドイツ語字幕などが入ることはなかった。

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ここ2回の台北・上海と比べると年齢層は幅広い。おじいちゃん・おばあちゃんや家族連れも多い。歴史や土台があるってことなのかなー。
かと思いきや、ダンサー(なのかな?)の女の子が会場で踊りながら知らないお客さん(なのかな?)に絡んで行ったりして、ちょっと困っていたりする。頭に羽飾りをつけた全身緑色のおじいちゃんと階段ですれ違って「おしゃれだなー」と思ってたら実はパフォーマンスアーティストで、出入り口付近で小さい机を出して本を作り始めてた。
会場の様子は、公式FACEBOOKページ で写真が数多く公開されている。

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声をかけてくれるブースも多く、その交流も特徴のひとつ。まあ僕らが日本からの出展ってことで変わり者だったので、歩いてて声かけられることも多かったのかもしれないが。
トークイベントにスピーカーとして来ていた Hinrich Sachs が自著と『 Ordinary Whales ありふれたくじら vol.5/是恒さくら 』の交換を申し出てくれた。zoopark publishing が『 goodbyelastplanet /星野佑奈 』を購入してくれた。Nieves も『【Catalog】A=A A≠A(mountain)/東地雄一郎 』を買ってくれた。モスクワの Magazin_ は来年の MOSCAW ART BOOK FAIR 2019 の話をしに来てくれた。

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なかでも強烈な思い出になったのが edition fink 。2000回のコピーを重ねて作られた『 A=A A≠A(mountain) /東地 雄一郎 』を気に入って本の交換を申し出てくれて、なんとその日の夕食とスタジオに招かれたことだった。夕飯の準備に、
「なにか手伝うことがないですか?」
「ゲストなんだ。ゆっくりしてて」
的なやりとり。自宅にゲストに招かれる、という文化がないもので恥ずかしい限り。めちゃくちゃお世話になった。ワインまで頂いた。スタジオでは edition fink の本の解説もたくさん聞かせてもらい、幸い日本人スタッフがいたおかげで助けてもらったが、アルコールが入れば僕の耳はさらにバカになり「英語、ちゃんとやらなきゃ~」と反省した。


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kulturfolger というチューリッヒのギャラリーブースで販売されていた『 A Day Unfolded 』という本。アーティストは Anina Yoko Gantenbein & Brigham Baker 。今回見つけた中で一番気に入った本。

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折り目、っていう痕跡だけで紙飛行機って認識できるんだなー。美しい本。edition はなんと10冊のみ。

お隣だった innen からも3冊を購入。
 左:Cloud /Christina Forrer (Los Angeles, USA)
 中:The Edge of Hell /Sean Pablo (New York, USA)
 右:Observer of Forbidden Galaxies /Ben Kadow (New York, USA)

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ラインナップもさることながら『ZINEは3冊で25CHF』とかで売ってて、いいなーこのスタイル、と思った。

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ぶっちゃけて言えば、小さい頃からのテレビドラマや映画、音楽の影響で僕のヨーロッパ、特にドイツやスイスへの憧れは拗らせている。街並みを見て、こんな街で暮らしたい、と思う。「拗らせた」と気づいている今なお、こんなフェアであっても「みんな作るものも良ければ、スタイルもいいし英語もできて、かっけーな」とか、単純な羨望と併せてどこか劣等感を感じてしまう脳なのだ。

あー。このなかにいたい。

東京アートブックフェアで再会する約束をいろんな人としてしまった。今年(2018)は開催されなかっただけに来年の応募も集まるはずなので、落選しないことを祈るばかりだ。チューリッヒでは「crevasse、いいじゃん」と言ってもらえて、そしていろんなチャンスをもらった。かっこいいやつらにかっこ悪いところを見せたくないのだ。

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otaki_wataru

Independent nano publisher of photography and zines. - 茨城を拠点にするオンラインブックストア及び出版やってます。 https://www.crevasse.info/

crevasse_アートブックフェアレポート

だれかのなんかの参考になるかもと思い、参加したアートブックフェアのレポートをアップしはじめました。
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