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なぜ c0banparty は知財権の薄氷を踏み抜いたのか (2 of 4)

つづき。

ソフトウェアのライセンスの話の前に、まず、著作権が法的にどう扱われるのか、というあたりから疎い方もいらっしゃると思います。そのあたり、噛み砕きながら説明します。日本が結んでいる各種国際条約を批准している国なら、ざっくり一緒なのですが、著作権法の条文は各国で微妙に違っているので、本稿執筆時点の日本の著作権法を論拠とします。

まず、著作権は、著作物を作った瞬間に発生します(法第17条第2項)。登録しないと発生しない特許や商標とは違います。なので、権利の濫用が生じないよう、権利を主張する場合には、著作物性が問われます。噛み砕いて言うなら、創作性のない、誰が作っても同じ表現になるものは著作物ではないということです。

Monaparty の場合、Counterparty から機能強化された asset フラグ群の実装部分で著作物としての権利が、Counterparty Foundation とは別に発生してい可能性があります。「可能性」とぼかしたのは、結局のところ係争になったときの判断は、司法に従うことになるからです。(これは、Monaparty に限った話ではありません)

細かいことをいうと、著作権には、著作人格権と財産権としての著作権の2種類の権利があります。

財産権としての著作権は、その名の通り、財産であって、買い手がいれば売り払えます。

一方、著作人格権は、譲渡どころか相続さえもできません。その人(個人・法人)から引き剥がせません。

余談になりますが、外部委託開発などで、本当の作者がバレると困る場合には、契約書で「著作人格権の不行使」という縛りをかけます。
(これは、本件を読み解く鍵になっています)

著作人格権は、公表権・氏名表示権・同一性保持権、という3つの権利から構成されています。

今回 Monaparty の場合、改変したソースコードが GitHub で公開されていますから、公表権の侵害は主張できないでしょう。では、氏名表示権と同一性保持権については、どうでしょうか?

「いやいやそうは言ってもオープンソースでしょう?使ってもいいじゃん。何が問題なの?」って思われた方もいらっしゃるでしょう。

そこが、無職業者BOTが仕掛けた罠なのです。

(つづく)

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