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台北アートブックフェア『草率季』をレポート

海外のフェアに参加するのって海外志向ってより「晒されたい」んだよね。
より晒され度増すのはやっぱりその空間のマイノリティでいた方が効率がいい。
もちろんシカトされる率も上がるけどその中でドツボの数人が僕らに新しい可能性を提供してくれてる。
風通しいいよ。
好き、でつながってっかんね。 -crevasse.books(Twitter)

今回は、10月12日から14日に台湾で開催された台北アートブックフェア『草率季』の様子をレポートする。写真は、同行した写真家の Sayuri Nishiyama が期間中に撮影したもので、フェア会場内だけでなく台北の街を撮っている。
滞在期間中のほとんどが雨に見舞われ、気温としても10月の関東と大差なく涼しかった。気温はどうあれ本を詰め込んだキャリーケースとリュックは重く、雨ほど嫌なものはない。しかし、意に反して Sayuri Nishiyama の写真は、力強くそして混沌としたどこかえもいわれぬエネルギーを秘めた台湾の空気そのままを伝えてくれた。

text / 大滝(crevasse
photo / Sayuri Nishiyama

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crevasse として海外のアートブックフェアにブース出展するのは2回目で、台湾はもちろん初。
最近では急に海外へ行ったり、crevasse は無鉄砲な冒険ヤローだと思われてる節もあるが、小心者の僕はたとえ旅行であってもエクセルにスケジュールまで立ててしまうタイプで、今回も成田空港に早く着いて時間をもて余してしまう。不安で…と言ったところで「そんなの好きでやってんだろ」と言われるかもしれないが、それはその通りだけどある種の必要に駈られてやっているので、どこかでやらされてる感すらあるのがこういう時の心持ち。

商品を詰めたキャリーケースと午前中に受け取ったブースのビジュアルに使用する takuya watanabe takuya のプリント、あとはリュックに少しの着替え等。預けるものを預けて、 フライトまでただただ暇を潰す。そのくせ、到着するころにはばっちり飛行機が遅れて、宿泊するゲストハウスに着くのが深夜となったり何もする気が起きないので、到着日はただ数時間後の搬入のため寝るだけとなった。

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1日目、プリビュー。噂に聞くほど混雑していないな、と思っていたが考えてみたらこの日は平日。夕方から夜にかけて来場者も少しずつ増え、購買も増えていく。150ものブースがあり有り余る本の数はとても見きれない。しかもそこまで混雑もしていないとなれば、当然来場者は何周かしてアタリをつけて、その後欲しいもののところに戻ってくる当たり前の流れだった。が、その『天秤にかけられ時間』は怖すぎた。

結果は後半ちゃんと戻ってきてくれて初日から好調だったし、 台湾の写真家の Yehlin Lee が crevasse のブースを覗きに来てくれたり、同じく台湾の写真家で crevasse での取り扱いのある kris kan が偶然にも隣のブースだったり、ニューヨークの Printed Matter, Inc. とも長時間話しをすることもできた。初日はこの交流時間のための時間になってたのかなーと過ぎてみたらそう思う。だとしたら、必死に売る気でいるよりもっと他のブース回ってた方が良かった。

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これが crevasse ブース。ビジュアルに使用した脚立は、会場の備品が僕らのところに置き去りにしてあったから勝手に什器にしたもので、残念ながら途中でスタッフから「これみんなのものなので...」と止められ「ああ。ごめんごめん。でもじゃあ別のところに片付けてね」となり撤去することとなった。また、隣のブースともテーブルのラインで少し揉めたが、日本語ができる方がたまたまお客さんで来てくれて「こういう風にするならいいよ」とお互い納得できるように決着し、最後は握手!的な流れでいい感じに済んだ。

この日の昼から台湾の食堂飯が旨すぎて仕方なくなる。

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草率季に出展しているのは書籍の販売だけでない。タトゥーシールやキーホルダーなどのグッズを売ってたりするブースも多い。東京からは、渋谷の ダイトカイ が来ていてブース出展だけでなくライブ出演に来ていたり、会場はエキセントリックで若いエネルギーに満ちていた。

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入り口には銀色のでかい風船が詰まっていて来場者に押してわけいって入らせたりする仕掛けや、ブースとなる 160×70 のテーブルはなんと段ボール2個(!)。さらにブースのビジュアルを作るために背面に壁を借りたら全面エアコンの通気孔であった。ある種の学園祭的悪ノリとも言えるが、愛嬌があり、その安っぽく容易に解体可能なトラッシュ感は、まさに台湾のバラック構造の食堂にも通じるものがある。

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そんな若いフェアに来る来場者もまたおしゃれで若い。カップルでの来場も多め。
10代の女の子が『 goodbyelastplanet /星野佑奈 』を買うかどうか超時間迷って、後ろを向いて財布覗いて中身を確認しながら買っていってくれたときには「僕は君のことを絶対に忘れないよ…!」と思った。150あるブースであまたあるタイトルのなかを何周かして戻ってきて、月の小遣いの内の何割かを払って選ぶのが僕らのZINE。嬉しすぎる。

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製本や紙について話したり熱心にみたりする層が多い。たぶん自分でも作るかこれから作ろうという人たちが多く来てるんじゃないか、という気がする。

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2日目・最終目と来場者は増え、ときには歩きにくくなるほどでもあったが、大混雑の爆買い的なことはない。入場規制などもなくお客さんの滞在時間も長いし、会場を何周もして見て回っている。それで目星をつけて絞りこんで3周目ぐらいに買っていく。それができるくらいには会場の余裕があった。
来る前にそういう景気のいい噂はたくさん聞いていて、台湾には「日本憧れ」みたいなものがあって行けば売れるんじゃない?的な話も時には聞いたが、日本なんてこんな経済的にも落ち目の国に、夢を描くようなやつがいるか?と疑っていた。親近感があることは違いなさそうだが、日本のシーンへの憧れ、それによるバブル的な需要ははっきり言って、ない。それは他の日本ブースを見て回っても同じなので、初めっからただの噂話か、そういうのは終わった後なのかもしれない。会場で出会ったアーティストコレクティブ「 DIZYGOTIC INTERGROUWTH 」は台湾・中国・韓国・バンコク(タイ)など国を超えた写真家有志で組まれており、日本名のないことに一抹のさみしさをおぼえつつも、こうしたアーティストがオーガナイズドする国際的な動きが今後活躍していくだろうと感じた。会えて嬉しい。そのうちの一人の Jauchen Wu 吳昭晨 がクソかっこよかったので紹介しておく。

日本から飛行機で約3時間半。そこでは20代30代前半の若いプレイヤーたちが世界と肩を並べようという気概を持って、そしてちょいテンション高めの楽しいシーンを作っていた。僕らのように地方でいて、もし閉塞感を感じているなら一度行ってみることをお勧めする。

なによりも飯が安くてうまいから!

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All photos by Sayuri Nishiyama

今回の台北の写真をSayuriNishiyama自身が一冊のZINEにします。
ZINE 「Taipei smells of the star anise.」1500円+送料
お問い合わせ・予約は syrnsym@gmail.com まで。2018/10/31迄、予約受付。

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otaki_wataru

Independent nano publisher of photography and zines. - 茨城を拠点にするオンラインブックストア及び出版やってます。 https://www.crevasse.info/

crevasse_アートブックフェアレポート

だれかのなんかの参考になるかもと思い、参加したアートブックフェアのレポートをアップしはじめました。
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