見出し画像

しあわせを願う。

僕は今年の夏、サーフィンを始めた。

大学生の時にスノーボードを始めて、今でも冬になると休みの日はいつも雪山に行く。

僕はトレーニングが苦手。なので雪山がオフの時期にはいつも筋肉が落ちてしまう。毎年その繰り返しではいけないという事で20代最後の夏にサーフィンを始めることにしたのだ。

子供の頃は野球に夢中だった。高校生の時に肩を壊してしまい、それがきっかけで両肩に先天性の脱臼が判明し、3週間の手術入院をこれまでに4回繰り返しして来た。「チワワやトイプードルにこの症例は多いけれど、人では珍しい」と担当医は笑って話していたが、当時15歳の野球少年だった僕にはあまりにも大ごと過ぎて笑うことができなかった。

野球を諦めたから地方の国立大学に進学する事にして、大学が北陸だったからスノーボードを始め、スノーボードを続けたいからサーフィンを始める事にした。

僕の人生は常に流動的でひょっとすると僕は流される才能が他の人よりあるのかもしれない。

母の日のプレゼントも毎年妹たちが選んでくれるので僕は言われた額を渡すだけだし、付き合った事はあっても、自分から好きになった子と付き合った事はなかった。

今いる彼女は僕の何が良かったのかわからないが、とても綺麗な子で同じ会社で部署は違うが同じフロアで働いている。

断る理由が見つからなかったので、付き合う事にした。
この前で付き合って一年が経った。
「30になるまでには結婚したい」と彼女が言ったので「そうなんだ」と答えたが、その事が気に入らなかったらしい。

彼女はぷりぷりになって怒り出し、ご飯の途中で席を立ち食堂から出て行ってしまった。
僕は付き合う前に「結婚するつもりはない」と話した事があったので、てっきり彼女もそれに同意の上での付き合いだと思い込んでいた。

メールでその事を説明すると彼女からは
「ヒドイ」の一言だけだった。

社内でも意識的に避けられていたのか、出社はしているようだったが姿を見かける事はなかった。

1週間くらいして、それにも飽きたのか「ごめんなさい」とまた一言だけのメールが来た。

一見健気そうにみえるが、僕からどう返事がくるかに物凄く期待が込められているのを察したのであえて「今までの関係を続ける?」と思った事をそのままメールで返した。もちろんフラれる事を覚悟して。

すると「あなたがそうしたいのなら」と返事が来た。僕は自分がどうしたいかを決める事が一番苦手なので、こういう時が一番困る。
きっと彼女は僕を困らせたかったのだ。

僕は彼女が僕のなにが好きなのかさっぱりわからなかったが、きっとひとりになりたくないのだろう。僕はひとりになりたくて仕方がない時がたくさんあるので、このまま付き合って行くことは難しいのかも知れない。それに加えサーフィンも始めてしまったのでますますデートをする時間が無くなってしまった。
海に波が消える事はこれから先もないだろうし、暖冬だと言っても日本中のどこかの山には雪が積もるだろう。困ったな。

僕はどうしたら彼女が(ほか人をみつけて30までに結婚ができて)しあわせになれるかを考えている。彼女がしあわせになる事を願っている。

僕はきっと誰も幸せにする事も出来ないのだと思う。

くりえ。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?