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息子と私の「摂津本山」事件

今年1月から始めたnote。
いくつか書いてきた記事の中で、一番アクセス数が多いのが、コレ↓です。

読んだ方は「なんだよ、『語学の学び方がわからない』と言っている息子は、とりあえず英語と日本語のバイリンガルなのかよ」と肩すかしをくらったかもしれませんし、2ヶ国語を自然に覚えてしまうと第3の言語の学び方がわからないのか、と興味深く感じられたかもしれませんし、はたまた「我が家も同じ!」と共感を持たれた方もいるかもしれません、ご感想はさまざまだと思います。

今回は、「英語人」(←息子がまだ幼稚園生だった頃、英語がnative/dominat languageな人たちのことをこう呼んでいました)が困惑する日本語の壁についてご紹介いたします。

ちっちゃい「つ」

私は残念ながら言語学を学んだこともなければ言語学者でもないので詳細は一切わからないのですが、「つまる音」を持つ言語は日本語だけなのでしょうか?
「つまる音=小さい『つ』」ですね。

「よこらしょ」
「どこいしょ」
「ちょと待て〜」
「こちの方がカコ良くない?」
「ほんまや〜、めちゃカコええやん」
「カプ麺」

などなど、私たちが日常会話で使うコトバ、表現にはちっちゃい『つ』はつきものですよね。

当然、英語にもあると思っていましたよ、私。

「apple」→「アップル」
「cup」   →「カップ」
「six」    →「シックス」
「book」→「ブック」
「ticket」→「キップ」・・・・? あれ?

anyway,
英語を発音する際にも、「ちっちゃい『つ』」はあると思い込んでいました。いや、あるとかないとか、気にしたことすらありませんでした。

しかし、このちっちゃい『つ』が英語人泣かせなんだそうです。
なぜなら、英語にちっちゃい『つ』の発音は存在しないから。

驚きですよね、じゃあ、上記の単語をネイティブはどう発音しているのか?

syllable=音節

少し踏み込みますが、英語には「syllable」(シラブル)と呼ばれる「音節」があり、英単語を聞いたりスペルアウトした際に、その単語をいくつかのsyllable=音節に分解し、どこかにアクセントを置くそうです。
(紙の辞書を使っていた我々世代には「ああ、あれのことか!」ってわかりますよね。単語を引いた時に、

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このように、「mil・lion・air・ess」と打ってある点、
これが単語を音節ごとに区切ってある状態)
で、区切ってるどこかの部位にアクセントが来るわけですね。

余談ですが、この辞書、私がアメリカに住んでいた初期の頃に買ったのですが、懐かし〜。

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もう今や電子辞書が携帯に入っている時代ですもんね〜。
アルファベットを打ち込めば一瞬で単語の意味が出てくる携帯、私も愛用していますが、苦楽を共にしたこのずっしり辞書は手放せません。
この「everything you need to succeed」が泣かせますね。
こんなに言ってくれているのに期待に添えず申し訳ない・・・。

続きまして、この落書きをご覧ください。

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赤のアンダーラインのところ。

ちょっと見えにくいですが、右側に「apple」というスペルがあり、
「ap」と「ple」に分かれて鉛筆でアンダーラインが引かれています。
線を引いたのは息子です。

この分け方がsyllable=音節だそうで、「apple」は
「ap」と「ple」の2音節から成るコトバ。
アクセントは最初の「a」に乗せるので、「ップル」。
でも、ここにうっかり「ちっちゃい『つ』」を入れてしまうと、日本人的な発音になってしまうので、ここはひとつ思い切って「アポー」と発音すると「apple」に近い、と息子。

そして、落書きのappleの下に、「L」と「R」って書いてありますね。

これは、私が「LとRの発音が聞き取れない」と息子に訴えたからです。
息子曰く、「日本語の『らりるれろ』はRとLが混合しているからだ」。

ら→la
り→li
る→ru/lu
れ→re/le
ろ→ro/lo


息子の耳にはこのように↑聞こえるんだそう。
「ら」と「り」はほぼ、Lの音に、「る」「れ」「ろ」は人によりRやLの音に聞こえる、と。
日本語の「ら行」は明確にLまたはRに分かれていないから、日本人はLとRを気にしない→聞き分けできないのではないかな、と息子(15歳・高1)が説明しました。

ひるがえって「ちっちゃい『つ』」。

これは、先述したように英語には存在しない音なので、英語人は「っ」を発音できないそうです。

だけど、それ、困りますよね。
例えば、「待って〜」と言いたいのに小さい「つ」が発音できなければ、「待て」って図らずも命令形になってしまいますよね。

『摂津本山』

私たちが利用するJR西日本神戸線の駅のひとつに「摂津本山駅」があります。
芦屋と三宮の間にある駅です。

先日、息子と電車に乗っていて摂津本山駅に停車した時のこと。
ハッとしたように、
「マミィ、摂津本山って『せっつもとやま』っていうの?」
と息子が聞いてきました。
意味がわからず、「うん、摂津本山。学校の活動で六甲山の植樹に行くとき、この駅で集合しているでしょ」というと、
「ボクね、『せ』と『つ』の間にちっちゃい『つ』が入ってるって、今まで知らなかった。『せつもとやま』だと思ってた」

が〜ん!
神戸に暮らし始めてもう11年目。
この駅は何度も通過しているし、各停に乗った時は駅名アナウンスも耳にしています。
なのに、「せっつ」を「せつ」だと思っていたのか?
そして、
「マミィ、ボクがずっと『せつもとやま』って言ってたの気づいてた?」

知りませんでした。
「じゃあ、どうして今、『せっつもとやま』だと分かったの?」
と聞くと、駅名が書いてある看板のローマ字読みを見たからだそうです。
そこに「Settsu-Motoyama」と書かれてあったので、小さい「つ」の存在に気づいた、と。

最後に

この落書きをしながら息子が言っていたことは、
日本語の単語(言葉)にはsyllableがなく、全ての音が個々に独立しているから、英語の音節やアクセント/stressに馴染みにくいのではないか、と。
そこが、日本人がなかなか英語を英語人に伝わるように正しい発音が習得できないポイントかな、とも。

英語人たちは、日本人の耳には小さな「つ」が入っていると聞こえる単語は、「つ」の音の前の音にアクセントを置いているようです。

apple→アぁプル
map  →まぁ
book →ブゥ

みたいな感じかな?

ま、言い訳ですが、息子も私も言語学者ではないのでこれはあくまで二人のある朝ダイニングテーブル上のおしゃべりの記録です。
そういうもんなのか〜、と流し読みしていただけたら幸いです。

次の機会に『ん』の壁について書ければ、と思っています。

良い週末を!
have a good weekend!


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