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単なる旅はもったいない?「探求」の夏旅


1.子連れ夏旅のキーワードは「探求」

 小学生の親になってみて、「探求」という言葉をよく耳にするようになった。娘の受講するZ会は、小3以上を対象とした「調べる広がる探求講座」を開講している。Z会独自のオンライン辞書をブリタニカと開発し、「探求シート」に、事前に提示された「ミッション」(絶滅危惧種などのテーマ)について調べ、学習した結果をまとめるという内容だ。

調べるひろがる探究講座 3・4・5・6年生 - Z会の通信教育 小学生 (zkai.co.jp)

 定型のシートがあって、予め決められた「ミッション」について番号付きの問いがあって、その下にスペースに限りのある解答欄がある時点で、探求心は削がれるのではないかというのが私の正直な感想だ。

 なぜ、「探求」がキーワードなのか。現行の学習指導要領で重視されるようになった学習方法だからだ。学校教育には、変化に主体的に向き合い、「何のために」を問う力や「何が必要か」を自ら設定し、解決していく力の育成が求められるようになっているというのが背景。


2021年3月に出された、文部科学省が140ページ超にわたって、「探求的な学習」の必要性について説いた資料

https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/sougou/20210422-mxt_kouhou02-1.pdf

 実際、娘達の公立小学校でも調べてまとめるという課題「自主学習」が毎週出されており、今年に入って10歳の娘の関心を惹きつける北極について、毎週、飽くなきリサーチをする娘の後ろ姿をみながら、知識偏重の教育からの脱却を見る気がしている。自分の内なる関心に誘われて、調べて、出所を明示し、最後に自分の感じたところを書く行為は、大人だって必要なスキルだ。

親としてサポートできることはなにか?

2.10歳の誕生日プレゼントは「プライスレス!?」な海外旅行

 春に4年生になった長女のコロナ禍中ず~っと願い続ける夢は、外国に行くことだった。昨年の七夕の短冊でイギリス行きを願い(娘の問題は、彼女の問題。|Miki Nagashima / the JEWELs代表 (note.com))、今年、学校の課外活動で毛筆の体験講座に参加すれば、やっぱりイギリスへの憧れがしたためられていた。

2022年3月:課外授業の毛筆講座で長女がしたためた、叶えたい願いの掲示

 5月の彼女の10歳の誕生日に、もはや玩具や何かモノではなく、「海外旅行」をプレゼントするのはどうかと本人に尋ねてみた。親として、探求心をくすぐるという形のサポートのつもりだ。

 GW中に生まれた長女は、2023年のGWと言えば、いわゆる5類になったコロナの水際対策の緩和の恩恵で、出国する日本人旅行客が軒並み増え始めた頃だった。その先の夏休みであれば、ハードルの低い海外旅行経験ができるのではないかと思い、イギリスじゃないかもだけどとしつつ、娘に提案してみた。長女からは二つ返事で「それがいい(海外旅行へ行きたい)!」となり、前々から構想としてもっていた、私が大学時代に参加した海外ボランティア活動に、親子で参加する可能性を追求したところ、主催者であるAFC(北タイ・アグロフォレストリー・センター。所在地:タイ・チェンマイ県)からOKを頂いた。

 さて、娘が生まれてからの10年間、あらゆる海外出張の機会を人に譲り、海外旅行からさえも遠ざかっていた母(私)。お盆の出国に向け、航空券手配、前泊ホテル手配、予防接種、スーツケースの追加調達、寝袋のセレクト・・・という、懐(ふところ)には痛い準備を着々行いながら、この誕生日プレゼントは、「プライスレス=かけがえのない貴重なもの」となりますようにと願った。
 

3.少数民族山村でSDGsを考える!

 標題の見出しの副題をもつ、AFC主催の「北タイ・冒険の谷2023-X」プログラムの主たる対象者は日本とタイの青年だ。私も、娘達のいずれも世代としては対象外であるが、私が経験者という理由で二世代参加をご了承いただいた、そのプログラムの哲学概要は下記のようなものだ。

「このボランティア活動は1997年に始まった北タイの山岳少数民族の村における日本とタイの青年による国際ヴォランティア活動である。その目的は、現地研修プログラムに参加した青年にたいして、非日常的な生活・労働環境のもとで、広い視野と深い洞察力を獲得し得る機会を与えることである。」

北タイとはふつう、タイ国の北部8県をさすが、AFCが活動するエリアは、ミャンマーと国境を接するチェンマイ県、チェンラーイ県、メーホンソーン県の山岳地域だ(『北タイ・冒険の谷』富田育磨・めこん)

4.探求の先に・・・

訪問予定のタイの山村:
日本の原風景を思い起こさせる

 北タイのチェンマイ県のなかでも、2023年のお盆の1週間、私たちが赴くのはタイ最高峰インタノン山の山麓に位置する少数山岳民族スゴ―・カレン族の集落だ。チェンマイ空港からは四駆で4時間を要する。私自身が大学生の頃に訪れたのはお隣のメーホンソーン県にある別の民族の山村だったが、日本の田舎に迷い込んだ錯覚を覚えた。

「北部上部は山と谷の世界であり、水田は盆地に広がっている。チェンマイに典型的なように、北部ではどこにいてもまず山が遠望でき、山がちな日本の景観に似てくる」
(『タイの基礎知識』柿崎一郎・めこん)

 参加申込書に母代筆で記載した娘達の参加理由は「満点の星空が見たい」(長女)、「前に登山した時、木のトンネルや、洞窟や、大きな切り株があって、そういうのが楽しみ。」(次女7歳)というものだが、帰国後にAFCに提出する彼女達のそれぞれの「所感」を聞き取るのが楽しみだ。

 子供達は自分たちの美しい心で、大人達とは全く違う視点や捉え方をする。だから、物事の本質を突いていることがよくある。大人達のように、他者の視点や過剰な自尊心といった自分達の目を曇らせてしまう要因に影響されずに、彼女たちの心が感じたもの、その後につながる何かを得てくれるのではないかと期待しながら、今日、「探求」の旅路に飛び出す!


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