って、いいですよね。
誰しも一度は「自分の考えたキャラのカットインと必殺技スチルが見てぇ～」と思うと思います。
そういう大会を、やってきました。
その感想記事です。

最強の名前トーナメント

この大会は「最強の名前トーナメント」というフォーマットの中で行われました。
あるんです。そういうのが。
「自分の考えた強いと思う名前を持ち寄って、みんなでワイワイ話し合いながらどれが最強かを決める」……っていう遊び。
友人に話したら「小学五年生じゃん」って言ってました。そうだが？
で、そのみんなが持ち寄った名前にカットインと必殺技をつけよう！というのが、今回の大会の趣旨だったわけですね。

え？誰がそのカットインとスチルを描くのかって？

俺だよ。

今回集まった名前達

では、今回集まった名前達を紹介しましょう。

『疼ク隻眼、封魔ノ呪腕』"濡鴉" 黎雲硝子

コンセプトは『厨二っぽいけど全部マジ』だそうです。最高ですね。

『看取り稽古(デッドラーニング)』"神剣菖蒲"の綾眼

『見取り稽古』、『真剣勝負』のもじり。かっこいい。

完全微欠！ドージー博士

良いですね。これだけでキャラクター性が完全にわかる。

"穿たれし蒼き因縁(ソルシエール・ラ・ブッソール)" 特等航海士 サフィ・メルシア

つよそ～。『ソルシエール・ラ・ブッソール』は『羅針盤の魔女』って意味らしいです。かっこよすぎる。

【小さな勇者と太陽の仔竜】 リアン ＆ アルヴァカラット

勇者と仔竜っていいよね。鉄板の主人公キャラです。

騒霊合唱団『カンタービレ・パラノーマル』楽長　ポール＝ゴスペル

歌と超常現象を組み合わせるって発想が良いですね。『ポール・ゴスペル』って名前も好き。

“薬莢色の大鎧兜”、してその名を『葦柄 珠家』

渋い。二つ名と名前を『してその名を』で繋ぐの凄いな。

亡き『貴方』の守護獣　スイートハート

亡き『貴方』の守護獣。悲しき過去を予見させる良い二つ名ですね。

以上の８名が集まりました。ほんとはもっと募集したかったんですが、キャパシティの都合で断念。心残りですね。
では、各名前にどんなカットインとスチルが付いたのか、描くときに考えてたことなんかも交えながら紹介しようと思います。

『疼ク隻眼、封魔ノ呪腕』"濡鴉" 黎雲硝子

「『機関』の差金、『教団』の刺客？何でもいいけど、邪魔するなら……消えて。」

カットイン

今回のカットインの中だと一番好きかも。かっこいいね。
この子は各工程通してあんまり悩みませんでしたね。『厨二病』というコンセプトがはっきりしていたので、どう見せればいいのかが明確にわかっていたのが大きいかもしれない。

必殺技

名前を提出してくれた人によると「右腕の包帯を解く。黒翼が生える。鉤爪めいた呪腕で直接攻撃するイメージ。」
設定では『八咫烏の三本目の脚』ってことだったんで鴉の脚っぽくしてます。
斬ってる羽根デカくね？描いてから気づきました。
対戦相手の比喩表現ってことで……

これがラフ。目こわ。
この絵は画面の各所に入れたいものをちゃんと収められた気がしますね。

超必殺技

厨二～。めっちゃ厨二出来て楽しかったです。
名前を提出してくれた方によると「左目の眼帯を外す。光輪が浮かぶ。無数のエネルギー槍で攻撃するイメージ。」
設定では『オーディンがミーミルの泉で失った片目そのもの』ってことだったので、眼帯にルーン文字を描き入れました。
普段が『停止』のルーンで力を抑え、外すと『勝利』のルーン、という感じ。

これがラフですね。
全体的に下に下げた感じになりました。
これも技名とイメージを見た瞬間にパッと浮かんだものだったので描くのが非常に楽でした。厨二最高。

『看取り稽古(デッドラーニング)』"神剣菖蒲"の綾眼

観れば解る、斬れば解る、受ければ解る　　受けて死んだら世話ないんやけど。
ほな、初めますか。

カットイン

いや、これも好きだな……かっこいい。
実は一番最初に提出された名前です。「鑢七実と矢胴丸リサと伊勢七尾をｷﾞｭてしたら溢れてきた」ってことだったんでそれぞれ調べて近いイメージにしました。
泣き黒子は絶対に入れたかった。

一番最初に描いたラフ。当初杯自体の構成を決めあぐねていて、こういう正方形のカットインにする予定もありました。
まだ髪が長いですね。イメージに『ショートカット』って描いてあるのを完全に忘れている。

この遊びは多数決で勝者を決めるんですが、その投票数が競った時に初めて必殺技が出る都合上、イラストが出る杯なのに一枚もイラストが出ずに終わる可能性がありました。
それは忍びないだろってことで登場時に出る立ち絵を制作……しようと思ったんですが、時間がなく断念。
結局全試合確定で必殺技を出すようにしてむりやり解決しました。
その名残です。

必殺技

大技まで観せてくれるんですか、有り難い。
学んだ事は剣に乗せて御礼しますわ──────

コピー剣術。
これが本当に厄介で……絵でコピー技を表現するのって難しすぎる！
これが最初どうだったかというと、

こう。先ほどのキャラの構図をそのまま使っています。
つまり、『対戦しうるキャラ全ての構図を真似たスチルを用意する』という手段で解決しようとしていました。必殺技3枚、超必殺技4枚。
……まあ、当然時間的に無理。工程的に必然最後に描くことになるので、もうそんな時間は残されていませんでした。
それでさっきのを描いたら
「一気にコピー能力だってわかるようになった」
と友人に言ってもらえたのであれで行きました。ありがとう。

超必殺技

成程、まだまだ余地がある。
───ほんならこういう風にも使えるんやないですか？

さっきのが簡易コピーだったのに対して、こちらは強化コピー。いよいよ困りました。
で、苦肉の策として出したのが「技そのものを見せられないのなら技を出す前を見せればいいじゃない」というもの。
正直表現しきれたとは思っていませんが、絵自体はかっこいいものになったんじゃないかなと思います。

これがラフ。ほぼ線画そのままですね。
『ラフを削って線画にした上に色を塗る』という超ズボラな描き方をしているのでラフが汚いと死にます。そんな描き方すんな。

これも没があります。やっぱコピーって難しすぎる。
描いててダサさに耐え切れなくなったので没にしました。
多分この子が一番描いてる。

完全微欠！ドージー博士

「フフフ……このフラスコの中身が怖いんでしょう……あなたがグニャグニャに歪んで見えますよォ……」

カットイン

はい。でんじろう先生のアレですね。
これは俺の発想ではなく、提出者の方で指定がありました。すごいな。
結果ユニークなカットインになって描いてて非常に楽しかったですし、大会中も好評だったのでありがとうって感じ。

必殺技

良い。こういうキャラ好きですね。描きながら爆笑してました。
イメージ指定では「大きめの爆発を背景に決めポーズをしている博士。白衣がボロボロに煤けて髪が爆発アフロに変わっている。」ということだったんですが、この『決めポーズ』が曲者で。

当初はこんな感じになる予定でした。
が、これではかっこよすぎる……こんなのドージー博士じゃない……と思い、試行錯誤した結果出てきたのが

これ。
今見たら服着てねぇじゃねーか。ちゃんと着せました。
いいかんじに博士のおとぼけ感を出せたと思います。特に吹き飛んだメロンフロートとカットフルーツがお気に入りですね。

超必殺技

これもいいですね。
イメージ指定では「必殺技の爆発部分を炎に。決めポーズをしている博士の白衣の端に火がつき、燃えうつりかけている状態。」ということで、はじめは

こんな感じにしようと思ってました。で、途中まで進めてたんですが……やっぱり迫力がなさすぎる。必殺技と代わり映えしないじゃん、ってことで没に。

で、こうなりました。
今思うと博士をもうちょい中央に配置すればよかったな～。構図って難しいですね。今回でひしひしと感じました。

"穿たれし蒼き因縁(ソルシエール・ラ・ブッソール)" 特等航海士 サフィ・メルシア

「まもなく出航の時間です。武器の手入れは充分ですか？」

カットイン

かっこいい。さっきから自分で言っててどうすんだって感じですが。
イメージ指定は「コンパスのマークが付いた船長帽、かなり鋭い眼光で睨みつけてるイメージ」。
多分提出者的にはもっと貫禄のある、偉丈夫の女性をイメージしてたんじゃないかなと思うんですが、割と少女性のある顔になってしまった。
かっこいい女性、描けるようになりたいですね……

この子だけ別端末で描いてたのでペンの感触の違いとかで割と苦労しました。

必殺技

「羅針よ、航路を指し示せ！」
「数多の障壁を、数多の波を乗り越え……お前の“船”を殺すためっ！！」

良い～。前口上と技名がかっこよかったので俄然力が入りました。
イメージ指定は「攻撃を避け切る最短経路で大銛を突き刺す必殺技です。 振りかぶってる姿のアップが良いのかな……お任せで…… 帽子のコンパスが仄かに光った上で、目の軌道もあるとすごく嬉しいです(ゾーン的な)」とのことで、仔細な指定があったのも助かりましたね。その通りに表現出来たかは自信ないですが。

最短経路で、ということだったのでグワッと迫ってくる感じの構図にしました。
服わからんって書いてる。わかる。わからん。
割とすんなり決まった方の一枚です。

超必殺技

「それでも……それでも路は揺るがない！！」
「瞬く星よ、風よ、波たちよ！！私が『北』を指し示すッ！！！」

かっけ～。さっきとは打って変わってめちゃくちゃ苦戦した一枚です。
指定イメージは「銛の形をした大波が取り囲むように襲いかかる必殺技です。 背後から遠巻きに見てるイメージのアングルで、キャラは左腕を号令するようなポーズで前に伸ばしている。その先には海。 少し横顔が写ってると更に嬉しいです。」
背後からのカット。描いたことなかったんですよね……

で、悩みに悩みました。
顔無しで迫力を出せる気がしなくてずっと横からの構図を探ってました。
ですが指定イメージはあくまで背後から。意を決して背後からのカットを描こうと決めて出てきたのが

これ。ここに至るまでもひたすらポーズを試行錯誤してました。マジで難しかった……
コートの靡く感じは海馬社長を参考にしました。

【小さな勇者と太陽の仔竜】 リアン ＆ アルヴァカラット

「は、初めまして！ いちおう勇者……の、リアンです。 ……行くよ、アルヴァ！」
『まかせて！ 太陽の勇者とドラゴンの力、見せてあげるよ！』

カットイン

キャラを二人描くと、二人分の時間がかかるぞい（物知り博士）
というわけで、タッグで参戦のキャラ。本当に難しかった……
二人いるってのもそうなんですが、私にはかわいいドラゴンのノウハウがなかった！デザインには本当に苦労しました。

必殺技

「わっぷ！ 危なかった、ありがとう！」
『まだまだこれからだよ！ 何てったって……』
「『“勇者”は決して諦めないからね！！』」
『さあ行くよ、掴まって！』

良い感じじゃないでしょうか。槍のデザインはもうちょっとやりようがあったな。槍だけに。

？

ラフ。
ひたすら「わかんね～～～」って言いながら描いてました。
……しかし、ここで私には心強い味方がいることを思い出します。
『パズル＆ドラゴンズ』です。
あらゆるドラゴンを内包するこのゲームを10年近くやっている私は、改めて図鑑のドラゴンを片っ端から見漁りました。このゲームやっててよかったって思った一番の瞬間だったかもしれません。

超必殺技

「くっ……こうなったら……！」
『リアン！？ まさかあれを……』
「“勇者”は決して諦めない、そうでしょ？」
『……そうだね、思いっきり決めちゃおう！』

というわけで、リアン君はアルヴァカラットと双子の竜だったんですね～。
最高。
本名は『リアヴィトルッカ』だそうです。かっこいい。
この子たちはデザイン指定はあったんですが、必殺技については特に指定がなかったのでそれも難しかったですね。自由とは不安である。
なので、必殺技名から日の出とも日の入りともとれる背景と、二人が楽しそうに暴れまわってる感じの絵になりました。

この時点ではデザインがはっきりしていたのでラフもほぼ線画ですね。
こちらはさほど苦労しなかった覚えがあります。

騒霊合唱団『カンタービレ・パラノーマル』楽長　ポール＝ゴスペル

「我らの高らかなる歌を！彼らの存在証明を！！」

カットイン

元気。とにかく目力と笑顔と圧の強さを意識しました。
正直もうちょっと線の細い感じをイメージしてたんじゃないかな……と描いてる時からずっと思っていたのですが、なんか太くなっちゃいました。

ちょっと怖いね。悪い人じゃないんです。

必殺技

「さあ皆、世界に轟かせるのだ！騒霊にラブソングを！！」

元気～。
『Con Fuoco』が「熱烈に」「火のように」みたいな意味らしいので、歌に合わせて燃える騒霊たちが相手に向かっていくイメージにしました。

初めの方に描いたのでラフもまあ乱雑だこと。でも勢いは感じる。
ここから仕上げた後、全員描き終わってから修正が入っています。一か月くらいかかったからね。

超必殺技

「そうさ！！この世全てを巻き込んで、表情豊かに！！歌うように！！！」

いいですね。
『Spiritoso』が「元気に」「精神を込めて」という意味で、騒霊たちがここぞとばかりにポルターガイストを起こしているイメージ……ということで、グワッと暴れまわってる感じにしました。

全体像がこうで、そこからトリミングをしていたのですが、トリミングしない方がイメージ伝わったかもしんないな。悩みどころですね。
右の潰れてる騒霊がお気に入りです。

さらに没もあります。こっちのが楽しげなイメージ。
これはこれでよかったんですが、超必殺技としてはどうかな……と不安になり大会前に描きなおしました。
全体的に歌で攻撃する、という表現に苦戦した感じがしますね。

“薬莢色の大鎧兜”、してその名を『葦柄 珠家』

このとりがぁの一押しは、幾万の剣に勝らんや。

カットイン

良いですね。
登場時セリフで『ロリババアガンマン』だと思われてて面白かったです。
オタクには横文字を平仮名にする存在を全部ロリババアだと思い込む習性がある。
実際は196㎝の大男だそうです。

面頬は般若面ですね。家紋は照準モチーフ。これらは指定イメージに沿ってます。

必殺技

はい。『鎧兜』に『近代銃』、私の苦手なものしか描いてありません。
見る人が見たらめちゃくちゃすぎて怒られてしまうと思うんですが、許して。
反して必殺技イメージは仔細に書いてあったので構図自体は作りやすかったです。
銃のモデルは『Walther WA2000』。これも指定がありました。時代感のアンバランスさが面白いですね。

さっき言ったとおり、鎧兜や実銃のイメージを集めるのには苦労しましたが、組み立て自体はスムーズに通りました。
マントは風圧で靡いてたらかっこいいな……と思い描きましたが、実際の鎧的にはどうなんだろう。まあ、ファンタジーってことで。

超必殺技

いや～良い。今回描いた中でも一番気に入ってるかもしれません。
こちらも細かいイメージの指定があって、はじめからこのカットにバチっと決まりました。ありがたいですね。

これがラフ。もうデザインも決まっていたので、見えてるものをなぞるくらいの感じでするすると描けました。楽しかったです。

亡き『貴方』の守護獣　スイートハート

貴様は、ここを侵すものか

カットイン

いいですね。お気に入りです。
名前と設定のギャップのつけ方が上手い。大会中で初めてビジュアルが出た時に一番驚かれてた気がします。
いや一番はさっきの子がロリババアガンマンじゃなかったときかな……？

この名前が二番目の提出だったので、綾眼とあわせて正方形のカットインを描いていました。これはこれで迫力があっていいですね。

必殺技

良い。やっぱドラゴンって良いですね。映える。
指定イメージ的にはこんなにドラゴンではなかった気はするんですが、描いてくうちにドラゴンになっちゃいました。

壁を生成する技、森、禍々しい獣……って感じでイメージを決めていきました。
提出されたの自体は二番目なんですが、描き始めたのは一番最初ですね。
いいかんじに収まったと思います。

超必殺技

ビ――――――――――――――ム！
やっぱいいですね。ブレス技は。
ただもうちょっとスケールを出したかった。割と心残りのある一枚です。

『ラフの方が良かった現象』が如実に起きている気がする……
ブレスのボリュームとスイートハートの姿勢ですかね。描いていくうちに変わってしまいました。ここら辺もうちょっと見極めていきたい。

感想

以上が今回の杯で描いたものの全てです。
完走した感想ですが、まあ～大変でした。
名前の募集から開催までは一か月半くらいあったんですが、こんなに何枚も抱えたまま締め切りまで走り続けるというのは初めてで……配分考えずにうんうん悩んでたら一日一枚以上描かないと間に合わねえぞ、みたいな感じになり。気合いで間に合わせました。生活は終わりました。
でも楽しかったですね。そもそもこういう『必殺技！！！』って感じの絵を描くの自体そんなに経験がなかったので（なんでそんな状態で募集しちゃったんだ）。いい経験になりました。
心残りがあるとするなら、キャパシティの都合で応募してくれた人の大半を抽選で落とすことになってしまったことでしょうか。非常に残念。
そこで私思ったんですよね。「予め描く時間を決めておけば何人来ても困らない」。「1キャラクター10分で描けば30人来ても5時間で済む」。

というわけで、次は『10分公式FA杯』でお会いしましょう。

読んでくださりありがとうございました。