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君は OFFICECUE を知っているか   ~兄といふおもしろき生き者~


5人兄妹の少し年の離れた末っ娘は
それはそれはめんこがられて育ちました。

と、思っているのは親と兄姉だけかもしれない。

本人にしたら、母は週5で仕事して
兄と姉の部活だPTAだと毎日のように出かけていくのだから
自分は後回しにされてる感が否めなかったかもしれない。
めんこがっているつもりの兄姉たちには、
からかわれて遊ばれていると思っていたかもしれない。


けれど、次女は我が家のアイドルであったことは間違いない。

特に三人の兄たちにとっては。

(三人と書いたが、現在は実質二人である。
長男は今、放浪の旅に出ている。五年ほど前から連絡はない。
三十路半ばのいい大人だ。生きてるならそれでいいと思っている。)



そのめんこい次女は2018年の春、夢を叶えるために上京した。


中学生の時パニック障害、高校入学後には不安障害と診断され、
通信教育で高校の単位をとった彼女。
繊細で、物事を深く考える子だった。
心療内科に通いながらの4年間で大切な人たちと出会い、
いろんなことを学び、考え、
彼女は自分の未来を決めていたのだ。


症状が良くなってきた頃、東京に行きたいと言い出した。

大好きなカメラで仕事をしたい、そのために東京に行くと。


北海道の田舎で育ち、病気も完治していない19歳の娘が
大都会で生きていくなんて心配しないほうがおかしい。

それは家族の誰もが思っていた。

けれど、夢を追いかけると決心した彼女を否定はしたくなかった。
兄姉は心配しながらも 送り出すことにした。



桜咲く東京へ彼女が旅立つ3月31日。


奇しくもその日は TEAM NACS 第16回公演
PARAMUSHIRのライブビューイングが新千歳空港の映画館で上映されていた。

観たかった。

ポロモシルと読みます。



次女は今、職場にも、良い師匠にも、周りの方々にも恵まれ
フォトグラファーとしてしっかりと働いている。


次女の職場はこちら。




東京へ行って一年程して次女から

「彼氏ができた。節約のためにすぐに同棲するわ。」
とラインが来た。


おっとぉ

展開が早いなぁ。

まあパートナーがいてくれたほうが母としては安心だ。


姉ちゃん兄ちゃんには自分で話しなよ。
あ、とうちゃんにも。



そのやりとりをのぞき見していたやつがいた。

三男だ。


「おにいちゃんは許しませんよーー。」



と叫びながら、彼は階段を駆け上がっていった。


おもしろいやつ。


少しして次女から

「次男くんに同棲するっていったら『何言ってんの?』だけ返ってきた。。。」
「その後何の返事もない。」
「怒ってるのかしら。」

と、泣きそうなラインが来ていた。

いじけてるんでないの と慰めておいた。



その年の夏に、次女は彼氏と我が家に遊びに来ることになった。


二人が来る一週間前に、次男はビール片手に突然やってきて、
次女の彼氏との対決のための傾向と対策を立てたいと言い出した。


ケ-コウトタイサク?

対決?

何のために?


笑いを抑えきれない私と、真剣なまなざしの彼でサシ飲み。

酔っ払った彼は説得でもしたいのか、次女に何度も電話していた。


やっぱりこいつもおもしろい。


結果、三男とスマブラ対決、長女婿さんと夜釣り対決
次男は近くの池でカヌー対決をして、カヌーごとひっくり返してやる
ということで納得したらしい。

実際はそのどれも実行されなくて、平和な時間を楽しく過ごしたんだけどね。




はやり病に飽き飽きしていた昨年初夏の頃、

次女から
「9月に彼氏と帰省します」
と連絡が入る。

北海道旅行も兼ねて遊びに来るのかなと思って
その日を楽しみにしていた。


当日の朝、次女を迎えに行った長女から

「お二人は例のご挨拶に来たらしいですよ、母上」

とこっそりライン。


おっと、それは想定外。

とうとうその時が来たか。


しかしこれは夫には黙っていよう。

彼は長女の結婚の挨拶に婿さんが来るという日に
朝からビールを飲んじゃって
へろへろになっていたという前科を持っているのだ。

庭で炭をおこし、ジンギスカンパーティーの準備をしていたところに
スーツを着てネクタイをきっちり絞めて現れた彼氏を見て
すべてを悟って逃げ場を失っている夫は


これまたおもしろかった。


さらに三男は何も言わず、楽しいBBQを早々に切り上げて
「明日も仕事早いから。」
と家に入った。

肩を落とした後ろ姿からは哀愁が漂っていた。



さて問題の次男だが、その日はお嫁ちゃんと沖縄旅行に行っていた。

今は便利な時代だ。
ビデオ通話ってのですぐに繋がれる。


画面越しに次女が

「お兄ちゃんお話が…」

と言ったとたん、次男は何かを感じ取った。


「いや、いい、いわなくていい」



とこっちを見ようとしない。

耳をふさぐ兄。


「結婚します。幸せになります。」

と次女が真剣に言うと


彼は崩れ落ちた。


横で大笑いしているお嫁ちゃん。


こっちは爆笑。


ふてくされながらも最後にはおめでとうと言っていた。


やっぱりおもしろい。


兄という生き者。

その夜は深くまで飲んでしゃべって笑った。


次の朝、次女が

「NORD(ノール)のライブいけばいっしょ」

と言った。

NORD(ノール) 
OFFICE CUE の若手 瀧原 光、 安保 卓城、 島 太星、 舟木 健 4人のボーイズユニット。チームナックスの遺伝子を色濃く受け継いでいる彼らのラジオは一聴の価値あり。島君の歌は感動する。他の三人は北海道ローカルの番組に多数出演。


どうやら酔っ払った私は、娘たちにNORDのことを熱く語ったらしい。

彼らはなまらかっこいい。歌もダンスも顔もイケてる。性格もいい。
おもしろい。これからのOFFICE CUE を背負って立つ存在だ等々。

そのNORDがいま全国ツアー中で、今週末の札幌カナモトホールで千秋楽を迎えるというのに、チケットが完売になってない。

OFFICE CUE の将来の為にも彼らを応援したい。

ライブ行きたい!

と叫んでいたそうな。


なんも憶えてないけど。


帰る日、次女は

「かあちゃん、やりたいことやりなよ。」

って言って車に乗った。


手を振る彼女の幸せいっぱいの笑顔が

私はもう大丈夫だからね。

と私に言っていた。


ちょっと泣いた。


19歳の次女が東京へ行く前日に
私に贈ってくれた曲がある。


関取花 むすめ


みんないなくなった二階の工房で久しぶりに聴いた。


また泣いた。





土曜日、私はカナモトホールに向かった。



NORD 6thAnniversary LIVE TOUR2022

ホールは熱気で溢れていた。
周りはどう見ても私の娘たちの世代だ。
ちょっと浮いてる?私。

ライブなんて何年ぶりだろう。
やっぱりこの雰囲気が好きだ。
生の舞台が持つ力がもたらす一体感。

ワクワクしながら席についた。
しばらくすると、隣に背の高い細身の女性が座った。
 
映画もお芝居もランチも一人で十分楽しめる私だけど、
ライブ(野球観戦含む)は無理だ。
隣に話せる誰かが絶対必要。喜び合う人が欲しい。


「私、NORDのライブ初めてなんです。」と話しかけてみた。

「私もです!」

なんて嬉しいお言葉!

そこからどんどん話が弾み、彼女が子顔(森崎博之推し)さんだということ。
チケットを取ったのが二日前。NORDを応援したかったというにも共感してしまう。

もちろんOFFICE CUE の事も詳しくて、初めて何を話してもわかってくれる人に出会えてしまった。


ライブは最高だった。
歌もダンスも、喋りも、彼らの醸し出すわちゃわちゃ感も大好きになった。

特に札幌の専門学生(エンタメ関係)とのパフォーマンスは感動した。
音響照明衣装などにも学生が関わっていたと後で知る。

いつの時代も必死にやっている若者を見ていると
応援している自分が彼らに

「お前も頑張れよ!」

って背中をバンってたたかれているような気持ちになる。





二回のアンコールの後、彼女とツイッターのアカウントを交換した。
びっくりした。
私のタイムラインにちょくちょく現れる方だったのだ。

このまま別れるのは忍びない。ビールでも飲みませんかとお誘いすると、
快くOKしてくださった。

少し歩いて町中華の風情漂うお店に入って、瓶ビールで乾杯した。

彼女の話はとてもおもしろかった。
特にりーだーへの尊敬の念、崇拝、行動力はすごかった。

自分の気持ちに正直にやりたいことを真摯にやってる。
そしてその為の努力をしていることが素敵だった。

またきっと会えるね。
と願いのような約束をして別れた。


その三か月後、約束ははたされた。
その時のことはこちら。


これを書いているのは2023年3月16日(木)
二日後の18日土曜日は

『森崎博之ソロプロジェクト
ヒロユキ モリサキ  アグリマンショー』

の札幌公演がカナモトホールで開催される。


また会えるね。



背中を押してくれた次女に感謝して

幸せな時間を堪能しに、札幌に向かおう。


                
長文読んでいただき、ありがとうございます。


               したっけ


OFFICE CUE( オフィスキュー)とは
正式名称 CREATIVE OFFICE CUE (クリエイティブオフィスキュー)北海道札幌市に本拠を置く芸能事務。テレビ番組、映画、舞台作品の制作も行っている。チームナックス(森崎博之、安田顕、戸次重幸、大泉洋、音尾琢真)他、北海道内外で活躍するローカルタレントが所属している。 

             



 

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