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社会的インパクト投資レポートvol.2:「東南アジア未電化地域支援プロジェクト」シリーズ

2018年6月18日、当社は「社会的インパクト投資宣言(※)」を発表しました。社会的インパクト投資とは、貧困層支援や教育問題など社会的課題の解決に取り組む企業や領域に投資し、経済的なリターンと社会的なリターンの両立を実現する投資手法を指します。この社会的インパクト投資レポートでは当社の各ファンドシリーズが具体的にどのような社会的リターンを実現するかについて定量的かつ定性的にお伝えしてまいります。
※当社の社会的インパクト投資に対する考え方についてはこちら(https://crowdcredit.jp/about/social-investment)もあわせてご参照ください。

今回社会的インパクト投資レポートの第2弾としてお伝えするのは、現在販売中(本レポート発行日の2019年10月16日現在)の、東南アジアの未電化地域に電気を届ける「東南アジア未電化地域支援プロジェクト」シリーズです。

持続可能な開発目標(SDGs)の電力アクセスに貢献する“ソーラーホームシステム”と“PAYG“モデル

第1弾レポートでは、SDGsについてお伝えし、このうち「7. エネルギーをみんなに そしてクリーンに」という目標は、① 再生可能エネルギーの割合を大幅に増大させること、② 安価で信頼できる電力への普遍的なアクセスを実現させること、を通して、電力エネルギーのアクセス確保を目指しているとご説明しました。

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出所:外務省ホームページ

世界銀行によると、世界では未だ約8億4000万人もの人々に、安定的な電力が届いていません。2010年にはその数は12億人でしたので、課題解決に向けて進んではいます。しかしながら、より持続的で革新的なアプローチなしには、SDGsの期限である2030年にも、6億5000万人に電力が届かないままになってしまうだろうとされています。

この目標達成に向け、オングリッド電力(電線を通して、電力会社などから建物に送られる電力網)のみを拡張しても、送電網の設置などに費用と時間がかかります。このため、大規模インフラの送電系統につながらずとも、自力で小規模に電力供給を行うオフグリッド電力の役割に期待がかけられています。

オフグリッド電力の中でも主電源として特に注目されているのが、太陽光です。日本でも、屋根の上に太陽光パネルが設置されている家屋がありますが、そのイメージです。未電化地域の一般家庭に、「ソーラーホームシステム」という、小型の自家用太陽光発電システムを普及する事業が、アフリカやアジアで大きく成長しつつあります。このソーラーホームシステムは、一般家庭の家屋の屋根にソーラーパネルを設置し、発電した電気を、携帯電話の充電や、ラジオ・液晶テレビ・LEDランプなどの電化製品に使用するものです。LEDランプのみのシステムや、液晶テレビも加えた少し大きめのシステムなど、家庭のニーズや収入レベルに応じて複数の製品が作れることも特徴です。

未電化地域に住む世帯の多くは、裕福ではありません。そこで、「PAYG(Pay as you go: その都度払いすること)」というスキームが、ソーラーホームシステムの提供に貢献しています。これは、前払いした分だけ電力を使うことが出来るシステムで、一度に大きな電力料金の負担をすることなく、自分たちが必要なサイズのソーラーホームシステムを使うことが出来るわけです。

ミャンマーと電力アクセス

さて、今回取り上げる国はミャンマーです。

ミャンマーは、東南アジアの中で、最も電力アクセスが低い国です。シンガポール、マレーシア、タイなどの国々が電力アクセス100%を達成している中、ミャンマーは2017年時点で69.8%と、地域で最低のアクセスレベルにとどまっています(下図)。

ミャンマーは3分の2の電力源を水力に頼っていますが、旺盛な経済成長に電力供給が追い付かず、2018年からLNGの輸入を始めたものの、ヤンゴンなどの都市部でも計画停電が続いています。2019年7月には電力料金を2~3倍に改定するなど、政府は電力インフラ開発のための資金確保にも腐心していますが、オングリッド電力が普及するにはまだまだ時間がかかる状況です。

東南アジア諸国の電力アクセス(2017年)

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出所:世界銀行

「東南アジア未電化地域支援プロジェクト」が支援するミャンマー事業

Solar Home Pte. Ltd.(以下「Solar Home社」といいます)はソーラーホームシステムのPAYG事業をミャンマーで展開する、シンガポールに本社を置く企業です。

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Solar Home社ミャンマー事務所にて

Solar Home社は貧困層の顧客にとって支払い可能な価格帯でありつつも高品質なソーラーホームシステムを販売し、未電化地域の生活向上の支援を行っています。Solar Home社は発電量に応じた複数の太陽光発電ユニットをPAYGモデルで提供しており、顧客は約2年間の継続利用で、所有権を獲得できます。これは、PAYGの中でも、ROT(Rent-to-Own)モデルと呼ばれています。

Solar Home社が使用するソーラーホームシステムは、世界銀行グループの「Lightning Global」プログラムの製品認証を受けた製品のみです。特に、ミャンマーの気候に適した製品を仕入れており、一日中雨が降り続ける雨季においても、乾季の70%(約7時間点灯)は発電できる能力を有しています。

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Solar Home社の製品、パッケージが提供できる機能は様々

スマートフォン普及率が8割と高いミャンマーですが、スマートフォン保有者の殆どは人口が集中している都市部の住民です。Solar Home社の顧客層となる郊外の未電化地域は通信環境が悪く、住民の多くが未だ携帯電話を保有していません。そのため、顧客の3分の1が現金で支払っており、パートタイムスタッフ含む300名以上のSolar Home社従業員が毎月各集落を訪問し、現金を回収します。

「東南アジア未電化地域支援プロジェクト」シリーズがもたらすインパクト

Solar Home社の事業は、どの様な社会的なインパクトをもたらすのでしょうか。

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① 電力アクセスの実現
ミャンマーの未電化地域にターゲットを絞ることで、クリーンなエネルギーを手の届く価格と支払い頻度で、電力アクセスを実現しています。

② 二酸化炭素排出量(CO2)の削減
Solar Home社の製品は、1世帯に届くごとに、年間140kgのCO2と、1.45kgのブラックカーボンを削減しています。温室効果ガスを削減することで、気候変動リスクの軽減にも貢献しています。

③ 健康と安全
電力アクセスがない家庭では、電球の代わりにケロシン(灯油)ランプが照らす薄暗い屋内で勉強をしたり、家事をしたりしなければなりません。ケロシンランプはたばこと同様の煙を吸い込むことになり、呼吸器疾患の発症率が上がり、また中枢神経にも影響を与えるリスクが高まります。また、ランプが倒れると家屋の火事やケガにもつながります。ソーラーホームシステムが届けるクリーンな電力は、健康と安全を届けています。

④ 生活の質の向上
ソーラーホームシステムの利用者は、発電を通して使えるようになったラジオやテレビで、より幅広い情報を得ることが出来ます。また、明るい電球の明かりの下、日没後も子供たちが勉強や読書が出来る様になり、教育レベルが向上します。また、夜に仕事が出来るようになることで、世帯の収入レベルも上がります。

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2017年にUSAIDが実施したインパクト評価に基づくと、これら①~④でもたらすインパクトは投資額の4倍であると算出されました。つまり、1万円のソーラーホームシステム事業への投資が、4万円のポジティブな社会的インパクトを生んでいるのです。

ソーラーホームシステムが届いた先のストーリー

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マー・ワイさんは、彼女の農村で初めてSolar Home社のサービスを受け始めました。マーさんは食料品店を営むと共に、Solar Home社の顧客の支払い(トップアップ)店舗にもなっています。

マーさんの店舗は電気を得たお陰で、夜遅くまで営業することが出来、また、トップアップサービスを提供することで追加の収入を得ることが出来る様になりました。

マーさんがSolar Home社の顧客になって1年がたちますが、間もなくPAYGの支払いを終える予定です。その後、マーさんはソーラーホームシステムを所有し、長きにわたって安定的な電力を得ることが出来ます。

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当社は引き続き、「東南アジア未電化地域支援プロジェクト」を通じてSolar Home社の事業を支援してまいります。

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