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Jリーグ12節 vsジュビロ磐田 マッチレビュー

 こんにちは、セレサポ神戸の亮太です。今回は5/6にヨドコウで行われたジュビロ磐田戦のマッチレビューを書いていきます。今回はバックスタンドからの観戦だったので、ゴール裏からよりはマシだと思いますが主観的なマッチレビューになります(DAZNで見返してません)。

機能した4-2-3-1

 フォーメーション図は割愛しますが、セレッソは清武がトップ下の4-2-3-1、ジュビロは5-4-1のスタメンでした。セレッソの前節との変化は清武がトップ下に入ったことで、ジュビロのダブルボランチに対して数的優位を持って、中央でしっかりボールをキープする、サイドではシンプルにパトリッキのドリブル能力を活かそうという狙いが見て取れました。対するジュビロは、5バックで低い位置にブロックを形成し、そこからロングカウンターを狙うといったゲームプランでした。

 前半は、セレッソペースで進んでいました。ジュビロの守備ブロックが低かったこともあって、敵陣でしっかりボールを繋いでゲームを進めることができていました。またセレッソは、スタートポジションは4-2-3-1でしたが、ボール保持時には清武と奥埜が横並びになる4-3-3のポジションを取っていました。

攻撃の狙いは遠藤

 前述した通り、セレッソはマイボール時に4-3-3にフォーメーションを変形させていました。その狙いは、原川をアンカーにおいて奥埜を清武と同じ位置まで上げることで人数で相手を押し込むこと、そして清武が遠藤の横のスペースでボールを受けることでした。

遠藤の横を狙う清武

 例えば、原川が相手の中盤の前でボールを持った時、清武は図で表したスペースを常に狙っていました。攻撃時のパスや戦術眼は一級品の遠藤ですが、42歳という年齢から、アジリティーの高い相手に対峙することや、連続でスプリントすることは難しくなっています。そのため、清武(たまにパトリッキ)は遠藤の隣でボールを受け、1タッチ2タッチで簡単にプレーして攻撃のリズムを作っていました。

 この攻撃は確実に機能しており、清武自身が前を向けなくても、落としのパスを受けた原川からのサイドチェンジ、近い距離にいるパトリッキとの連携などセレッソの攻撃の起点になっていました。

 セレッソは攻撃時、2列目に4枚を並べているためSBの初期ポジションは低めで(流れの中で上がっていくことはありました)、CBか原川からの中央への縦パスから攻撃が始まることが多かったです。遠藤の年齢やチームのプレスの完成度の問題もあって、ジュビロはほとんど前から取りに来ませんでした。その場合、セレッソはビルドアップの初めのパスをミスなく繋ぐことができていました。しかし、セレッソが自陣の低い位置から繋ごうとする場面では、ジュビロは前から取りに来ていました。この場合、セレッソはどのように対処していたでしょうか。

プレス回避の綺麗なパス回し

 ジュビロは前からボールを取りにくる場面もありましたが、そのプレッシャーは効果的ではありませんでした。SBの位置は低いままで、中盤は横並びのダブルボランチなので、数的にセレッソを追い詰めることはできず、セレッソはうまくプレッシャーをかわしてボールを前進させていました。印象的だったのは下図のようなシーンです。

セレッソのプレス剥がし

 効果的に相手のプレッシャーを剥がせていたのは、右サイドのパス回しでした。ジュビロのトップがヨニッチに、ボランチが奥埜にプレッシャーをかけてきて、ボールが、ヨニッチ→奥埜→松田と繋がった図のようなシーンです。

 ジュビロもプレッシャーをかけてきているのですが、出足が遅く前節の鳥栖よりも余裕を持ってプレーできていました。また、ジュビロの3バックの両サイドは前線のプレッシャーに連動して清武を捕まえにいかなかったので、メンデス1人を3枚で見るような形になり、ジュビロのDFラインの前に大きなスペースができていました。

 松田からそのスペースにいる清武にボールが出て前を向くと、高精度のスルーパスを警戒してジュビロのDFラインは後退するしかなく(ジュビロボランチは奥埜のような走って戻れるタイプでは無いので戻ってこれない)、フリーでボールを前進させることができていました。

 2点目の場面は、同じようにジュビロが前からプレッシャーをかけてきたところで、奥埜がメンデスへと浮き球のボールを送り、メンデスがボールをキープして運んだところからのゴールでした。

2点目のシーンでもし競り負けても拾える

 この場面で、もし競り負けてキープできなかったり、少ししかボールを触れなかったとしても、こぼれ球がそのスペースに落ちて清武が拾えるということも計算して蹴られたボールだったように見えました(そこからパトリッキが飛び出していくとチャンスに)。プレッシャーを受けて苦し紛れに蹴ったボールがたまたま繋がったように見えますが、相手のボランチの運動量やこぼれ球を拾えることを計算した、再現性のあるプレーだったといえるでしょう。

 このように前半は、ジュビロが低い位置でブロックを作っても、前からプレッシャーにきても、セレッソがうまくボールを繋いでいました。その結果が2-0のリードにつながったと思います。

退場者が出て苦しくなった後半

 後半は、ジュビロがFWの選手を入れて前半よりも前がかりに出てきましたが、流れとしては前半とほぼ変わらずセレッソペースでした。

 時間とともに、両チームの陣形がだんだん間伸びしてきましたが、ジュビロが明確な解決策を持たないのに対して、セレッソは奥埜の運動量と交代で出た中原と為田のフレッシュな動きでゲームをコントロールしていました。

 また、セレッソは清武に変えて山田を投入し4-4-2にフォーメーションを変更しました。狙いとしては清武を使って細かい局面を崩すよりも、間伸びした相手に対してのダイナミックな縦への早い攻めで、3点目を取ってしまおうというものだったと思います(あと、清武は1年中怪我なくプレーしてもらうために基本的に60分当たりで交代します)。中盤の枚数は減りますが、前述の通り交代選手の運動量でカバーしようという作戦でした。

 しかし、74分に為田がアフタープレーのファールで退場になります。しっかり走ってアピールしたい気持ちが裏目に出た不必要なファールでした。

 その後はひたすら耐える展開になりました。セレッソが耐え切れた理由としては、ジュビロが1トップを変えなかったことです。ジュビロが2トップの3-5-2にフォーメーションを変えて、サイドの位置を高くして、中央を厚くしてくるとセレッソにとってより苦しい展開になったのではないかと思います。

ジュビロのパワープレーがこうなれば怖った

 失点の場面では、クロスを一度は弾きかけたものの相手の方が中の人数が多かったことで押し込まれてしまいました。もしジュビロが2トップに変えていたら、このようなシーンが増えていたと思うので、セレッソとしては助かりました。また、原川を鈴木に変えたのは、セレッソの中盤の守備での強度、ジュビロのパワープレーを考えると、失点こそしなかったもののあまり得策ではなかったように思います。


感想

 セレッソとしては、2点リードした楽勝のゲームを退場者を出したことによって難しくしたなという印象でした。

 しかし、守り切るセレッソ、耐え切るセレッソを見れたことはすごく嬉しかったです。攻め込まれる展開になって、いつも通りズルズルやられてしまうのかと思った方も多かったのではないでしょうか。そこをいい意味で裏切ってくれました。13000人以上の観客が集まったゲームで、今季でいちばんハラハラした面白いゲームを展開してくれたと思います。

 あと、丸橋と山中の左SBのポジション争いは、五分五分まで戻った思います。鳥栖戦の良いパフォーマンスの丸橋と今節の山中なら、丸橋を使った方が良いのではないかと思いました。しかし、ここから山中もコンディションを上げてプレーレベルを上げてくると思うので、さらにハイレベルな争いになることを期待したいです。

 次節のグランパス戦もしっかり勝って、ここから勢いに乗って欲しいです。ここまで読んでいただきありがとうございました🌸

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