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『TrymenT ―今を変えたいと願うあなたへ― AlphA編』感想

 どうもです。 

クリアからもう一か月も経ってしまったんですが、今回は2020年2月20日にTrymenTより発売された『TrymenT ―今を変えたいと願うあなたへ― AlphA編』の感想を書いていきます。すぐ書こうと一度は思ったんですけど、まとまった時間が中々とれなかったのと、実は2周目をしてちゃんと把握してたっていう言い訳を一応ここに書いておきます(笑)



 OP曲の『あなただけが知る世界』ほんと神がかってますわ。サントラ早く欲しい…フル尺で聴きたい…。

 昨年の10月にRASKの『Re:LieF ~親愛なるあなたへ~』はクリアしましたが、今作はその続編というよりは制作スタッフも一部変わって、ビジュアルノベルという形態で、設定を引き継ぎ再構築された作品。それに、まだOmega編が残っており物語としては終わっていない。ので、感想が正直書きづらいです(笑)

 この記事では、純粋に気になったところとか、好きなところとか、自分用にまとめておきたいと思った事を書いていくつもりなので、その点ご了承ください。ということで、前置きが少々長くなりましたが、以下感想です。(ネタバレ全開なんで自己責任でお願いします)



1.あやめ達の物語(2036年)

 まず、先に言って置きたいのは時系列把握までが大変でした(笑) それもそのはず、初めて年数が開示されたのは2036年9月にあやめとユウがピアノがある教室で出会ったシーン。この時までは年が隠されていた(早くにあの時計を解読できた人いたら凄いけどw)ので、司達とあやめ達がどの時系列で動いてるのかわからん状態。オマケに年数が開示された後は時間が大きくも小さくも戻る時がある。いくら表示してるとはいえ、少し構成としては易しくないものだったかなぁと思います。

 そんで、簡単にまとめるとAlpha編では、2036年のあやめ達の物語と、その翌年2037年の司達の物語の一部(『Re:LieF』に無かったシーン)が同時並行で描かれてました。

 あやめ達は今作が初登場なので、やっぱり新鮮で。だけど、三国先生や伊砂先生、ユウは登場するのでその点で気になるところは出てくる。何とも絶妙な距離感というか親近感で物語に触れていた気がします。

 あやめ達の物語の中心は、あやめと翔。この2人だったと思います。中でも12月23日の見送りシーンでの、この言葉に集約されるかなと。

「たとえ音楽ができなくても、今の私は諦めないよ。別の表現で、必ず翔に答えてみせる」
「翔、終わらせよう。苦しい記憶や病の全てに決着をつけて、ゼロから新しい人生を始めよう」
「私にはあなたが、あなたには私がいる」
「私たちの関係は、友人でも親友でもない。ーー戦友だ」

 何か新しく始める為に、引っ掛かっている全てを終わらせる。これに尽きるかなと。お互いに記憶や病からくる苦悩を抱え、やりたいことや目標はあるのに始められずにいる。『Re:LieF』で"試してみるんだ、もう一度"というメッセージが一つありましたが、これを後押しする様なメッセージだったとも思います。

 もう一度踏み出したくても、踏み出せない状況心境にいる。ならばちゃんと終わらせるしかない。終わらせる事は何かを始める事と同じくらい大変で、エネルギーが必要で、決して簡単なことではないと2人を見ていて感じました。あやめは、表現の本質へ辿りつく事。翔は、「親愛なるあなたへ」という作品を完成させる事。それが自分の為だけでなく、お互いの為になっているのが良かったですね。待ってくれる人がいるというのはプレッシャーにもなり得るからか、あやめが"戦友"という言葉を選んだのには感動しました。再会の時がどう描かれるのが本当に楽しみです。

 キャラ単体での深堀はあやめのみ(それもそのはずなんですけど)でしたが、全体的にも、学生らしい青春イベントで華やかさや賑やかさを魅せながら、卒業までに個々人の悩みを解消させ、夢の形成をしていく流れが綺麗でとても良かったです。この子らはもう大丈夫だなというか、そーゆー安心感を清々しさと同時に抱けた。会話の中には『Re:LieF』組より社会派な色が強いとこもあってその辺りは興味深かったですね。キャラでいうと特に喜羽が好きでした。言動や性格の真っ直ぐさが彼の良いとこだけど、器用ではない為対人距離とか考えず失敗した経験があるのかなぁなんて考えちゃう印象でしたが、トライメント計画を経て、伝える力を磨いた彼はきっと一層素敵な人になっていそうです。あやめと2人っきりの空気感も好きでした。



2.司達の物語(2037年)

 さて、こちらは『Re:LieF』組ということで、やっぱ好きだなぁとか想い出を掘り起こしながらプレイしてました。物語としては『Re:LieF』で描かれなかった視点での補完だったり、トライメント計画関連の新情報だったりが殆どで、結末に向けてやあやめとの合流といった点ではまだまだこれからといった感じ。なので、今回明かされたところを軽くまとめていきます。

 一番は、何といってもミリャの活躍ぶり!!初めて流暢に喋ったシーンなんかは鳥肌もんでした。彼女は早い段階でトライメント計画で起きてる問題に気付き、司ともも、トトと協力して解決策を試みる。その内容と関連情報はざっくりと以下の通り。

・人工知能『Omega』が現実世界にあり、これが見る夢に参加者の意識がアクセスして、そこで目を覚ましているのがこの仮想世界。
・Omegaはレイ・B・ホラトレイスが作った、彼は2034年9月に急死。三国先生は彼を先生と呼んでた
・この夢の世界を管理しているのが人工知能『Alpha』
・人工知能同士を繋ぐネットワークプロトコル『Algorithm』を利用してこの世界を管理している
・『Algorithm』は司、ミリャ、あやめにとって脳の電気信号を最適化する補助器具なので、勿論アクセスもできる。背中にあるレリーフはその証。
・回線防壁の影響は受けない為、緊急保護サーバーへ向かう事ができるので、そこで現実へ戻る為の装置を再現すれば意識を戻せる。

tryment地図

 中々、面白い設定。というか、現実世界においての状態が3人ともほぼ同じなので、本当に心苦しい。でもそれが"敢えて"であり、だから『Re:LieF』の物語が描けたんだよなぁと考えるとズルいとも思えます(笑)

 無事、保護サーバーへ移行したミリャが司とあやめと出会ったとこで今作は途切れてしまったので、このところも続きがどうなるのか楽しみで仕方がないです。因みに、ここでの司とあやめは本サーバーへ来た意識とは別の眠っている意識の方でしょう。Omegaの機能によって、アクセスできなかった意識を保護してるって言ってたやつです。所々で謎に描かれたシーン(司とあやめが廊下ですれ違うとことか)は恐らくここでの出来事かなと…。


 あとはそこまで重要ではなさそうですが、トライメント計画周りの情報が明確化されました。以下の通り。

・表向きは模擬就学制度による若年者最就職支援プログラム
・真なる目的は『新たな時代を正しく切り開き、社会問題を最適化する仕組みを作ること』
・『RelieF』の次代システムを担う為の、『人工知能研究所アルファ』による情報統制・管理・判断に基づいたシステムの最適化と、『神経内科学研究機関エミス』の『Omega』による、人体情報のデータ化、それにより導き出される新たな医療技術の治験、この2つの技術検証がベースにある
・その背景には2027年のシンギュラリティの問題があり、新技術の危険性の解明などのシミュレーション実験にあたって『特別支援学校』を運営する民間企業に協力要請。その民間企業が今の『社会福祉公社LieF』
・『環境を変える』ことで人々の意識に介入し、自身の決断によって『変化』を促す。この考えのもと、伊砂先生と二上金秋が『特別支援学校』を立ち上げた

 むっちゃ社会派でちょっとSFです(笑) でも、病気関連の事は事実も伴っているし、伊砂先生の言葉には説得力があって、そんなに遠くない未来のことでもあるかもしれないので、自分が結構聞き入ってしまいました。これだけの計画性と目的性を持ったトライメント計画で起きてしまった事件の真実が世間に公表されれば、確かに大ダメージ…。そこで覚悟を決めた司の言葉やシーンは結構気に入っています。特に好きなのは流花との会話のとこ。

「失敗は罪だ。失敗は第三者から認識されれば、それが永遠になる」
「この社会において、失敗は後ろ指をさされる対象だから」
「……」
「その考えは間違いだと断定され、過去の栄光が永遠の強者になる。未来を生きなければならないのに、認識された過去は嘘か真か関係なく絶対になる」
「社会福祉公社LieFは、そういう『今』を変えるために築かれた革命的なシステムだったらしい」

(中略)

「開示された問題がさらなる問題を呼び、社会を混乱させ、世の中の均衡が崩れるなら」
「『隠蔽』にも価値があると、僕も考えている」

 流花からするとやはり寂しい場面ではあるんですが、司からすると大事な考えの礎になるとこなんで、見逃せなかったです。結局のところ、失敗をどのスケール感で捉えるか、失敗に対して何を天秤に掛けるか、ですよね。悩ましい問題です。隠蔽そのものを100%悪だと決めつける事も違うと思いますし。何はともあれ、この覚悟を以てしてどう繋げていくのか楽しみで仕方がないです。というのもなんか、このままいくと『Re:LieF』の展開と違うものになりそうなんですよね…。司の人物像が微妙に違うし…。



3.Omega編に向けて気になった細かいとこ

 こっからは回収されなかった気になる細かい謎を並べていきますが、正直『Re:LieF』の記憶も完璧じゃないし、もしかしたらその答えこれでは?みたいなのもあるかもなので、その際は指摘してくださると幸いです。では早速、てきとーに並べていきます。


・導入のナイフ持った白髪ロン毛男は誰よ?!?!

・甘利紗陽と早乙女はづきは、同人サークルTraumendの以前の作品『トレイメント』からだと思うけど、あのシーンが実際意味するところは?

・幼少期の司にもピアノを教えていたのは四宮さん、あやめとも繋がる?

・5月2日、廃墟で自分の姿を見て、驚く司(一人称"僕")。さとうくん?のフラシュバックは佐藤理人の事?現実世界で元々繋がりがあった?ルームメイトは適性検査と機械による関連性の近い人が算出されてる

・エンディング直前の司も一人称"僕"スタートで急に"俺"司になったが、別人格が出てるという認識でいいのか?

・ディアとソウトメの世界は何?声も姿がそっくりなんだが。アルファもいるらしいし…。雰囲気ゲーム世界っぽい。

・フードの女の子は誰?名前はレムリア。声優はSariさんで合ってる?上記で2人が喋ってた共通の敵は彼女のこと?話に出てきたサイドテールの白髪の子はアイのことよね、多分。

trymentフード

・翔とユウは2030年に会ってる。その時、翔は18。また、この年は丁度司が植物状態になった年だが…関連性は?


 ざぁーと書いていきましたが、とりあえずはこのくらいですかね。『Re:LieF』のときもそうだったけど、伏線をさらっと張ってくるし、意味のない配置をしてこない作品だと想っているので、見落としや逆に勘違い等もあるかもしれません。どれもこれもOmega編でスッキリするといいなぁと、今はあまり考えすぎず待ちたいですね。



4.さいごに

 とりあえず、Alpha編を作ってくださりありがとうございました。ビジュアルノベルを突き詰めたこだわりは存分に伝わってきました。イラストや音楽だけでいえば、単体でも凄く綺麗なのに、それらを声とテキストも加えて演出を極めていたと思います。肝心の物語はまだまだこれからなので、その感想は全てが終わり次第しっかり書かせていただきます。

 とゆーことで、感想は以上になります。Omega編はきっと泣かせてくれる!またとてつもないメッセージを残してくれるんじゃないかと楽しみで仕方ないです。ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。

 ではまた!



P.S.

  先日、BOOKMARK浅草橋で開催された、『Re:TrymenT ―ExhibitioN―』に行ってきました。イラストメインでどれもじっくり見れるいい空間でした。初期設定資料なんかも置いてあったので、ほんと行った甲斐あった。

 
あとは、パンフレットと言う名のイラスト集を購入して、サイン会にも参加してきました。サインは背景担当のmocha先生と、音楽担当のえびかれー伯爵さん。質問の時間もしっかりあったので、制作におけるイラストと音楽の関係性というか、どちらかが影響を受けたりして、どういう風に出来上がっていくのかみたいなことをお伺いしたら、お二方もむちゃくちゃ親切に答えてくださいました。いやぁ…ホント想い出に残る時間でした。


©TrymenT AlL RightS ReserveD

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