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東大出身のエンジニア起業家が手がける”製造業界”のマーケットプレイス

マーケットプレイスとは、インターネットを介して売り手と買い手が自由に取引できる電子市場のことで、最近では、フリマアプリやネットオークションなど個人間での商取引も浸透してきています。
もともとマーケットプレイスは企業間(BtoB)での活用が期待されており、企業の営業コスト削減や製品の受注拡大など、取引を行う上で多くのメリットを享受できるとされています。
そんな中、C2Cプラットフォームを活用したサービス「Ekuipp」を手がけるAnyble株式会社の松本悠利氏に、マーケットプレイスの可能性について伺いました。

松本写真のコピー

「もったいない」の気づきから生まれた新たなマーケットプレイス

____本日はよろしくお願いいたします。

松本:よろしくお願いします。

____まず始めに、弊社プラットフォームを使って立ち上げたサービス「Ekuipp」について教えてください。

松本:Ekuippは簡単にいうと、精密機器のマーケットプレイスです。工場の倉庫に眠っている計測器や測定器などを売りに出すことができ、企業間売買ができるBtoB向けのオンラインサービスです。

____なるほど。なぜこのサービスを立ち上げたのでしょうか?

松本:私は以前、外資系の石油探査会社でエンジニアとして働いていたんですね。もともと大学では物理を専攻していて、量子光学を中心に研究していました。就活のときは、メーカーに行く人が多かったんですけど、僕は変わったところに行きたいと思い、石油探査会社へ就職したんです。
そこの会社で、1年に1回とかクォーターごとに、倉庫管理を担当することがあって、たまに倉庫内のゴミ掃除をすることがあったんですよ。
そのときに、新しく買った精密機器をバンバン捨てていく現場を目の当たりにして、「もったいないな」とずっと思っていました。そんなことを頭の隅で考えながら働いていたのですが、あるときその会社が日本を撤退することになりまして、そのタイミングで自分に何かできることがあるのではないかと考えていたら、Ekuippというサービスを思いつきました。

____純粋にもったいないという思いから始めたんですね。

松本:そうですね。ビジネスというよりは社会的意義を強く感じて始めました。石油会社で働いているとき、メーカーさんや工場の方と話していてみんな口を揃えて「もったいない」と言っていたんです。
でも、みんなサラリーマンであったり、研究者であったり、それぞれの立場でできることにも限界があるのはわかっていたので「この現状を解決できるサービスを立ち上げればみんな喜ぶからいいな」と思ったんですよね。

____物に対しての愛を感じます。

松本:実際に現場の企業の方々のいろいろな話を聞くとやっぱり、新しく機器を買うとなると「高い」ってなるし、捨てるのももったいないし、そういった声が大きく、売り手とメーカー双方にも課題があったので、Ekuippを始めようと思いました。

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外資系企業のエンジニアを経て起業 - エリートのビジネスマインドとは

____外資系企業でエンジニアとして勤めて起業、という華々しいキャリアをお持ちの松本さんですが、Anyble立ち上げ当初、苦労とかありましたか?

松本:まず、創業当時は何をすればいいのか全くわかりませんでした。初めメンバーは4人いたんですよね。で、開発に詳しいメンバーが2人。でもなんだかんだ辞めてしまって。中堅の年齢なので「やろうぜ」と声をかけても人は集まらないですし、スタートアップなのでお金も無いしで当時はいろいろ難しかったです。

____いろんな苦節を乗り越えてきたということですが、ビジネスをする上で気をつけていることはありますか?

松本:WIN-WINな関係を構築することは心がけています。私の性格かもしれませんが、何かを手伝ってもらうにも手伝ってもらう仕組みがあると思うんです。お互いに協力をして、お互いにメリットのある関係を作れればと良いと思っています。
Ekuippはそんな私の性格が無意識に反映されているのかもしれませんが、誰も損をしない仕組みになっていると思っています。

____損をしない仕組みとはなんでしょうか?

松本:Ekuippというサービスは製造業の人たちを繋げるプラットフォームです。精密機器を必要とする企業とその精密機器をあまり使わなくなった企業をマッチングさせることで、それぞれの要望を満たすことができる仕組みになっています。Ekuippに使わなくなった、もしくはあまり使うことのない精密機器を掲載するだけで、それを必要とされる人に見てもらえる。そして取引が成立すればお互いの事業に役立つことができる。Ekuippが作るサスティナブルな流れが世の中のためになればいいなと思っています。御社のサービスを利用したからこそ実現できたことだと思っています。

独自プラットフォームをEkuipp向けにカスタマイズ

____以前はEC構築サービスを使っていたとのことですが、弊社サービスを利用してどういった変化がありましたか?

松本:以前に利用していたサービスは個人間での取引に特化していたため、Ekuipp用にカスタマイズが難しい部分がありました。
特に製造業ならではの取引フローや経理ルールなどを踏まえて実装することができなかったため、カスタマイズに限界があることが課題でした。
ユーザーの声を聞くだけのためならよかったんですが、実際にそこでプロダクトを回すとなると将来的に厳しいのかなと思っていたので、そういった小さいけど大きな「ズレ」を改善できるという点で御社のサービスを利用してよかったと感じています。

____弊社も実際にそこを強みにしているので嬉しいです。

松本:開発会社であるのに開発だけで終わらないというところもいいですね。開発以外にサービス自体がよくなることに対しても、いつもいろいろと提案していただいているのは助かっています。
また、御社の代表も同じ製造業をやられていて、現状の問題に理解をしていただいていることもよかったです。我々の「マーケットプレイスが今後来る」っていう考えがドンピシャにマッチしたのもいいかなと思いました。

____喜んでいただけてなによりです。

松本:汎用サービスでは「これじゃないんだよな」っていうポイントがいくつかあったので、サービスを運営していく側として我々のやりたいことを違和感無く実現してくれた御社の強みがとても好印象です。

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『人生はおもしろい方へ…』 Ekuipp = 製造 をアジア全体で

____これからのビジョンを教えてください。

松本:これからは日本だけでなく東南アジア全体がEkuippを使っていくことをイメージしています。日々の業務が忙しくてもEkuippなら気軽に機器の管理ができる。そして不要な機器を売ったり必要な機器を購入したりすることが簡単にできる。。私たちのつくるサービスが世の中の製造業を変えていけばいいなという感じです。「Amazon」といえば「どんな本でも揃っている」というように、「Ekuipp」といえば「精密機器がなんでも揃っている」という風になれば思い描くビジネスの展開になるかなと思います。

____日本から東南アジアへ輸出という形でしょうか?

松本:そうですね。日本の製造業が多少苦しくなって余った機器を東南アジアの製造業が買う。日本はそこで製造されたものを買えばその方がコストが安くなります。Ekuippはアジア全体の製造業を盛り上げていくことができると思っています。

____社会に大きな影響を与える素敵な目標ですね。

松本:”Ekuipp=製造業界”のような認識を日本だけに留まらず、海を渡ってアジア全体へ広めていくことが私が目指す理想像です。自分の性格を曲げず、誰も損をしない仕組みを広めながら人生をおもしろい方へ進めていきたいと思っています。

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松本 悠利 プロフィール
1982年、埼玉県生まれ。2008年に東京大学大学院広域科学専攻物理部を修了後、米国のSchlumberger Limitedに入社。地下の石油埋蔵量を計測し、石油メジャー各社にデータ提供するエンジニアとして活躍。業界不況により退社後、独立・起業を決意。2017年8月、個人間でカメラや工具などをレンタルしあえる『Anyble』のサービスを開始。2018年3月にAnyble株式会社を設立、代表取締役社長に就任。メーカー各社が保有する精密機器のBtoBシェアリングをプロデュースするWebサービス『Ekuipp』を運営し、ニッポンの製造業の復権への貢献を目指している。

文: 武田竜輔



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