声優音楽名盤紹介 第四回 笠原弘子『MADRIGAL』

笠原弘子、1994年のアルバムである。本人名義としては10枚目、にあたるのだろうか。作詞/作曲家の松宮恭子とタッグを組み、コンセプト・アルバム的な組み立て方をした作品だ。

笠原弘子という人が、その声が、とにかく好きだ。正直に言ってしまえば、特別に上手い人だと思っていないし、特に芝居に関しては、どうなんだろう、と思わなくもない。しかし。

あまり、透明感、などという言葉を使うべきではない、のかもしれないが、彼女の声は本当に澄んだ声だ、と感じる。素朴、であったりとか、いっそ朴訥、という表現とも重なる、ホーリーさとはまた違った、しかしとても魅力的なものだ。

今作『MADRIGAL』は、いま振り返るならば『ニューエイジ寄りのファンタジーRPG』的なサウンド表現として、zabadakフォロワーやスクウェア(現スクウェア・エニックス)あたりの音楽を思い出すものだ。オリエンタル、であるとかエキゾ、と言った要素を柔らかく、それこそニューエイジ的にまとめ、それこそ表題が意味するような、中世の牧歌、を思わせる。

これも正直に告白してしまおう。笠原弘子のディスコグラフィは追いきれていない。他にもわかりやすく名盤、が存在するのかもしれないし、シンプルに、声が好きなら揃えれば良いだろう、という話でもあるのだが。

ふわっと、たまに手に取り、聴いて感動する。そういうのもまた、笠原弘子を聴く『らしさ』かな、ということを思ってしまったりも、するのだ。

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