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運用のプロが教える「新興国通貨投資の考え方」<後編>

2019年6月22日、『為替について学ぼう!』 クラウドクレジット × YJFX 共催セミナーが開催されました。海外に特化したソーシャルレンディング(貸付型クラウドファンディング)事業を展開する当社の商品において、主な特徴であるとともにリスク要因となる「為替」についてお伝えする機会として、おかげさまで大変好評をいただきましたので、その一部を前後編に分けてご紹介します。今回はその後編です。

前編はこちら

4. エマージング通貨とフロンティア通貨

近藤:これまでは通貨自体の下落傾向、そういった値動きについて着目してきましたが、この後は金利収益の話をします。新興国通貨というのは金利が高いというところが背景にあるので下落するということもあります。金利収益を加味した通貨の上下動をまとめたパフォーマンスを示したいと思います。

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近藤:その前にエマージング通貨とフロンティア通貨といった定義づけをさせていただきます。まずフロンティア通貨。フロンティア市場はまだまだ成長段階にあり流動性も低い、そして株式市場や為替市場などもまだまだ整っていない未成熟な市場であることが多いです。故に株安も放置されていて、為替市場も流動性が極端に少ないために妙な仕掛けがなく、実需で動いている側面もあります。

今回ここにあげた表は、エマージング通貨とフロンティア通貨の表です。一般的な定義はないのですが、今回どのように分類したかというと、世界銀行が公表する一人当たりの国民総所得(GNI)に基づいて国別に中所得国、低所得国に分類しています。中所得国の中でも、先ほどリストアップしたものをエマージング通貨とし、そして、私たちクラウドクレジットが取り扱っている通貨、その中でもフロンティア通貨に属するものをフロンティア通貨としてリストアップしてみました。こちらの分類を基にパフォーマンスを比較していきたいと思います。

5. 分散投資の重要性

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近藤:まず上からドル円のレートとなります。2018年5月からの1年間のトータルリターンを見たグラフ。青軸がエマージング通貨のトータルパフォーマンス、緑がフロンティア通貨のトータルパフォーマンスと全部の平均。そして赤がトルコを除いたもの。一番上のドル円のチャートを見ていただいても、最終的にはプラスのパフォーマンスで一年間終えています。しかしながら、一度大きな変動、下落を味わっています。利上げがそろそろストップになるのではないかということが噂されていた時期かなと思いますが。最終的にはプラスではありましたが変動率はかなり高いですね。エマージング通貨の推移について、大きな下落はトルコショックといわれた時期なのではないかと思います。かなりの下落幅です。今どんどん上昇して元の水準を越してはきていますが。

ここで着目していただきたいのが、私たちクラウドクレジットが取り扱っている通貨であるフロンティア通貨です。これを見ていただくとわかるように、かなり変動が抑えられていることが見て取れます。大きな変動もなく、パフォーマンスも急上昇ということではないですが、安定したボラティリティなのかなというのが見て取れます。こういったところにも左右されず独自の動きをしている面があります。ドル円の急上昇や急下降に対してもそれほどの反応を示していません。こういったところがフロンティア通貨の1年のパフォーマンスで見て取れました。

次に、これらのエマージング、フロンティア、ドル円、これらを一つのかごにいれたバスケットとしてあげたパフォーマンスを黄色の軸で示しています。やはりすべてをまとめることでパフォーマンスのボラティリティ、変動率というのが抑えられているということが見て取れるかと思います。ここに先ほど危険水域にいれたトルコリラを除くことで、圧倒的にパフォーマンスが改善していることも読み取れるでしょう。最終的にドル円にパフォーマンスは負けていますが、もしもこのドル円が逆にいった場合でも、これらの通貨の束にした場合の分散投資にした場合、最終的なパフォーマンスに大きなブレはないのかもしれません。基本的にこれらをみていただいてわかるように、新興国通貨とドルの動きは逆になるタイミングがあります。景気後退局面やリーマンショックのときのような大きなショックのときにはすべての通貨が売られるということもありますが、こういったところでも逆相関のような状態になっているところが最終的なパフォーマンスの安定というものを指し示しているのかと思います。

6. 新興国通貨投資で重要なこととは?

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近藤:最後になるのですが、これまでの「新興国通貨投資で重要なこととは?」をまとめます。

1. ファンダメンタルズの弱い国は要注意。経常収支、外貨建ての債務残高、物価の上昇率、外貨準備、こういったものを今回は挙げましたが、例えば、地政学リスク、政局の不安、貿易の相手国、中国問題こういったところもファンダメンタルズ、為替の値動きに影響を与える要因となります。

2. 分散投資によりリスクを低減すること。個別の新興国通貨の変動率は高いですが、それらを適切に組み合わせること。先ほどのバスケットのような状態にすることで、安定的なリターンを得られる可能性が高まります。なによりもリスクを抑えることができ、ミドルリスクミドルリターンで投資を行うことができる側面があるのです。その際に1のようにファンダメンタルズに懸念がある通貨をなるべく除くことができれば、より高いパフォーマンスが望めるのではないかと思います。

私たちクラウドクレジットは様々な通貨への投資機会をご用意しています。一つの通貨、ファンドのみならず様々な通貨建てのファンドを購入してポートフォリオを組むことで、ミドルリスクミドルリターンという形で大きな変動にさらされることのないパフォーマンスを上げる投資機会を今後もご提供してまいります。本日はありがとうございました。

◇ファンドの手数料およびリスクについて
ご出資いただく際の販売手数料はいただいておりません。
なお、出資に対して、年率換算で最大4.0%の運用手数料を運用開始時に(または運用開始時および2年度目以降毎年度に)いただきます。
また為替手数料その他の費用をご負担いただく場合があります。
為替相場の変動、国の政治的・経済的なカントリーリスクや債務者の債務不履行等により、元本に欠損が生じるおそれがあります。
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