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グレイテスト・ワン

地上最強を掲げた釈真空手の主催するルール無用の異種格闘技大会。
その一回戦。

釈真空手の押木 譲が対戦する最初の相手は――力士だった。
現役横綱であり、現幕内力士最強の呼び声も高いその名を鳳凰山。
だが、押木は相撲を侮っていた。
どうせ土俵から押し出せば勝ちなんてルールでやってる興行師が格闘家を名乗るのはやめてもらいたいもんだよ、とは試合前の押木のインタビュー発言である。

試合開始の合図と同時、押木は間合いを詰めて蹴りを狙う。
まず、足を潰すつもりだった。

その作戦は一瞬で崩壊する。
(えっ)
身体を低く沈めた鳳凰山は恐るべき速度で突進し、既に押木の眼前にいた。
破裂音。
顔が激しく揺さぶられ、遅れて激痛がやってくる。
(こ、これもしかして張り手ってやつか!?)
次の瞬間。宙に浮いていた。
鳳凰山は腰帯を掴んで片手で押木を投げ飛ばしたのである。

「相撲を、舐めるな」

受け身に失敗した押木は頭部を強打して昏倒。
試合が終了した。

【続く】

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