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思い出に残っている撮影、人生を変えた撮影|Artist Interview - もろんのん 3/4

What’s “Artist Interview” ?
写真のCURBONが、「写真の階段の登り方」をテーマに、活躍中のアーティストにインタビューする連載企画。もろんのんさんのインタビューを公開中です(※インタビュー全回は記事末尾に一覧があります)。

ときに芸能人やプロのモデルを、そしてときには友人を。さまざまな方を撮影してきたフォトグラファー・もろんのんさん。

知らず知らずのうちに、彼女の撮った写真を目にしていた方も多いはず。そんな豊富な経験を持つもろんのんさんに、過去の撮影エピソードを伺いました。

もろんのん Profile
Photographer / Tokyo。書籍に「インスタグラム商品写真の撮り方ガイド」「SNS時代のフォトグラファーガイドブック」「弘中綾香の純度100%」(撮影)など。
・Youtube:もろんのんTV
・Instagram:@moron_non
・Twitter:@moron_non

以下
インタビュアー: 片渕ゆり
インタビュイー:もろんのんさん

📷 📷 📷

ーー 今までで一番「印象に残っている撮影」って、どんな撮影でしたか?

そうですね。パッと浮かんだのは、女優の 田中真琴さん の撮影でしょうか。

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2020年の2月に、「私が撮りたかった女優展 Vol.2」という展示に参加したんです。それで、企画のタイトルどおり、「私が撮りたかった女優」である田中真琴さんのお名前を挙げさせていただいて、撮影しました。

どんなコンセプトにするのかというスタートから、撮影、パネルの展示内容まで、最後まで自分たちで作り上げた展示だったので、印象に残っていますね。

ーー 世界観作りから、すべて携わったんですね。

そうですね。おもに私とスタイリストの kyonちゃん と二人でやりました。

kyonちゃんは、作品づくりに適したスタイリングが得意なんです。どこか現実離れしたような、ファンタジーっぽいルックを手がける人で。

企画が決まって彼女と話したのは、「せっかく真琴さんを撮らせていただくんだったら、彼女自身にも喜んでもらえるようなスタイルがいいね」ということでした。

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真琴さん自身もまだ見たことがないような、それでいて、彼女の好みも取り入れたコンセプトにしようって。

それで、真琴さんへのヒアリングも事前にしっかり行いました。

好きなアパレルブランドや好きな色といったベーシックなことから、好きな女優さんやバンドといった嗜好に至るまで、いろんなことを聞いて。もう、本人も巻き込んで、一緒に作り上げていったんです。

そういうふうに作り上げたこともあって、真琴さんご自身にもすごく喜んでもらえました。写真集も現在販売中です。

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左下には、田中真琴さんの好きなオードリーヘップバーンの写真が。

ーー 担当分野の垣根を超えて、一緒に作り上げた企画だったんですね。フォトグラファーというと、写真を撮る「だけ」が役割だと思われることも多いですが、そこを飛び越えたからこそ実現できたというのが素敵ですね。

 * * *

ーー もう一つエピソードをお伺いしたいのですが、のんさんの中で「人生を変えた撮影」ってありますか?なにか新しいことに繋がったりだとか、流れが大きく変わったりだとか、そういう経験があったらお聞きしたいなって。

そうですね。自分が撮った写真でなくても、いいですか?

ーー もちろんです!

私自身が大きく変わった経験は、「ブランドビジュアル撮影現場に立ち合わせていただいたこと」です。

もう5年くらい前のことになるんですが、当時の私は大学2年生でした。情報科学科でプログラミングを専攻していたので、なんとなく「将来はWebデザイナーになるのかな」なんて思っていたんです。だけど写真も楽しいから、どういう方向に進もうか、悩んでいた時期だったんです。

そんな私が悩みを聞いてくださっていた、写真仲間ですごく仲の良い haru wagnusさん とある日カフェでお話をしていました。すると、なんとharuさんがカルティエの撮影が決まり、そのモデルさんの1人が小松菜奈さんだというお話をしてくれたんです。

「え、すごいすごい!」って私もびっくりして。

大学生だった私にとって、クライアントがいる撮影なんて初めてでした。広告代理店についても、名前くらいしか知らなくて。

就活前の時期だったこともあって、現場を見てみたくて、haruさんに「何か手伝わせていただくことはできませんか?」とお願いをして。悩んでいることを知っていたharuさんがメディアと担当の方へ確認をとってくださり、haruさんのアシスタントという形でお邪魔させていただけることになりました。

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それは、今までの写真友達との「趣味」の写真の範囲を超えた、「プロの現場」に触れる初めての経験だったので、大きな衝撃でした。この撮影がきっかけで、クリエイティブや広告業界に興味を持つようになったんです。

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右も左も分からない私に、機会をくださったharuさんをはじめ、カルティエや博報堂ケトルの方、そしてWWD JAPANのみなさまに、大変感謝しています。

ーー 学生時代に突然そんな出来事があったら、考え方や視野も大きく変わりますよね! その後のもろんのんさんが、どんどん活躍されていくことを思うと、なんだか感慨深い気持ちになります……!

Interviewer / Writer : 片渕ゆり@yuriponzuu
大学卒業後、コピーライターとして働いたのち、どうしても長い旅がしたいという思いから退職。2019年9月から旅暮らしをはじめ、TwitterやnoteなどのSNSで旅にまつわる文章や写真を発信している。
Editor :伊佐知美(@tomomi_isa
「旅と写真と文章と」をこよなく愛す編集者、フォトグラファー。日本一周、世界二周、4年間の旅×仕事の日々を経て、2020年夏より日本で一番人口の少ない沖縄県読谷村にて、海と空とさとうきびに囲まれた暮らしを開始。

Artist Interview - もろんのん Index



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