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僕のマンガ道 第2回 白戸三平

手塚治虫の次に僕が夢中になったマンガ家は
白戸三平である。

マンガの単行本はもちろん、
マンガ雑誌も家では買って読むことができなかったので、
書店の棚で見つけた、白戸三平の「サスケ」を、
表紙の絵柄のみで選んで買ってこっそり読んだ。

それは主人公のサスケが、
僕と同じくらいの年齢の子供だったからである。

「サスケ」は複数の出版社から単行本が出ているのだが、
僕が買って持っていたのは、
講談社のマガジンKC版だった。

これは後になって自分なりに理屈をつけて解釈したのだが、
白戸三平の唯物論的な作風と、忍者マンガという、
ある意味ファンタジーの要素の強いジャンルの
ミスマッチのようなものに
魅了されたのではないかと思っている。

これも後に知ったことだが、
手塚治虫と白戸三平は敵対するライバル関係だった。

単純な対比で言えば、
手塚治虫を筆頭とする、
トキワ荘系のメジャー漫画家グループと、
白戸三平を筆頭とする、劇画、貸本漫画系の、
マイナー漫画家グループのライバル関係である。

もちろんただの子供の読者にとっては、
そんなしがらみなんかは関係なく、
ただの「面白いマンガ」という、
同じジャンルに過ぎなかったのだが。

もう少し年齢が高くなって、
白戸三平の「忍者武芸帳」や、
「カムイ伝」を読み、
そのイデオロギー性の強さに、
事はそんな単純なものではなかったのだと知るのだが、
そういうこととは関係なく、
小学校低学年の僕は、「サスケ」を、
単に面白い物語として消費していた。


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