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[あとがき]とある旅人の宝物

オクトラ二周年に合わせて投稿した動画… 正確には長らくちまちま作っていたものを諸々の創作スケジュールを考えた結果なんとか二周年に間に合わせた動画、「とある旅人の宝物」についてのお話です。

当然のようにオクトラのネタバレが飛び出します。

そもそもなぜ動画なのか

そもそも、そもそもオクトラキャラの作画コストで動画など作りとうはなかったんですよ。どうしてこうなった、ということで動画完成する8ヶ月ほど前まで遡ります。

要約すると「学者が4章で説く理念は狩人1章に通じるものがある気がする」「そして学者4章の舞台はウッドランドである」「トレサを除く7人の4章について、その舞台に象徴される旅人の生き様が垣間見える気がする」というような話です。

(並べるとこう)

note図解1

トレサの特異性が際立ってきました。そして幸か不幸かわたしの大陸の主人公はトレサちゃんでした。

note図解2

繋がってしまった……描くしかないわ……

とはいえこの情報量を一枚絵として伝えるセンスも、漫画として形作る構成力もなく積みネタとしていたところ、トレサから始まって手記をクローズアップ、7人の旅路を周りつつ場面転換のタイミングでそれぞれのキーワードを散りばめたポエムを差し込む脳内PV案が出来てしまい…これは動画しかないわ…と企画担当croがプレゼンを始めたことが事の発端となっております。なおテキスト担当croが期限内にノルマ上げられなかったのでポエム演出はカットとなりこのような形で説明する事態となりました。カッコイイ語彙がほしい。手記の中の話でもあるので文字を入れる演出と相性良かったはずなんだけどなあ

そんなこんなで今回の動画でいちばんの拘りは場面構成だったりします。順番ありきで曲(旅路の果て一択でした)に出番を嵌め込んだら、曲調と担当キャラクターが偶然にもけっこう噛み合ってたので「このPV現実で見てえ…」となってしまったのも大きい。

シーンごとのおはなし ー トレサ編

テーマは自分自身のための戦い。

トレサ編って1~3章は「商人として、誰かのために」戦っているのに対して4章ではトレサ一個人としての戦いになるのがアツいなと…描きながら気が付きましたね…。トレサは1章→4章がコーストランド→コーストランドなのと紐づけると尚更おいしい。あなたが旅に出た理由は何?得たものは何?の答えが自身に帰結する。

トレサパートは動画コンセプトとも紐づいてる部分ゆえ構成決めると同時に書き出すシーンもほぼ決まってました。その解像度を高めたり、描いたら楽しそうな部分(大きいお姉さんのワルイ顔とか)を探していって…。作業期間中にお姉さんのお胸のドットが揺れてるという事実を知ってしまったので原作準拠の構えをとりました。原作だから仕方ない

・「商人だからって~」の件が大好きなのでそのへんを思い描きながら作ってたと思います
・あどけなさの残るトレサちゃんとエスメラルダさんの対比
・自身に向けられる明確な殺意、敵意に身分相応にたじろぎつつも一歩踏み出すトレサちゃんが好きーー
・手記を放り投げての場面転換は構成考えた時点で決めてた

シーンごとのおはなし ー オフィーリア編

心の強さの戦い。舞台に対応するキーワードは「理性」。

マティアスさんですね…沼ですね…根本には人を救いたい気持ちがあったひとですよね…。それが挫かれてしまって自発的に別の正義を見出したのか、弱った心がガルデラ神に飲まれてしまったのかは測れませんが。ひとを不幸にするためでなく、救うためなんだと本気で思ってそうなのが…。そんな感情を乗せつつ、自分と同じように心を痛めて黒呪炎に身をゆだねようとしたリアナには慈愛と慰めを。邪魔者のオフィーリアには憎悪をぶつけてほしいなーーと表情描いてました。忌々しいオフィーリアめ!

対峙するオフィーリアは毅然と揺るがず。動画コンセプトとして入れる予定(頓挫)だったポエム、オフィーリアはフラットランド(学者)なので「闇に飲まれ理性を持つこと」がテーマでした。よって、家族を救いたいとかマティ許せんとかそういう気持ちをはらみつつも飽くまで聖火の神官として。マティとリアナが感情的ならオフィーリアは理性的にと背筋ピシッとしてもらいました。

・神父みのあるマティと狂信者のマティ
・「忌々しいオフィーリアめ」←なんとなく好きな言い回し
・リアナは全力でヒロイン属性高めて描きました
・灯火から小鳥へ
・神官としてのオフィーリア

シーンごとのおはなし ー サイラス編

我欲に抗う戦い。キーワードは「繋ぐもの」

ルシアさんからすればサイラスはやっと見つけた同族。サイラスからすればルシアさんは「こうあってはいけない」と言い聞かせ続けた自分自身。…というイメージで2人を描いてます。解釈拗らせてる気もしなくない。対ルシアさんへの言葉が珍しくやや感情的に聞こえるのがたまらんのでね…フルボイスだから際立ってるだけかもしれない…(解釈迷子)

それぞれが手を差し伸べる図、フィーリングで入れたんですが今回言語化するにあたってルシアさんは誘惑でサイラスは導きでは……?とクリティカルこじつけ解釈を思いついてしまった。思わず太字にした。邪道の学者の正道コマンドです……踊子(月)とは相容れないアレファン(太陽)です……。

拒絶の手段については狩人の理念を借りての雷撃魔法でフィニッシュです。わたしは学者4章(ウッドランド)と狩人1章(ウッドランド)に関係性を見出す宗教の者なので…。糧とし糧となる。
https://twitter.com/croppar/status/1196734803862683649?s=20

・ルシア対サイラス問答の構図は対称(同族)
・ルシアの背景のみ本棚(独占)
・誘う手と説く手。どちらも手を差し伸べる側。相手の手は取らない
・異形化(知識欲のなれのはて)を見つめる。その影は学者にも落ちる。
・異形の赤と理性の青(最後の1カットだけ碧眼を際立たせて塗ってます)
・再度伸ばす手と拒絶の雷

シーンごとのおはなし ー ハンイット編

共に戦う。キーワードは「父親」

学者編が比喩的だったのに対して狩人編は具体的に描きたいシーンしかなく。ハンイット、リンデ、赤目、師匠全員にスポット当てる必要があったので主人公であるハンイットさんが映る時間がだいぶ少ないのですが、それが狩人編かなあとも思い…。一本では石化に阻まれた矢が、ハンイット、リンデ、ザンター3本揃って届くような。枚数少なくなるぶんハンさんの顔が映るところは気合い高めに描きました(当社比)

あと完全に書き手側の都合なんですが、クリスタの2Dカメラ機能の使い方がわかってきたので色々お試ししてました。フィールドを広く駆け回る戦闘が一番合うのが狩人だったので。狩人サイドの躍動感と禍々しい赤目、砂埃舞うマルサリムを駆け抜ける一閃の対比が絵的にも描いてて楽しかったです。

狩人編のボスはすべて魔物相手…なようで4章がこれなのが…(言葉に詰まる)
描くにあたって改めてデザイン見直したら、見れば見るほどに原型を感じてしまい……。境遇としては1章ボスと近いものがあるんですよね。狩人が狩ったことで自然に還ることが出来たのだと思いたい。1フレームだけかつての姿の回想を入れようかと迷いましたが、「狩人編」の中の情報ではないので思い止まりました。

・雷撃から繋がっての雷鳥
・涙のような赤目の残像
・リンデ自身も家族を害されたことにお怒りのはず
・師匠の矢文から赤目を射る一矢へ

シーンごとのおはなし ー プリムロゼ編

キーワードは「喪失と再起」

いやあのこれは…ロゼ編全体の話ならともかく4章単体だと本当にわからない
室内で馬乗り回してるおじさん以上に、現実で事実としてどういう戦いが起こってるのかが全くわからない 誰か考えを聞かせてほしい。

わからないのでこっちも抽象的にイメージ映像でお送りしました。その異質さと難解さが結果的に踊子編らしさに繋がったらいいなあと祈りつつ…。噛み砕けないなら見えたものを右から左へそのままお出ししてしまおうの精神です。

操り人形とロゼを連動させつつ、ロゼは(自他ともに)血を流しながらも踊り続け、最後には糸が切れて台本とは別の結末へ…という流れで描いてます。飽くまで心象風景なので唯一背景絵なし。且つ線画のペンを他のシーンとは変えてます。

シメオンの考えとかロゼの想いや葛藤も描ければ満点とは思いつつこれは無理だと割り切りまして。ロゼの心中についての描写は避けて、第三者目線から見たロゼ(取り繕った表情と復讐の痕跡)と、ロゼからみたシメ(不自然に穏やかで不気味。だが理解する気もない)のイメージで描いたと思います。

ところで狩人や神官の家族描写については生身の人間を感じるのですが、ロゼの回想についてはどこか作り物…というか、ロゼの記憶にフィルターが強くかかってるような印象を個人的に持ってました…4章時点だと。全てが劇中の物語のような。エバーホルドに惑わされまくっている…(門の手記まで読んでやっと父子の絆はちゃんとあったのだと思えました)

踊りのパートは、ロゼの生き様を良いかんじに凝縮できたのではないかとトップレベルに気に入ってます!

・エバーホルドと黒幕の不気味さ
・操り人形の踊子
・何もない空間で闇と踊る。血の跡を残し先へと進む。
・やや人外じみてる〆男(実際片足つっこんでる)
・劇中と現実の対比シルエット

シーンごとのおはなし ー オルベリク編

ただ剣で語るのみ。キーワードは「命を守ること」

直前のロゼ編とは対極的で「現在」と「具体性」の塊です。剣士編としてもオルベリクのキャラクター性としてもシンプルに戦闘シーンで固めるっきゃない!!と構想までは即決、やったぜロゼ編とは大違いだ!だがしかし殺陣なぞまともに描いたことなどなかった ~第一部完~

そんな中で戦闘スタイルを差別化したいとか構想担当が言い出すし作画担当が苦しんでた思い出がすごい。あとヴェルナーおじさんは剣振り回すなら洞窟にでも住んでくれと背景担当が言ってた。ヴェおじといえば恐怖のイメージが強く、でもオルベリクが脅えるのもちょっと想像しづらいなあということで少し怯んでヒヤリとしてるようなカットを入れました。ついでに前髪がハラリと落ちてます。

ヴェルナーは他のボスと比べて精神的に落ち着いてる印象があります。なにかに取りつかれてるわけでも狂ってるわけでもなくただ野心家で、且つ(手記を見るかぎり)引き際を知る賢さもあって。ヴェが賢いならオルは愚かなんだろうか。職業柄、長たらしい問答はしないだけで本質的には学者編と通じるものがある気もする。オルベリクが守るための剣ならヴェルナーは弱肉強食の剣なのかなあとか。力で捻じ伏せることを正義とするなら、力で負けるぶんには仕方ないと割り切ってそうな気もする。かっこいいな…

・「戦闘中」のみで場面構成しようと思った
・→ヴェルナーのほうが基本的に格上だと思った
・→体格やパワーはオルベリクのほうが勝ってるように見えるので、戦闘スタイルで差別化したかった
・技術や力でなく、守るために力を発揮する剣士

シーンごとのおはなし ー アーフェン編

過去の傷との戦い。キーワードは「疑心」

現在進行形の戦闘シーンで構成してるオルベリクからバトンタッチで、回想が中心のアーフェン編です。舞台がクリフランド、盗賊の地方というのもあって葛藤シーン多めです。あまりスピーディに進めても情緒が足りなかったので他よりだいぶ多めに尺をとってます。倍くらい?そんな事情もあって静止画のシーンが多いので、かわりに色彩には一等気を遣って描きました。アーフェンの心情がそのまま色彩と彩度です。

アーフェン4章の構図は1章マンダラヘビと同じものだと思ってます。2,3章で生じた迷いに対する答えだとか、恩人さんを追い、いずれ追い越さんとする描写も加わるので1章の頃とは一味違うアーフェンなんですが、結局のところはそこに戻るんだなあ…という構成の美しさを感じます。テングワシがまた他のボスとは毛色が違うというか…。敵でもなく恨みもなく、打ち倒すべき相手ではないからこそああいったビジュアルになのかもですが、治療への光明…希望を運んでくるようなビジュアルしてますよね…。
戦い方はぜんぜん可愛くないですけど ぜんぜん!かわいくないですけど!!

ルーベの森のロケーション大好きなので、ここに関しては描けて良かったなと背景担当も言ってます

・4章のオーゲン、3章のミゲル、2章飛ばして(ごめん)1章のニナ
・クリアブルックまで意識が戻って、からの恩人さん
・テングワシの美しさ
・光射すアーフェン

シーンごとのおはなし ー テリオン編

兄弟喧嘩。キーワードは「それでも信じる」

盗賊編、神官編はゲーム本編の演出もあってバトル時の映像がありありと想像できるのですよね。想像しやすく、描いたら楽しそうだという理由でテリオンvsダリウスの口論はかなり初期段階で作りました。動画作品にせずとも単品で楽しめるかなと…。ドット的デフォルメ表現なのかもですが、手を伸ばして兄弟に呼びかけるテリオンさんが好きです。

過去、テリオンがダリウスに苦言を呈する場面は何度もあったと思うんですね。それは身内だからこその親切心で、けれどダリウスはその全てを前向きには受け取り切れなかった。テリオンさんは斜め後ろから忠告することは数あれど、正面切って相手を否定し自分の考えをぶつけるようなことは初めてだったのでは……初めての、やっとできた兄弟喧嘩だったのでは…みたいな個人的な解釈を乗せて描きました。その結末がソレカヨオ……ッ

盗賊のスキルは色々と旨味がすごいですが、炎属性は「奪うもの」のシンボル。短剣は(ジョブマークでもあるので)「盗賊」のシンボルのニュアンスを感じているところがあり…。ダリウスは剣と炎、テリオンは短剣のイメージが強いです。

・決別の舞台としてあまりにも映える廃教会
・じわじわと取り乱していくダリウス
・主人公顔のテリオンさん(主人公だよ)
・火竜とエベル

シーンごとのおはなし ー エピローグ

動画にするならば、〆はこれしかないとずっと思ってました。ごきげんようトレサ編の終着点はここであると信じてやまない宗教の者です。

これは解釈をこじらせたとかではなく、フィニスの門突破後に感慨に浸りながらリプルタイドに戻ったらレオン船長が目に入って、品物を買い取って、「宝物は見つかったか?」と声をかけられたことが、わたしのオクトラ体験そのものなのです。その瞬間に「オクトラクリアしたな…」と思ったのです。

明文化するのも野暮ったいですが、タイトルの「とある旅人」はプレイヤーの心も含まれてます。この場面が描けて良かった。

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とんでもないものを乗り越えた後の、門クリア後のトレサちゃんなのでちょっと大人びた表情も描くぞ~!!と、トレサとして今まで一度も描いたことのない表情を描いたりなどしました。

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嬢ちゃん少し大人っぽくなったかな?いや、嬢ちゃんは嬢ちゃんだな。というレオン船長フィルターを通したトレサちゃんなのでした。

立ちはだかる者たち

・マティアスは狂信者。神官vs狂信者の異なる正義。
・ルシアは貪欲さと選民思想。サイラスの内にも在る闇の側面との対峙。戒め。
・エスメラルダはただ仕事をこなしているだけ。トレサは私情。公と私。
・ヴェルナーは強者。弱者を食らう剣と守る剣。
・シメオンは胸中を明かさない。且つ楽しそう。ロゼはその逆。余生を愉悦に浸るようなシメと復讐の為に生きるロゼ。
・テングワシは悪意や因縁などは一切ない。ただ治療のための通過点。
・ダリウスは反抗心と劣等感。テリオンは受容と誇り。不信vs不信を乗り越えた先。
・赤目はこの世の生命から外れてしまったもの。狩りの対象とすることで生き物の尊厳を取り戻す…ことになってたらいいな

それぞれの戦いを振り返ってみて、ボスたちの属性の多彩さを改めて感じました。これ8人の旅路が独立してるからこそ、共通の敵(例:魔王軍)を打ち倒すために旅をしてるわけじゃないからこそできるんだよなあ…とオクトラの良さみを噛み締めた。

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