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出版クラウドファンディング【EXODUS】2次審査に提出した「序章」

このnoteは出版クラウドファンディング「EXODUS」に挑戦するための内容を公開したものです。

2019年1月1日、僕はエクソダスの出版企画にエントリーしました。エントリー内容はこれです。

審査を通過することができて、今、次の審査のために序章を書いています。次の課題は4月10日までに序章を5000文字以上で書くこと。4月15日に結果を報告なのだそうです。

少し書いた文章を親に見せたら、「出版は作文じゃない。お前の日記ではない。お金を払って買ってくれる人に伝えられることは何かを考えて書け」と怒られてしまって、本を書くとは何なのかを親と一緒に考えました。

そして、書き出しがとても重要だと言うこともわかりました。どのシーンを切り取ってスタートさせるのか?アニメやドラマのようなスタートだとどうなのか?僕の主観で書くのか、客観的に書くのか。色々やってみて、以下のような序章を書き上げました。

きっとこの序章はクラウドファンディングとして公開されることになるのだから、どうせなら先に公開しようと思います。まだ締め切りまで時間があるので、少しずつ変わっていくと思いますが、その作業も全部公開しておきます。

よろしければ、コメントで感想やTwitterで感想をお聞かせください。よろしくお願いします。

2019年3月22日 
加藤路瑛


序章(プロローグ)

2018年12月13日。この日、株式会社クリスタルロードという小さな会社が誕生した。会社の誕生なんてどこにでもある話だと思う。だけど少しだけ普通の話と違うのは、僕が社長になったことだろう。

僕は加藤路瑛。12歳、中学1年生だった。おそらく、あの日、日本国内で一番若い社長だったと思う。法務局の受付で法人登記のための書類が事務的に受け取れていく。中学生社長が誕生した瞬間だったけど、法務局で誰かが祝ってくれるわけでも注目されたわけでもなく、静かに社長人生がスタートしただけだった。


「ロボットを作ってみたい」
「働いてみたい」
「一人暮らしをしてみたい」
「大工さんをやってみたい」

何かやってみたいと言うと、親や学校の先生は、
「大人になってからね。そのために今はしっかり勉強しようね。」

と僕に言う。その度に「何年先のことなのだろう?」とその時間の長さに小さく絶望していたことを親や先生は気づいてくれていたのだろうか?

もちろん、「やってみたい」と言ってやらせてもらえたものもたくさんある。ピアノ、体操教室、スケートボード、乗馬、スキー。多分、色々やらせてもらった子どもなのだと思う。旅行も色々連れて行ってもらえたし、米作り、収穫体験、海苔作り、吹きガラス、加賀友禅・・・アルバムを見れば色々な体験をさせてもらっていることも分かる。

だから僕は決して何でも否定されて育ってきた訳ではなく、沢山のことをやらせてもらっている子どもなのだと思う。それらの体験をさせてくれた両親には本当に感謝している。

しかし、時々言われる「大人になってからね」と言う言葉にずっと違和感を持って生きてきた。

「なぜ、今ではだめなのか?」
「なぜ、大人にならないとできないのか?」

少しずつ成長して10歳を超えるころには、大人にならないとできないことがたくさんあることは分かっていた。13歳の今、考えてみると、それは自分で学んで理解したわけではなく、親や大人がみんな言うから「そういうものなのだろう」と思い込んでいただけなのだと思う。常識という言葉は、いい意味で使うことが多いけれど、真実は何かを疑うことをさせないものでもあると僕は思う。

僕の中にあった「世の中の常識」や「固定観念」が吹き飛んだのは僕が12歳の時だった。中学1年生の6月、その頃、僕は理科の実験を実況するユーチューバーになろうと計画していた。実験動画を見ながら、実験道具や注射器やグルーガンなどを集め、薬品を扱いたくて危険物取扱者や毒物劇物取扱者の本を買って勉強していた。資格を取るのも年齢的に先になりそうだったけれど、やれることを準備しておこうと思っていた。しかし、毒物劇物の本は僕には難しかった。

そのような僕を見て母が「ケミストリー・クエスト」というカードゲームを買ってくれた。原子を組み合わせて物質をつくるゲームで、まずは元素から勉強したらという提案だった。

箱を開けようとした時に箱に書かれている文字が目に飛び込んできた。

「小学生で起業したスーパー高校生社長考案」と書いてあるのだ。

「小学生で起業ってどういうことだろう?」

気になって調べみると、ケミストリー・クエストを作ったのは米山維斗さん。1歳の終わりぐらいには会話ができ、3歳になる前に、ひらがな、カタカナ、パソコン操作もマスター。4歳の時に宇宙に興味を持ち、化石や鉱物などに関心の幅を広げて、小学3年生の時に考え出したのが原子を結合させて分子を作って遊べるカードゲーム「ケミストリークエスト」。これを事業化するために会社を作ったのは米山さんが小学6年生、12歳の時。

天才だ!天才だからできることだ。僕が気になったのは会社を作ったという部分。小学生で会社を作って社長になれることができるのだろうか?

さらにインターネットで米山さんの記事を探してみると、米山さんは取締役社長で、米山さんのお父さんが代表取締役で会社を作っていた。

株式会社を作る時には法人登記をしなければならない。登記の時に代表の印鑑証明が必要ですが、なんと15歳未満は印鑑証明が無いのです!つまり、株式会社を作れるのは15歳から。

では米山さんはどうやって12歳で会社を作ったのか?それは、お父さんが代表取締役として会社を登記し、子どもの米山さんが取締役社長になる方法だった。そんな裏技みたいな方法があるのかと僕は興奮した。12歳の僕は「代表」なんて言葉よりも「社長」という言葉の方がかっこよく見えた。

「小学生で社長になれるのか。すごいな。」

僕の最初の感想だった。そして、今まで閉じ込めていた感情が湧き上がってきた。みんな大人になってからって言ってたのに、世の中には子どもでやっている人がいる。本当はやれるのではないか?知っている人はやれていて、知らない人はそのまま大人になるのを待っているだけなのではないか?もしそうなら、このまま10年、働ける日を待つなんて僕はしたくない。

僕の世界が変わる感覚があった。今まで親や大人が言っている常識を疑ったり考えたりしなかったけれど、本当は常識だと言ってるだけで真実ではないのではないか?だって、12歳で社長になった米山さんは非常識なのかと言われたら絶対に違う。普通の人の考えつかないもっともっと上の世界にいる。それは非常識とは違う。常識という目に見えないルールの枠の中にいると気がつかないだけで、外には違う世界があるのかもしれない。

もし、僕もその世界にいけるなら、

もし、僕も社長になれるなら、

僕はやってみたい。

12年間生きていた中で一番興奮したかもしれない。違う、2番目かもしれない。仮面ライダーのベルトを買ってもらって、変身しまくったあの時に似た気持ちだ。僕は僕でしかないけれど、何か強くてかっこいいものになれる。社長になるのは少し仮面ライダーになる感覚に似ていた。仮面ライダーになれないことはもう分かっている。でも社長は、本当になりたいと思うならなれるのかもしれない。

「僕は社長になる」

2018年6月13日。僕は社長になる決心をした。

問題はたくさんあった。まず、僕は天才ではないということだ。米山さんにはケミストリー・クエストという作りたいものがあったから社長になった。しかし、僕は作れるものがない。売れる商品を何も持っていない。何も作り出せない自分が会社を作ろうとしている。それは中身のない会社だ。僕が出来ることは何だろうか?

自分に能力がないことが悔しくなった。よく考えれば、小学生の社長は知らなかったけれど、アプリを作っている小学生やロボット作る小学生はニュースなどで見ていたような気がする。スポーツの世界でも活躍している小学生はいたはずだ。なんとなくテレビで見ていた気がするけれど、自分には無関係で、どこかのすごい人の話だと気にもしなかった。ちゃんと自分に何ができるのか小学生の時に考えていたなら、僕も何かできていたかもしれない。しかし、そういうことを考えずに生きていた中学1年生の僕は、あまりにも凡人すぎたのだ。

次の日、学校に行っても僕は昨日のことばかり考えていた。「僕に出来ることは何だろう。」昨日の夜ずっと考えたけど、何の能力もない僕にできることはなかった。昨日まで楽しいと思っていた学校も何かつまらなく感じてしまった。みんなはこのまま中学、高校で勉強して、多分大学で勉強して、今から10年勉強する事になる。その事を不思議に思ったりしないのだろうか?10年間あればもっとすごいことができるのではないか?小学生社長の存在を知った僕は、ここから10年間、ただ学校で学び続けることに疑問を感じ始めていた。しかし、クラスの人には聞けなかった。「何のために学校に行くのか?」「今やれることは何なのか?」そんな話を真面目にしたら、バカにされるか中二病と言われるだけかもしれない。

でも、もしかすると僕と同じように考えたり悩んだりしている人がいるのではないか?と思えてきた。

このままでいいはずがない思っている子ども

やりたいことがあるのに大人にならないとダメだと思っている子ども

本当は沢山いるのではないか?誰も子どもでもできる事を教えてくれなかったから、知らないで生きているだけではないか?

それなら、子どもでも社長になれたり、やりたいことをやれる世界がある事を僕が伝えればいいんだ!それを仕事にしよう。そう思うと急に世界が広くなったような感じがした。

しかし、「子どもでもやりたいことがやれる世界がありますよ」と僕が言ってみたとしても説得力はないし、それは商品ではないからお金にはならない。逆に怪しい会社にしか思えない。売るものはなくて、面白い世界があるとただ言っているのは、「簡単にお金儲けができますよ」と言っている詐欺師に似ている。それとも「お菓子を買ってあげるからこっちにおいで。」と言っている誘拐犯だろうか。

世界を伝えるだけでは仕事にはならない。仕事にするためには目に見える何かを人に伝えなければならない。

「やりたい事があるのに大人にならないとできない」と思っている人の考えていることを考えてみた。昨日までの僕自身の事だから考えるのは簡単だった。 なぜそう思い込んでいたなのか?を考えてみた。

・子どもは勉強するのが仕事だと思っていた
・働くのは大人になってからと思っていた
・やりたい事や欲しいものは親に頼むか自分で貯金しないとできないと思っていた
・大人にならないと自由にはなれないと思っていた

全部「思っていた」と書いたけれど、「思い込まされてきた」の方が正しいかもしれない。

「お金」「年齢」「常識」がやりたい事をやれない子どもを作っている原因なのだと思った。それならこの3つを打開するものを作ったら、それが僕の仕事になるのではないかと思った。

誰にだって本当はやりたいことがある。例えば自分の開発したアプリを売りたい人、発明したものを作って売りたい人、スポーツ選手で海外で活躍したい人、歌手になりたくて歌の勉強をしたい人。色々な人がいるはずだ。その人たちが、今、お金を自分で持てれば、会社をつくったり、やりたいことに挑戦できる。そういう人のためにお金を集める仕組みを作ろう!やりたいことがある人を集めてホームページで紹介して、その人にスポンサーを見つけてきたり、ファンクラブを作って、たくさんの人からお金を集める仕組みを作ろう。僕はその集まったお金の一部を作業代としてもらおう。

僕の仕事のアイディアが急に膨らみはじめた。今まで何か売れるものを作らなければ仕事にならないと思って考えていた。けれど、仕組みを作ることも仕事になるのかもしれないと思った。それなら、ケミストリー・クエストのように売れる商品が何もない僕でも会社を作ってやっていける。

僕にはすでに見えていた。僕がつくった仕組みで、みんながやりたいことのためのお金を手にして好きなことを大人になる前からやれている世界が。

あとは行動するだけだった。僕は家に着いてすぐに母に僕の考えた起業プランを説明した。僕のプランには親が必要だった。なぜなら、12歳の僕は印鑑証明がとれないから法人登記できない。父はサラリーマンで毎日忙しそうだが、母はパートで働いていたので、狙うなら母だと思っていた。

母は「それじゃ、学校に起業して仕事をしていいのか聞いてきて。もし、学校がいいって言うなら手伝うよ。」と言ってくれた。

その後こんな事も言っていた。「法人登記って、30万円近くかかると思うよ。家から出せないから、どうやって法人登記代を払うのか考えておいてね。」

その日の夜、僕は通帳を開いた。お年玉やお小遣いをもらって貯めたお金は18万円くらいあった。30万円には程遠い金額だった。もし仮に30万円あったとして、法人登記できたとしても、それで全財産なくなったら何もできなくなる。やりたい事をやりたい人のためにお金を集める仕組みを作ろうとしていた僕だったが、自分自身の活動資金を集めることが先だった。30万円。どうしよう。眺めてもお金は増えてくれない貯金通帳を眺めながら、その日は寝てしまった。

次の日、朝のホームルームの後に担任の先生に声をかけた。早く起業の許可をもらって次の手を考えたかった。

「先生、この学校って、起業とかしても大丈夫ですか?」
「起業?加藤くんが?」
「はい。起業したいです。」
「今から授業だから、後で話しましょう。掃除の時間にもう一度話しましょう。」

短い時間だったけど、自分の言いたいことを伝えられた。掃除の時間までは何時間もある。その日の授業が7時間目まである事を恨みながら、僕は先生に自分の事業プランをどうやったら上手く伝えられるかそればっかり考えてその日を過ごした。

「先生、今、いいですか?」

待ちに待った時間だった。僕は中学生でも起業できる事、そして、子どものための資金調達サイトを作りたいことなどを説明した。説明は下手だったと思う。

「事業計画書作ってきてくれますか?」
「事業計画書ですか?」
「はい。計画書の内容を見てから検討します。」

事業計画書。名前の感じから「事業」の「計画書」だとは分かる。でも、それがどんなものなのか僕には分からなかった。でも事業計画書を作らなければ先に進まないことは分かる。事業計画書というはじめて触れる言葉。すでに社長気分だった。よし、事業計画書を作ろう!

家に帰ってきて、事業計画書とは何なのか調べた。ネットに出ている実際の事業計画書も見てみた。すごそうな計画書もあれば、しょぼい計画書もあった。これくらいなら書けそうだった。

パソコンでWordを立ち上げ、「事業計画書」と入力した。次の行に「1年2組 加藤路瑛」と書いた。事業計画書にクラス名を入れるのは不思議な気分だった。中学生と社長の境界線はどこにあるのだろう?もうこの時、僕の中では中学生と社長の境界線はなくなっていた。


この本では、僕、加藤路瑛が12歳で会社を作るまでに経験したことや学んだことを紹介します。実際は15歳からではないと代表取締役にはなれませんが、社長になることに年齢制限はありません。いつか、子どもでも起業に挑戦できる本を書きたいと思っていました。「12歳でも社長になれる」というタイトルや、実際は10歳くらいなら株式会社の取締役社長になれるので「10歳から社長になれる」というタイトルの本を書けたらいいなと思っていました。

でもある日、僕はある本に出会います。

「15歳から、社長になれる」

CAMPFIREの社長の家入一真さんが書いた本です。タイトル丸かぶりです!僕が本を出したら、家入さんの本を攻撃することになったり、間違っていますよというメッセージになるかもしれないな、それは嫌だなと思っていました。もちろん、僕が本を書くのはもっと先のことだと思っていたので、そんなに悩んではいませんでしたが。

2019年1月1日、僕はTwitterで家入さんが「EXODUS」という出版のクラウドファンディングの会社を設立したことを見かけました。企画募集中でした。これはチャンスかもしれないと思いました。家入さんの本を攻撃することなく、丸かぶりのタイトルをネタにして出版できる唯一の方法かもしれないと思ったのです。

まだ僕は会社を立ち上げただけで何の実績も出せていません。そんな状態で本を書いても中身がないと言われるかもしれません。でも、僕は挑戦することにしました。

12歳でも社長になれる
本当は10歳でも社長になれる

僕の小さな挑戦が、誰かの役に立つのか分かりませんが、年齢とお金と常識を取り払えれば、誰にでも挑戦できることをこの本で伝えたいと思います。

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