リップル高騰の考察と今後の動向への分析


こんにちは、ダッツです。

ご存知の通り先日リップルが大暴騰し、数日間かけて約4000satoshiから一時12000に迫るほどの強い上昇を見せました。(円でいうと約30円から約85円)

しばらくアルトコインがこの勢いで上昇することがなかっただけに非常に印象的な相場でしたが、この暴騰劇の裏で巡らされていた大きなシナリオについてくろさん(@noir_hiro)が非常に興味深い考察をしていらしたので、それを踏まえた僕の追加考察とともに全体像をまとめてみました。

仮想通貨市場での資金循環や市場全体の相場意識という観点からBTCの動向を考察する上でもアルトコインについての分析はある程度避けられないですし、特にここ数日はXRPがBTC含め全体を引っ張るような相場だったので、XRPを取引しない人に関しても今回の暴騰劇について理解しておくことは必要になってくると思います。そして何より非常に面白い仮説と分析になっているので是非最後まで読んでみてください。(いつものnoteよりは短いはず?)

目次

1. 仮説の概要

2. 今後の展開(2-1~2-5) 

3. まとめ

それでは始めましょう。


1. 仮説の概要

最初に述べてしまうと、本記事の考察の出発点となる仮説とは

「今回の暴騰は仕手がbitflyerでBTCのヘッジショートを保有しながらXRPをpumpしたのではないか」

というものです。仮説自体はシンプルですがその導出過程が面白いので、とりあえずそこについて説明していきます。

まず「今回の暴騰が仕手によって引き起こされたもの」というのは特に何の疑問もないと思います。そもそもこのレベルの急騰はある程度大口の意図的な仕掛けをきっかけとしなければ生じないですし、XRPは特に「時価総額が高く出来高が十分にある」「知名度も高く多くの人から期待されているため暴騰時はイナゴが集まりやすい」などの点から仕手のターゲットになりやすい通貨です。過去の値動きにおいても幾度も急騰急落を繰り返していますね。(一応これらを裏付ける根拠も後で示しますが)

問題になってくるのは「bitflyerでBTCのヘッジショートを保有しながら」という点です。前提としてなぜXRPの仕手がBTCでヘッジショートを打つのかというと、第一には当然ですがBTCの値動きに対して振り回されたくないからです。仮に仕手がXRPを仕込んでpumpしたとしても、その間にBTCが大きく下がってしまったらXRPも連れ下げして仕手は利益が見込めなくなってしまうので、BTCのヘッジショートを持つことでBTCが下げたとしても利益が確保できるようなポジションを構築します。いわばBTCという主導指標を介して仮想通貨市場全体の変動に対してニュートラルなポジションを持つということになると思います。また、これは後で述べますがそのショートポジションの解消を後のpumpのきっかけにすることができるという理由も考えられます。

そしてそのヘッジショートの存在を示す定量的な証拠となりうるのが、「bitflyerにおけるFXと現物の乖離率」です。bitflyerのBTC-FXは基本的には現物BTC価格に連動する金融商品として位置づけられていますが、現引現渡の手数料やSFDという謎システムのせいで現物価格と大きく異なる値動きをすることも多々あります。このような場合のBTC現物価格に対するbfFX価格の乖離率を指してbf乖離、もしくは単に乖離と呼称することにします。この乖離がプラスの場合はbitflyerにおいてロングポジションが多く溜まっており、逆にマイナスの場合はショートポジションが多く溜まっているということになります。

これを踏まえた上で、以下のチャートを見てください。上がBTC価格、下の水色のチャートがbf乖離です。

乖離は5月以降一貫して減少傾向にあり、9/20の時点では2/6の大暴落の時と同じ水準まで落ち込んでいます。先ほど述べたようにbf乖離はbfFXにおいてロングとショートどちらが多く積まれているかの指標ですが、それは言い換えれば市場参加者の相場心理を表したものでもあり、相場が強気なほどプラスに乖離し逆に相場が弱気なほどマイナスに乖離します。とすると乖離という視点から言えば2月の大暴落と9月末が同じ程度の弱気相場ということになりますが、これは下落の値幅や勢いからは少し考えづらいです。

また、BTC価格は6月末の今年最安値から9月にかけては順調に安値を切り上げて推移していますが、逆にbf乖離は安値を切り下げての推移となっており、ここにも単純な市場心理の反映からは違和感を感じます。

bf乖離のチャートをもう少しよく見てみると上記の違和感を解決する正体が存在します。つまり、上の画像を見ると分かるように乖離は5月の高値以降一定のチャネル内、もしくは一定の近似直線に沿うような形で推移しており、これを「(おそらくXRPの)仕手がbotなどを利用してヘッジショートを一定のペースで仕込み続けている」と解釈すれば今まで述べてきたいくつかの情報が一つのシナリオとして繋がるのです。

実際に先日のXRPの高騰と同時にbf乖離は急激に反発しており、これもこの解釈の妥当性を高める証拠の一つと考えることができます。また、ヘッジショートを解消すればその買い圧でBTCの上昇も望めるので、それをXRPでの仕掛けのきっかけや追い風として利用している可能性もあります。

ということで一応以上をもって「今回の暴騰は仕手がbitflyerでBTCのヘッジショートを保有しながらXRPをpumpしたのではないか」という冒頭の仮説の根拠がとりあえず示されました。

となるとここから問題になってくるのは当然「仕手のpumpはここで終わりなのか、それともこの後さらに続いていくのか」という点になると思います。次章ではそれについていくつかの異なる視点からのアプローチを試みていきます。


2. 今後の展開

2-1. 仕手の仕込みはいつか

まずは、「今回の仕手がXRPを仕込んだ時期はいつか」ということについて分析を行ってみます。当然ですが仕手がXRPをpumpするのはそれによって彼らが利益を上げるためであり事前に自分たちがXRPを仕込んでおくことが必要なので、その時期と価格帯を推定できれば逆に仕手がどのくらいの価格をpump目標として想定しているのかを大雑把に見繕える可能性があります。下のチャートは上がXRP/BTC、下がbf乖離です。

とりあえず先ほどの仮説とbf乖離のチャネル推移をベースにシンプルに考えると、乖離が一定の減少を始めた5月頃からヘッジショートとともにXRPを仕込み出したのではないかと想定することができ、その場合は画像に赤で示したゾーンで仕込みが行われていたことになります。実際、チャートを見て分かる通りこの期間でXRPは黒の長期レジスタンスに沿ってかなり綺麗な動きをしており、これも仕手が来たるpumpに向けて市場心理を一箇所に集中させるためにチャートを丁寧に作り込んでいたのではないかと考えられます。

そして、この推定が正しいとすれば仕手のXRPの平均取得価格は比較的高く、現時点でもある程度利益は出ているもののこの規模のpumpとしては些か不十分な印象を受けます。つまり、仕手の価格目標はもっと上にあるのではないかと考えられるということです。


2-2. 仕手情報

上記で仕手の仕込みが5月頃からである可能性を示しましたが、実際に5月6月あたりには「仕手が資金を集めていて7月までにXRPをpumpする」という噂が各所で出回っていました。twitterなどで噂されているのを見た方も多いと思います。しかし7月までに仕掛けはなく、結局地合いが悪かったために計画が延期になったと言われていました。

今回の規模の暴騰を仕掛けられる仕手集団はそう多くはないと思われますし、同時に集める資金規模が大きくなれば情報が出回りやすくなることも考えれば、その時噂されていた仕手が今回の暴騰の裏にいたと考えるのは自然な流れだと思われます。

とすると、先ほどは仕手の仕込みは5月頃からと想定しましたが、実際には7月期限の計画が延期になってしまい本格的にXRPを仕込んだのは8月以降になってからという可能性も浮上してきます。その間ヘッジショートは仕込み続けていたとすればXRPも同様に一定の割合で仕込んでいたのではないかとも考えられますが、8月以降の仕込みを示唆する情報が他にも存在します。以下のXRP/USDチャート(bitfinex)を見てください。

8月に入ったあたりからそれまでに比べて出来高が顕著に上昇しています。この期間はチャートでいうと底値圏でのレンジ推移で、大口の仕込み以外の要因でこの出来高の増加を説明することは難しいです(実際にその仕込みの後に暴騰が起こっていますし)。さらに言えば8月頭に出来高を伴った下落が発生していますが、これは仕手がそれまでに集めていたXRPを一旦売って再度下で仕込み直そうとしたためではないかとも考えられます。

もしこちらの仮定が正しければ仕手のXRP平均取得価格は5月仕込みに比べると幾分低くなり、それに伴って目標価格も多少下方修正されてくるのではないかと考えられます(それが現在すでに達成されたかに関してはここまでの情報だけでは考察が難しいですが)。


2-3. 資金力

次は仕手の資金力の面から今後の動きを考察できないか試してみたいと思います。まず先ほども述べた仕手の情報ですが、5月6月頃の噂の時点では今回の仕手は1兆円〜2兆円規模の資金を集めていると言われていました。まあ噂はえてして誇大されるものと考えて仕手の資金は最大で一兆、最小で数千億くらいの想定で話を進めたいと思います。(あまりにも適当過ぎる想定ですが...そもそもXRPの時価総額に対して1兆円も資金を集めない&集められないだろうというのもありますし。もし、もう少しマシな情報をお持ちの方がいたら是非教えてください。)

ここで、9/18の上昇開始から9/21に天井をつけるまでのXRPの市場全体の出来高を計算したところ約7000億円になりました。一般的に仕手が仕掛ける際の手法とは、大勢の注目が集まっていて買いを引き寄せやすいタイミング(今回ならswellと長期レジスタンスへの接触)で買い上げることによってイナゴを集めるきっかけを作ることなので、当たり前ですが出来高の全てが仕手の資金というわけではありません。というより大部分は個人投資家のロスカットやイナゴが占めているはずです。この正確な比率は正直分かりませんが、仮にかなり多めに見積もって出来高の1/3程度が仕手によるものだとしても、必要資金は約2300億円となり仕手の資金にはまだ余裕がある計算になります。

また、資金力とは少し違いますがbf乖離の推移から仕手のヘッジショートの残量を推定できる可能性もあります。

bf乖離の一定の減少が仕手のヘッジショートによるものであるという前提の元では、画像のような近似直線に沿った分の減少がショートの増加分と見積もられるので、逆に乖離が上の水平ラインの水準まで回帰したら仕手のヘッジショートも完全に解除されたと考えることができるかもしれません。

ただし、実際にはこのチャートにはヘッジショートと無関係の市場心理による推移がノイズとして多分に含まれているはずなので、これはかなり荒い推定でしかないです。例えばですが、bitmexのfunding(調達率)を市場心理を測る指標として使用してbf乖離に対して補正をかければより精度の高い分析が可能になるかもしれません。

(ちなみにbitfinexのLS比に関してはこれもまたノイズが多すぎて補正としては機能しませんでした。)


2-4. ファンダメンタル

ファンダメンタルの視点でいうと、一番注目すべきポイントは10/1、2で開催されるswellですね。これはリップル社主催の国際カンファレンスですが、世界的にも注目度が高いイベントでリップルのファンダの中でも相当インパクトの大きい部類です(ちなみに今年はビル・クリントンが登壇)。このswellは去年も開催されているので、まずは参考のために去年のswell付近での値動きを見てみましょう。

XRP/BTC

XRP/USD

BTC建、USD建ともにswell前はある程度の上昇をするものの、BTC建ではswell一週間前に高値をつけその後二ヶ月ほどの下落トレンドを形成、USD建では開催直前に高値をつけその後は二ヶ月ほどのレンジを形成しています。両者の差は単純にBTC/USDがこの期間上昇トレンドだったことによるものですが、どちらにせよ期待上げからの事実売りという、XRPに限らずイベントの前後において一般的に見られる推移です。おそらく今年のswellでも同様に開催1週間前か開催直前からは売り圧が強まってくることが予想されます。当然仕手もそれを理解していないわけがないので、このswell事実売りに対してどう立ち回ってくるかが重要なポイントになるのではないでしょうか。

ここからはただの憶測ですが、僕は今回の仕手は当初はswellを最終目標として計画していたのではないかとも考えています。まず7月までに第一段階を仕掛け売り圧を測った上で、少し時間をおいて皆が油断した頃に本気の第二段階を行い、swellの一ヶ月から数週間前に最高値をつけてバブルチャート完成というシナリオです。あるいはswellで何らかの重大ファンダを予定していて、そこに照準を定めていた可能性もあるかもしれません。しかし地合い悪化のため計画が延期になりswellの開催が近づいてしまったため、仕手側もシナリオの変更を余儀なくされているのではないでしょうか。(そもそも7月予定からの延期という情報を操作目的で流していた可能性もありますし、邪推にすぎないですが。)


2-5. テクニカル

一応標準的なテクニカルによる分析もしておきます。

週足でいうと先日の上昇で50ema、100emaを上抜け、大きな上ヒゲをつけて下落するも現在は50emaを支えに踏みとどまっています。また週足MACDのゴールデンクロスの完成もある程度意識されているかもしれません。一応13500付近は2018年の下降トレンドの半値ラインですが、8ヶ月間続いた下落と先日の暴騰で売りたい人は十分売り終わり意外と上は軽くなっているのではとも考えられますし、ここでつけた大きな陽線は投資家心理に確実に大きな影響を与えるでしょう。

が、ここからの動きは仮想通貨市場全体の動き(つまりBTCの動き)に多分に支配されますし、短い時間軸でいえばすでに典型的なバブルチャートを形成しているのもあり、チャートからこれ以上明確な予測をするのは少し難しいかもしれません。


3. まとめ

長々と述べたせいで混乱した方もいると思うので、これまでの考察を要点のみ箇条書きでまとめると以下のような流れになります。

・出発点は「XRPの仕手pumpはBTCヘッジショートを伴っている」という仮説(根拠はbfの乖離率など)→ 仕手のpumpが終わったのかまだ続くのかがポイント

・bf乖離が一定の減少を始めた5月からの仕込みだとすると、平均取得価格的にはもっとpumpしないと割に合わなそう

・実際に5月6月あたりに「仕手が資金を集めていて7月中にXRPをpumpする」という噂が出回っていたが、その後地合いのせいで延期になったと言われていた  →ただ延期したなら本格的に買い集めたのは8月以降かもしれない(finexの怪しい出来高も8月からで一致)


・仕手の資金力については、噂を信じるなら出来高と比較してまだ余剰資金は多そう。bf乖離から見積もってもヘッジショートが残っていそうに見える。

・ファンダ的にはswellに対して仕手がどう立ち回るか。(当初はswellがpumpの最終ターゲットだったのが延期で予定がずれ込んでる?)

・テクニカル的には長期での上値は軽そうだが、ここからはBTC次第感もある。

ということでこれらを総合して結論づけると、「今回XRPの暴騰を引き起こした仕手の余力はまだあり、swell事実売りをやり過ごしたあと、もしくはswellでの裏ファンダで二段階目を仕掛けてくる可能性はある。しかし計画変更に伴って一段階で引き上げてしまうことも考えられ、結局は仕手とBTC次第という感じ。一応bf乖離や出来高やswell周辺でのチャートパターンなどに注目するのが有効。」という感じです。

が、あくまで言える範囲での緩い結論を一応つけてみただけなので、この記事の分析をもとに皆さんの中で自分の仮説を構築してもらうとよいのではないでしょうか。(ちなみに仕手の規模感から、別のコインにpump対象を変更したりXRPショートで上下を取ったりという動きはしないんじゃないかと思います。規模が大きくなればそれだけ身動きも重くなるので、なかなか細かい立ち回りをするのは難しそうです。)

それから念のためヒントというか注意を述べておくと、仕手というのはおよそ一般投資家が簡単に予測できるようなタイミングや形では仕掛けてこないはずです。それでは焦りや欲望に左右される大衆心理を利用したイナゴ集めには有効ではないからです。なので、常に相場の裏を読むというか、「一般投資家の思考を読む仕手の思考を読む」というような何段階かのメタ的な視点を持って望むことが大切になるのではないかと思います。

最後まで読んで頂いてありがとうございました。もしこのnoteが参考になった、面白かったと感じてもらえたら是非リツイートやコメント頂けると嬉しいです。よろしくお願いします。

また、今回のnoteは(寧ろ大体のnoteが)あくまで観察可能な情報や考えられる仮説をできる限り多方面から捉えてみたものなので、論理展開における反論は色々あり得ると思います。というか現時点で自分でも反論可能な部分が何箇所かあります笑。皆さんの意見も聞けたら嬉しいです。


おまけ。ほぼネタですけどもしかしたら?笑


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