福岡介護日誌 2020年2月3日

チャイムで起こされたわけでもないのに、
4時頃に目が覚めてしまってこうして投稿しています。
隣りの部屋からは母の寝息が聞こえています。
ほのかに糞尿の匂いもしています。

こうして静かに母の生存確認をするのも、
もう今夜が最後かと思うと、
淋しいような、解放されて嬉しいような、
複雑な気持ちです。

しかしほんの一週間ほど前までは、
毎日お弁当の配達をするために、早寝早起きをして、
高齢者の方々の家を回り、
あたりさわりのない会話をしていたのが、
もう遠い昔のことのような、怒涛の一週間でした。

人生の割りと中間地点を過ぎて、
まだこんなイベントがあるなんて、
僕の人生を企画している人達は、
なかなかのプランナーだなと、
その奇想天外で、緻密なライフプランに、
気が遠くなるような思いです。

ここに僕の父や妹や、
ゆりえやゆりえの母や、
ハルやハルの母や、
その他、僕の人生にとっては、
脇役の脇役にあたる人の人生も、
同じように緻密にプランされていて、
それらが一体になって、
ひとつの壮大で複雑な意識体のようなものを、
構成しているのだなあと、
まるでユングのような、
哲学的というか、神秘的というか、
そんな思考の世界に没入していく、
福岡県春日市の明け方です。

母が家で食べる最後の朝食。
誕生日に梅田さんが作ってくれたちらし寿司と、
誕生祝いのシフォンケーキ、
サンドイッチとホットチョコレートです。

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夜には妹とLINEでやりとりし、
お互いの成果を喜び合いました。
そこで僕がこのような発言をしました。

「母は僕を、というか朋子のことも、
クリスチャンにしたいと思っていたと思うんだけど、
みんなしっかりと自分の意志を持って、
キリスト教をきょぜせつして生きて来ましたよね、でも、
ついに母のことをこちらの世界に連れ戻すことはできず、
それだけが心残りです。
でも母の分まで、自分の意志を失わず、
しっかりと「人間」として生きて行きましょう!」

これが僕の言いたかったことです。

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