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第四話 ヨハン・クライフの遺産 「逆転」

授業の一環として12/15〜18までバスク地方(スペイン北部フランス国境付近:赤線で囲まれている地域)に行き、Real Sociedad, Deportivo Alaves, Athletic Club (Bilbao)を訪問しました。バルセロナがあるカタルーニャに似て弾圧に苦しんだ歴史的背景ゆえ、独自の文化(バスク語や独立意識の強さ)が根付いています。中でもサン・セバスチャンは国際映画祭、ミシュラン星密度(人口に対する)世界一など「文化の街」として世界的に有名です。ちなみに2位が京都だってガイドのお兄さんが言ってたけど、本当かな?美味しいご飯とクラブを支える人たちの貴重な話を満喫でき、良い旅でした(詳細は気が向いたら後日書きます)。

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バルセロナに帰って、2日間はキャンパスで座学。テーマは「フットボールとメディア」。年内最終授業の2時間は、Johan Cruyff Foundation(ヨハン・クライフ財団)の方々を招き、授業というよりは財団の紹介でした(この講義の前にカタルーニャのジャーナリストやスポーツメディアの専門家による講義を実施済)。うちの大学はとにかくクライフ。どこにでもクライフ。クライフ教です(笑)

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Johan Cruyff Foundation

この財団は世界中の子供達にスポーツを楽しむ機会を与えることを目的とし、1997年に設立されたNGOです。クライフコートという芝のピッチを設置したり、障害を持った子供や発展途上国の子供が気軽にスポーツを楽しめるよう、活動を支援しています。ヨハンがアメリカ時代に交流したダウン症の若者がきっかけで作られたとのこと(実際、大学の食堂にダウン症の子供達の写真が飾ってあります)。ヨハンの娘さんがプレジデントで、ディレクターにはペップ、プジョル、チャビがおります。日本にも1つ、クライフコートが石川県に。ピンときた方、フットボールフリークですね(笑)03/04シーズン以降、オランダのエールデヴィジでヨハン・クライフ賞を取った選手に副賞としてクライフコートの設置と場所を決める権利が与えられています。08/09シーズン、VVVフェンロで2部のMVPを取った本田圭佑選手もこの権利を得て、本田圭佑クライフコートを設置したんだとさ。

財団のアンバサダーの方々曰く、やはりクリーンなイメージのある選手が財団の活動に参加してくれることを望んでいるようです。そこでアンバサダーの方による裏話。

マラドーナ:ちょっと…と言葉に詰まってました(納得)。
ロナウジーニョ:上の動画最後らへん、ロニーは子供のサインに応えずイベント終了後そそくさと車に乗って帰って行ったようで、あまり印象は良くないと言ってました(笑)
ホアキン・サンチェス:日韓W杯の時から私が個人的に大好きな選手。セビージャのクライフコートの顔として(同じ街をホームタウンとするベティス所属)彼に打診したそうですが、「それなら自分の故郷に作らせて欲しい」と言って破談になったそうです。

Johan's Legacy

ヨハンのレガシーとは何か?トータルフットボールやクライフターン、フットボールに関わる人なら誰もが知るこの言葉。これらを筆頭にオランダ、バルセロナの象徴としてフットボールの技術・戦術に大きな影響を与えてきたきたことは言わずもがな。しかし、それだけではなく、この財団の活動や私の大学の存在、ラ・マシア(ユースアカデミー)での秩序・規律・学業へのこだわり。これこそ彼の遺産ではないだろうか?彼の哲学はフットボールにとどまらず、人としてどうあるべきかということの重要性を教えてくれます。私はそこに共感する部分が多く、この大学を選びました。実際、同大学オンラインコースには現役の選手も在籍していました。スコットランドのレンジャーズに在籍するJamie Murphy、日々のトレーニンングで忙しいにもかかわらず、課題もしっかりこなす真面目なやつです。皆さんも応援してね。

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医学部専門予備校で6年働き、様々な生徒や親を見てきました。自分の意志に反し(時に意志すらないこともある)、講師や親に言われたことだけをやっている(それすらできない)生徒。子供を自分の思う通りにすることが生きがいの親。文武両道と謳いながら生徒にスポーツだけor 勉強だけやらせ、甲子園・全国サッカーに出場、且つ有名大学への進学率で知られる某高校。大学で勉強せず就活とバイト優先…。なんか悲しくなるんです。「創造性と自主性を育てる」ヨハンの哲学とは全く逆転の発想。日本ではセンター試験に代わる記述試験の導入にドタバタしているみたいですが、そんなことより教育の根本が変わらん限り日本に未来はないと思っとります。今まで日本人が積み上げてきたもの、思想、哲学、全てを批判するつもりはありません。しかし、多様性への適応が求められ、変化のスピードが速い今、自分で考え・行動する力がないのはまさにサバンナで群れからはぐれた子ヌー状態。

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フットボールも同様だと思います。技術的なことだけでなく、こういう人間力みたいなものがきっと大事なんです。マラドーナやカントナ、カッサーノやルーニーはどうなるんだ!って反論はあるかもしれません。そんなもんわかりません。ただ自分は、人間力を育みつつ、フットボールの技術を成長できる環境・メソッドの確立を日本でもできると信じて勉強しております。この記事を書いてる途中眠くなり、終盤の内容が愚痴っぽくなり申し訳ありません。ハッピーメリークリスマス。

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それではAdéu!


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